【HAN-KUN インタビュー】
今までにない作品というのを
心がけて作った

HAN-KUN

“固定概念やジャンルの鎖を引きちぎれ!”をテーマに、レゲエというアイデンティティーを軸としながら新しい音楽と向き合った3年振りのアルバム『UNCHAINED』。今まで内側に向けていたエネルギーを外側に向け、全方位にぶっ放すHAN-KUNの最新型の歌とサウンドは間違いなし!

自分のルールやポリシーも裏返せたら、また新しいことができると思った

今作の制作には、やはりコロナの影響もあったんですか?

抜群にありましたよ。毎年行ってるジャマイカにも行けず、作品とストイックに向き合うしかないという状況で制作に取り組んでました。ちょうど制作のピークがコロナ禍のドンズバだったんでスタジオに行けず、できることは全部自宅でやるという感じでしたね。遠隔で制作スタッフとやり取りしながら、レコーディングも自分でやったりしたんですが、もらった音やアイディアを揉んでいく作業もひとりで向き合うしかないからすごく大変で。いい言い方をすれば挑戦する機会になったけど、“エンジニアさんってこんな大変なことをサラッとやってくれてたんだ!?”とか気づけて、改めてありがたみを感じました。他愛もない会話からアイディアをもらったり、膨らましていく時間がなくなったことで、制作チームの雰囲気や空間の大切さも実感したし。みんながいなければ何もできないことを再確認させられた、貴重な時間になりました。

アルバムが完成しての感想はいかがですか?

今までにない作品というのを心がけて作ったんですが、具体的に音として新しいアプローチができたと思ってます。今まで知ってくれてる人には、音として、スタイルとして、僕の新しい部分を感じてほしいですね。初めて聴いてくださった人には、新しいことをやってると純粋に思ってほしい。自分はレゲエをアイデンティティーとして胸に刻んで音楽やらせてもらってるんですけど、今まで触ったことのないジャンルの音も、自分が体現することでレゲエというフィルターを通して発信していけるという想いを持って制作に臨んでるので。“固定概念やジャンルの鎖を引きちぎれ!”というテーマで作品が作れたと思うし、とても満足してます。

今回、“UNCHAINED”というテーマで制作に臨んだのは、何かきっかけがあったんですか?

昨年、カバーアルバム『Musical Ambassador』(2019年5月発表)をやらせていただいたことですね。原曲へのリスペクトは忘れず、ジャマイカのミュージシャンとセッションしてレゲエに落とし込んで、原曲を歌う方のファンにも喜んでもらえるものにしたいと思って作り上げた作品だったんで。素晴らしい楽曲たちを歌わせてもらって、歌からさまざまな感覚をもらう中で、間の取り方や言葉の重みの作り方とか、そのまま読んでも素晴らしいと思う歌詞の書き方とか、本当にいろいろ学ばせてもらいました。今までレゲエのルールやマナーに落とし込むことに全てを注ぎ込んできたけど、そこで学んだことを今までと反対側を向いて表現することはできないかと思ってて。内側に向いてストイックに曲作りをしていた自分のルールやポリシーを一度裏返して、いろんなジャンルから良いものを吸収することができたら、また新しいことがやれるんじゃないかと思ったんです。

アルバムを聴かせていただいた印象としては、反対側を向くというよりは大きく振り幅が広がった感じでした。

“超えられない”と勝手に思ってた壁を作らないというのが今作でやりたかったことなので、“振り幅が広がる”という言葉でとらえてもらえると、めちゃくちゃ嬉しいです。

どれも違ったアプローチで色鮮やかに聴かせながら、HAN-KUNのアイデンティティーとしてあるレゲエが主軸としてあるから、まったくぶれがないです。

ありがとうございます。楽曲ごとに耳障りが違うけど、ライヴのセットリストに入ったら同じ音楽感の中で収まるというのは意識してましたね。やりたいからやったのではなく、ちゃんと責任感とリスペクトを持った上で、自分のフィルターを通して世の中に発信するというのが大前提としてあったので。今回もすごく勉強させてもらえました。

愛と情熱がたっぷり注ぎ込まれた、人間味ある作品にもなってますしね。

コロナっていうのが今を生きる人間のキーワードになってるし、自分がコロナ禍に生きて感じた葛藤を言葉として、人間として表せたと思います。そういったところで、より人間味を感じる作品になったかもしれない。図らずとも全員が共有した時間だったから、その時間に共通して感じた言葉や想いが伝わったら嬉しいですね。

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