【BALLOND'OR インタビュー】
2020年だからこそ
やれるロックを作りたかった

L→R AKAHIGE(Dr)、MJM(Vo&Gu)、†NANCY†(Syn&Ba&Vo)、NIKE(Gu)

フルアルバムとしては3年振りとなる『R.I.P. CREAM』は、下北沢を拠点にデストロイとメルヘンの融合、および衝突を目標に掲げるBALLOND'ORの最高傑作と言えるものに! メンバーが語る制作の舞台裏から最高傑作になった理由に迫る。

今作を完成させた時に思ったのは、
“やっと全てが足りた”だった

アルバム『R.I.P. CREAM』を聴きながら、思わず涙がじわっと出るぐらい胸を打たれました。まずはメンバーのみなさんの手応えから聞かせてください。

MJM

好きな音楽がたくさんある中で、それらをどうにか一曲、あるいはひとつの作品に凝縮したいという気持ちが結成した時からあるんですけど、今回が一番自分が作りたかったものがようやく混合して出せたという気持ちがあります。

それは僕もすごく感じました。

†NANCY†

私はMJMが弾き語りでメロディーを持ってきた時から、もう勝手に手応えを感じていました。

MJM

えっ、最初から?(笑)

†NANCY†

“ヤバいのを持ってきたな”って感じていて、そこからその他の楽器が加えられていくにつれて、どんどん気持ちが上がっていきました。これまでもそういう感覚はあったんですけど、今回はそれをさらに上回るものを感じたんです。

NIKEさんは?

NIKE

BALLOND’ORをMJMとふたりで始めた時はサンプラーやリズムマシーンを使っていて、まだバンドにはなっていなかったんですけど、その頃からやろうとしていたことは変わっていないと思っていて。それから少しずつバンドのかたちになっていき、今作を完成させた時に思ったのは“やっと全てが足りた”ということだったんです。そこに至るまでに世に出ていない音源も含めて、全ての曲を作ってきて良かったと思ったし、バンドを続けてきた良かったと思いました。

AKAHIGE

MJMが持ってきた11曲のパワーはもちろんなんですけど、サウンドとか世界観とか、今までに体験したことがないようなものがいくつもあって。それに対するドラムのアプローチというか、それをどう曲に乗せようか結構悩みました。改めていろいろな音楽を聴き直した上でやっと完成させられたので、出来上がった時は新たなサウンドが作れたと思いました。

なるほど。みなさん、これまで以上に手応えを感じているわけですね。MJMさんは弾き語りでメロディーを作った時、これまでとは違うという感覚はあったのですか?

MJM

正直そんなになかったです(笑)。ただ、今まではアルバムやミニアルバムを作る時は、収録する曲数よりもちょっと多めに作って、その中から選んでいたんですけど、今回は最初からこの11曲でいこうって考えていました。外す曲がなかったんですよ。メロディーに関しても。いつもはいいメロディーだと思ってもすぐ忘れちゃうんです(笑)。だから、自分が絶対覚えられるメロディーがポンと出てきた時に、それを捕まえるみたいな感覚で曲を作っているんですけど、今回はワンフレーズだけでも“これはカッコ良い曲になる”と思えるものばかりで。そういう意味では手応えは感じていたと言えるかもしれないです。

なぜ、そういうメロディーが今回は作れたと思いますか?

MJM

作れない時って結構あるんですよ。自分的には曲ができないと“人生終わったな”みたいな気持ちになっちゃうんで、無理やり作ったりするんですけど、無理やり作ると全然良くないんですよね。自分の頭の中で何度も再生されるようなメロディーじゃないと全然良くない。だから、メロディーに関してはふと訪れた時に捕まえるという作業になるんです。今作でワンフレーズだけでもいいと思えるメロディーが出てきたのは…もしかしたらなんですけど、去年「SCUM TRUCK」と「DANCER IN THE DARK」の2曲を発表した時に、次のアルバムを作るんだったら、タイトルは“R.I.P. CREAM”にしようと決めたからかもしれない。その時点ではまだ他の曲はできてなかったんですけど。

えっ、そうなんですか!?

MJM

はい。“こういうことを言いたい”というのがすでにあって、フルアルバムになるのかどうかはまだ分からなかったんですけど、タイトルだけ決めていたんです。何を言いたかったのかというと、この1、2年で自分が憧れたロックミュージシャンやヒップホップのアーティストが次々に亡くなって、今のこの瞬間っていうのは一回しかないんだって改めて思ったんです。それで、今まで好きだった音楽全部に感謝して…言い方は変なんですけど、追悼しようみたいな気持ちと、それでもやっぱり音楽を鳴らしてロックを表現して、耐えきれない酷いことがあっても、それを切り裂いていこうみたいな。“R.I.P.”(安らかに眠れ)と“RIP”(切り裂く)というふたつの“RIP”を、どうにか音楽でやりたいという気持ちが強くあったんです。

そういう気持ちがあったからこそ、いつも以上にいいと思えるメロディーができたかもしれないと。

MJM

それを考えていた時はまだ3、4曲しかなくて、いつもだったら本当に作れるのかってちょっと不安になるんですけど、今回はもとになる曲に関しては1カ月ぐらいで次々にできたんです。変な自信があったというか、“何か来るんだろうな”って感覚があって、そしたら実際にワッと来たんですよ(笑)。

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