【ももすももす インタビュー】
ロックアーティストとして
認識されるような人間になりたい
ももすももす
初のアルバム『彗星吟遊』は“心の宇宙に浮かぶ彗星を観測したアルバム”というコンセプトのもと、ももすももすが思い描くさまざまな世界を覗き込める一枚で、“歌うことが好き”という彼女の純粋なエネルギーも感じられる。これまでライヴで披露してきたロックナンバーも収録され、まさにアーティストとしての“第一歩”となる作品だ。
無我夢中で作っていたから
“やっと出てこれた”っていう感覚
デビューから約1年間を経て1stアルバム『彗星吟遊』が完成したわけですが、手応えはどうですか?
天体望遠鏡を使って、ひとつの方角をじっくり見たという感じです。まだまだ作品になっていない曲はたくさんあるので、これからもっといろいろな方角をアルバムにしていけたらなと。
そのひとつの方角というのは、ももすさんの音楽人生での第一歩みたいな?
はい。これが一番最初の扉なのかなって思います。初めてのアルバム制作だったので、単純ですけど“こんなにレコーディングって大変なんだ”って思いました(笑)。
シングルに収録された曲に加えて、初めて音源化された曲が7曲ありますが、全部ライヴで披露してきた楽曲ですよね。一曲一曲にじっくり向き合って作ったのかなと思いましたが、ご自身的にはどんな制作期間でしたか?
もう無我夢中で。自分が作品の中に入り込みながら作っていたから、“やっと出てこれた”っていう感覚があります。気付いたら完成していました。ももすももすに対して今まで“得体の知れない人”っていうイメージが大きかったと思うんですけど、このアルバムを出すことで距離が縮められたら嬉しいです。
1曲目の「火星よ、こんにちは」は今までにはなかったクールなロックナンバーで新鮮でした。曲と歌詞は同時に作っているんですよね?
ほぼ同時進行です。メロディーが言葉という服を着て、“はぁーい!”って遊びにやって来るみたいな。よくある“降ってくる”というよりは、音楽が頭の中に訪ねてくるんですよ。その言葉とメロディーは勘が鋭くて、“今、ももすのところに行ったら良さそうだな”っていうタイミングで来てくれるんです。
えぇ!?(笑) 頭で考えて作るより、やって来るって感じなんですかね。アッパーな「隕石」は“この瞬間に隕石が落ちてきたら、大好きな人と最後を迎えられる”という気持ちを歌っていると思っていましたが、MVではその隕石が落ちてくるのを阻止しているのが印象的でした。
曲を作った時は隕石が落ちてもいいと思っていたんですけど、今は実際に隕石が落ちてきたら、もう歌えなくなっちゃうし、困るなって(笑)。MVは何の変哲もないバケツが何かを救うこともあるんだっていう壮大で変なストーリーなんですけど、とても気に入っています。
隕石が落ちてきたら“死んでしまう”ではなく“歌えなくなる”っていうのが一番に来るんですね。
“歌いたい!”っていう気持ちは強くあります。まだやり残していることがあるなって。
それってデビューやリリースを経ての今だから思うことですか?
そうですね。実は前まで歌うことがあんまり好きじゃなかったんですけど、最近になって好きになってきたんですよ。この間、自分の歌を口ずさんでいたら、バックバンドのメンバーが“ももすが自分の曲を歌っているなんて珍しい! すごくいいことだね!”って言ってくれて、歌うことが好きになったんだって気が付きました。
なぜ好きになったんでしょう?
自分の中でやっと歌い方が定まってきたような気がするんです。あと、今回のレコーディングで一番印象に残っているのが「火星よ、こんにちは」のアウトロで、《I say hello, My dear mars.》って歌っているトラックがたくさんあるんですけど、録るのが終わってからもずっと頭の中で流れていて、しばらく口ずさんでいました。
歌声もそうですけど、MVでの表情も柔らかくなったというか、何だが前よりも表情が見えるような感じがします。
嬉しいです。ちょっと慣れてきたのかもしれません。もしかしたら、前に公開した「プルシアンブルー」と「シクラメン」と「アネクドット」は1日で3本撮ったから、表情が同じなのかもしれないです(笑)。
なるほど(笑)。「隕石」や「saboten」を聴いて思ったんですけど、ももすさんは大切なものができると、それがなくなることを考えますよね。
それは自分を守るための考え方でもあって、大切なものが終わってしまった時の衝撃とかショックを和らげるために考えます。臆病なのかもしれないですね。
でも、「シャボン」を聴いた時にはすごく愛情深い印象を持ちましたよ。臆病とは逆で、好きな人のために何もかもを捧げるような勇気を感じました。
この曲は聴いた人の反応が一番気になってた曲なんです。自分の愛情を削ってかたちにしてみた曲なので、ずっと“みんなはどう思うんだろう”って思いながら歌っていました。歌詞も曲調も、今まで作ったことのない一曲だと思います。ピアノがメインで入っているのも挑戦だったしあと、アルバムの曲順はレコードのA面B面に分かれているイメージで決めたので、A面の最後が「シャボン」なんです。
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