【朝ドラ『エール』総集編放送直前コ
ラム】大作曲家が愛した楽器:山田耕
筰
多彩な音楽環境と一本のピッコロ
山田が幼少の頃に住んでいた横須賀の鎮守府(日本海軍で、軍区の警備や部隊の監督を行った機関)には、軍楽隊が常備されていた。山田少年は、その行進に魅了され、ラッパやクラリネットの音色にも触れている。また、異人館から流れ聴こえてくる西洋音楽を奏でるピアノの調べに心を奪われたりと楽器の音に多感に反応していたようだ。
山田耕筰の人生には、幼少の頃から、実に様々な楽器が登場する。山田は、長姉恒の夫でイギリス人のエドワード・G・ガントレットに影響を受け音楽家を志すことになる。そして、1904年に東京音楽学校声楽科(現・東京芸術大学)に入学し、チェロやトランペットなどを習得した。「私のトランペットは、時に悲鳴にも似た叫びを挙ることが出来るだけだった」と、山田自身の演奏力を自虐的に表す記述がある。チェロの授業では叱られてばかりで、ピアノも卒業するまで苦手だったらしい。山田は、奏者としては優等生ではなかったのである。
さて、このような音楽環境の中で、山田耕筰が初めて自分の所有物とし、愛した楽器は何だったのだろうか? 今のところそれを示すはっきりとした文献は見つけられない。ただ、山田が少年の頃、義兄エドワードからもらった一本のピッコロを宝物にしていたという話がある。山田はいつもピッコロを持ち歩いていたという。ピアノを弾くことに疲れたり、寂しさを紛らわすために、時折、吹いていたのだとか。
エドワードは、優秀なパイプオルガン奏者であり山田の音楽的才能をいち早く見抜いた人物としても知られている。その証が、ピッコロのプレゼントに込められていたのかもしれない。山田のこのピッコロに対する愛は、山田の作品の中で、最も多くの人に知られている「赤とんぼ」の吹奏楽やオーケストラ演奏にもピッコロが効果的に使われていることからもわかる。
『エール』総集編放送予定
前編:12月28日(月) 午前9時45分~11時8分
後編:12月28日(月) 午前11時8分~午後0時36分
[ BSプレミアム ]
前編:12月29日(火) 午前7時30分~8時53分
後編:12月30日(水) 午前7時30分~8時58分
[ 総合 ]
前編:12月31日(木) 午後2時00分~3時23分
後編:12月31日(木) 午後3時28分~4時56分
ニュース中断(5分) 午後3時23分~3時28分
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