【ポップしなないで インタビュー】
ふたり以外の力を借りることで
音楽がより強固なものになると思った
L→R かめがい(Vo&Key)、かわむら(Dr)
結成5周年を迎えたポップしなないでが完成させた1stフルアルバム『上々』は、ドラム&ピアノ編成というバンドの骨子になる部分と、それにとらわれずにやっていく意気込みも表れた、これまでの総括と挑戦が受け取れる一枚。まさに5年間で作り上げてきた“ポップしなないでらしさそのもの”と言える音楽性や精神性が各曲に散りばめられている。
季節の移り変わりや時間の流れを
すごく大事にしている
今までの作品タイトル“Faster, POP! Kill! Kill!”(2016年12月発表のミニアルバム)、“CDはもう売れない”(2018年10月発表のミニアルバム)、“禁じられてはいない遊び”(2019年8月発表のミニアルバム)の流れを見ると、今回の“上々”はすごく直感的な印象を受けました。
かわむら
今までのミニアルバムは短めの期間で制作を行なっていたので、その場その場で切り取った一番新鮮なものであり、尖ったものを作りたいという想いも込めた言葉をタイトルにチョイスしていたんです。でも、今回は“今のポップしなないでを余すことなく”というよりかは、5年間積み上げてきたものから一番最初に作った曲である「エレ樫」まで入ったフルアルバムなので、自分たちの精神性や曲を見てしっくりくる言葉を考えてました。で、この“上々”という言葉が持っているニュアンスは、我々が音楽をやっているスタンスや曲にもフィットするなと。決して明るい曲ばかりではないんですけど、“前を向く”“上を向く”って考えるとハマると思って。
昨年のライヴの時点で披露していた楽曲も多いですし、ベスト的な一枚に感じました。収録曲はどのように選んでいきましたか?
かわむら
フルアルバムなので、この作品で初めてポップしなないでを知ってくれる方が多いのではないかと思ったんですね。自分たちのいいところを詰め込むと考えた時に、全曲新曲という考えもあったんですけど、結成5周年のタイミングでフルアルバムを出すわけだから、自分たちのターニングポイントになった曲とか、今の新しい音で作りたい曲を選んでます。
かめがい
「エレ樫」「魔法使いのマキちゃん」「Creation」って、今までのミニアルバムからちょうど一曲ずつ入ってるもんね。
1曲目の「魔法使いのマキちゃん」はTikTokで使用されたことがきっかけで若い世代に広まった曲でもありますが、この曲のように孤独や居心地の悪さが根源にあるのはポップしなないでの“らしさ”でもあると思いました。
かわむら
そうですね。「魔法使いのマキちゃん」の実績みたいなものは大きいんですけど、1曲目にした理由っていうのは、この曲がポップしなないでをうまく表していてバランスがいいっていうのもあって。一番初めに聴いてもらいたい曲っていうのをよく考えて、やっぱりこの曲かなと。
かめがい
お世話になっているから待遇を良くしないとね(笑)。
「夢見る熱帯夜」では初めて打ち込みを使用したそうですが、なぜ今だったんですか?
かわむら
打ち込みを初めて使った曲というわけではないんですけどね。この曲を作ったのが今年の3月で、一番新しい曲なんです。ちょうど他の曲でも生楽器以外の音を入れてアレンジをするってことを考えた時に、かめがいさんと「夢見る熱帯夜」をどうしていきたいか話し合って。すごく大事にしてきたドラムとピアノっていう骨子の部分も含めた上で、この曲を華々しく面白く気持ち良くするってことが、今までの哲学を損なわないどころか、幅を持たせることにつながると思ったんです。なので、打楽器とかギター、サンプリングも入れているという。
「夢見る熱帯夜」の他に「UFO surf」と「ミラーボールはいらない」にも編曲でミツビシテツロウさんが参加されていますが、おふたり以外の方が楽曲制作に加わるのは初めて?
かわむら
そうですね。単純に誰かの力を借りて何かをやるのは好きで、映像もそうですけど、“ふたりで何でもやってやるぜ”ってバンドではないんです。さっき言った“ドラムとピアノ”とか譲れない部分もある中で、ポップしなないでの音を分かっていて好きでいてくれているミツビシくんに相談して作るっていうのはすごくワクワクしましたね。
かめがい
“他の人に自分の曲を預けて、進化して返ってくるってどんな感じなんだろう?”って。
コロナ禍でライヴができないことを受けた上で、音源を作ることに向き合った結果の挑戦なのかなとも思いましたが。
かわむら
実は“ライヴでどんなことができるか?”っていうのも考えていて、ふたり以外の力を借りることで、広がりも出る上に、自分たちの音楽がより強固なものになると思っていたんです。音源だからお願いするというよりかは、今後のポップしなないでを考えて、ライヴも音源も今までのこだわりにとらわれずにできたらいいなって想いで制作したつもりです。
それは今後の展開も楽しみですね! あともうひとつ、「夢見る熱帯夜」と「UFO surf」にはどちらにも“季節を加速させる”というフレーズが入っているのも気になりました。
かわむら
日本というか、自分が今住んでいる場所ですごく気に入っているのが、一年という区切りの中で、暑くなったり寒くなったり4つの期間に分かれていて、その中でそれぞれに楽しみを見出そうとしていることで。音楽って聴いた時の情景を彩るものだと思うんですけど、曲の中に季節が入ってくると、聴いたときの季節と合っていても違っていても、その時の季節をより浮き立たせると思うんです。ポップしなないで自身が季節の移り変わりや時間の流れ、生きるとか死ぬってことをすごく大事にしているので、「魔法使いのマキちゃん」と「Creation」にも季節の言葉を入れているし、フレーズとして意識的に使ってた部分はありますね。
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