【東京初期衝動 インタビュー】
今までの作品で完成したのは
『Second Kill Virgin』だけ

写真左上から時計回り、まれ(Gu)、しーな(Vo&Gu)、あさか(Ba)、なお(Dr)

昨年11月にベースのあさかが加入し、第二章が幕開けした東京初期衝動。新体制初の作品となる3rd ED『Second Kill Virgin』は、夏への期待感とバンドの明るいムードも表れた「さまらぶ♥」と、メンバーもイチオシの「blue moon」、悲しい気持ちから吹っきれて作ることができたという「春」の3曲を収録。これまでにはなかった達成感も生まれ、絶好調で猛進していく4人にインタビューを実施した。

悲しい気持ちが吹っきれて
ノリノリな曲が作れるようになった

3rd ED『Second Kill Virgin』は思う存分に浮かれ弾けた「さまらぶ♥」にバラード曲「blue moon」、ロックナッバー「春」とガッツリ系統の違う3曲が収録されていますが、思うがままに音楽をやっているのが伝わってきて、清々しい作品だと思いました。

しーな

この3曲で東京初期衝動の新しい一面を見てもらえると思います。前作の『LOVE&POP』(2020年4月発表)に比べるとジャケットの色も含めて前向きになったと思うので、そこは注目です!

まれ

「さまらぶ♥」は「黒ギャルのケツは煮卵に似てる」(2019年11月発表のアルバム『SWEET 17 MONSTERS』収録)よりもはっちゃけてる曲で、あさかが入ってから初めての音源だし、“これからこの4人でやっていくぞ!”みたいな気持ちです。

あさか

…この一枚で東京の男を落としにきました!

あさかさん、それはしーなさんに言わされてませんか?

しーな

“byあさか”で大丈夫です!

あさか

自分が加入して直ぐの制作だったから正直不安もあったんですけど、出来上がってみたらいつも聴いてた東京初期衝動の曲とは変わっていて、ライヴでも違った盛り上がり方になりそうなので楽しみです。

なお

あさかちゃんが入ってからの一作目だから、タイトルには“Second”って入ってるんだけど、第一歩目の作品だと思います。

『LOVE&POP』から『Second Kill Virgin』ができるまでの時間は、バンドにとってもすごく大事なものだったんじゃないかと思いますが、きっとつらい時期でもありましたよね。

なお

コロナ禍で決まってた大きいフェスも中止になってしまって、めちゃくちゃ残念でした。そこにベースの脱退も重なって。

まれ

今もなんですけど、私はあんまり先のことを考えないようにしているので、『LOVE&POP』の時はひたすら終わりに向かっていってる感覚がありました。

『LOVE&POP』は怒りや悲しみで緊張感がありましたけど、今作では1曲目の「さまらぶ♥」から手放しで楽しんでいますよね。どうしてここまでポップに振りきれたんですか?

しーな

『LOVE&POP』のレコーディング中は死にそうなくらい落ち込んでて、誰とも連絡を取れず、家からも出られず、毎日泣いて過ごしてたんですけど、だんだん吹っ切れようと思い、海とか山に行って心を落ち着かせました。で、あさかが入ってからは気分がスパッと変わったんです。それでノリノリな曲が作れるようになりました。落ち込んでる時も、なおとまれがやさしかったので、どうにか生きてこれたんです。

昨年のインタビューで、しーなさんが“東京初期衝動を突き動かすのは、売られた喧嘩は買う精神”と答えてくれたんですけど、そんな意気込みで這い上がっていったんですかね?

しーな

そんな精神もうないですよ。全部吸収しきれなくなったので、売られた喧嘩もスルーするようになりました。でも、「春」はちょっとそういう気持ちで作ったかもしれないです。

あさかさんが入ることで、バンドの状態も整えることができたと。

しーな

はい! リフレッシュみたいな? 新しい彼氏というか、離婚してないマンネリ夫婦から、付き合ったばっかりのカップルになった感じです。

まれ

すごく人見知りなので、最初はあさかにどう接しようかと思ってたけど、あさかのほうからたくさん話しかけてくれて、楽しいバンドになりました。

しーな

でも、まれはすごく頼もしくなったんです。今までは妹みたいだったのに本当に逞しくなった。

まれ

あさかにリードしてもらったけど、自分でも“ちゃんとしなきゃ”って思うようになりました。

なお

前はバンドの雰囲気がお葬式みたいでヤバかったから、あさかちゃん入ってからガラッと変わって、音楽にもより集中できるようになった気がします。

「さまらぶ♥」は今の東京初期衝動の明るさも出てるんですね。かけ声も入ってますが、作っていてすごく楽しかったんじゃないですか?

しーな

楽しいです。もう見違えるように元気になったから、とにかく夏に盛り上がれる元気な曲が作りたくて、頭の中にライヴキッズたちを召喚して、踊ってる姿を想像しながらノリノリで作りました。曲を作る時には、まずでっかい会場でライヴをやった時に映えるか映えないかを考えるんです。あとは、レコーディングして音源になった時に聴き応えがあるかどうかとか。

あさか

私はライヴキッズあがりなので、「さまらぶ♥」はキッズ時代に戻ったような懐かしさもありますし、“ライヴでやったらみんな喜ぶやろうな”って思いました。今はモッシュとかできないけど、“またそんな日きたら”って願いも込めて、ずっとやっていきたいです。

まれ

どっちかと言うと自分の性格的には苦手な曲なんですけど、ライヴでは一番楽しいと思います。

アーティスト