【シド インタビュー】
前へ進むために“delete(削除)”
というメッセージを込めた

L→R Shinji(Gu)、明希(Ba)、マオ(Vo)、ゆうや(Dr)

ニューシングルはTVアニメ『七つの大罪 神々の逆鱗』のOPテーマとしてオンエア中の「delete」。ロックバンドならではのスリルと熱さ、疾走感を感じさせてくれる同曲について話を訊きつつ、不動の4人で結成18年目に突入した彼らに“続けてきたからこそのシド愛”について語ってもらった。

新しい曲は『承認欲求』と対極にある
スピード感のある曲がいいなって

ニューシングル「delete」はホールツアー『SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL』で初披露された曲ですが、歌詞をプロジェクションマッピングとして使った演出や問い掛けやストーリー性のある構成など新しいシドを感じさせてくれたライヴでした。ツアーを通して得たものというのは?

マオ

アルバム『承認欲求』のコンセプトをしっかり打ち出して回ったツアーだったんですが、本数を重ねる中、ライヴの世界にどっぷり入り込んでくれて、あのツアーでなければ実現できない演出や曲や演奏がみんなにすごく伝わっているのを肌で感じられた日々でしたね。

観せ方、聴かせ方を含めてメッセージが伝わったと?

マオ

そうですね。4人それぞれの個性を出した上で“魅せる”というのがシドのライヴの強みですが、また別のアプローチで大きな塊として提示できたのが良かったですね。例えば紗幕がかかった状態で歌った2曲の演出は昔だったら“観えない!”って嫌がられたと思うんですけど、今はファンとの信頼関係が築けているから“きっと俺たちの新しい挑戦を分かってくれるだろうな”って思えたし。実際、受け入れてくれたのでお互いの関係性がまた深まった上で、さらに一歩進めたんじゃないかと思いました。

ゆうや

マオくんが言ったことが全てですね。『承認欲求』の世界観や伝えたいことを色濃く打ち出して、これまで盛り上げゾーンでやってきた定番曲を外して押し切るっていうやり方に初めて挑戦したんですけど、ライヴで受けた印象をまんま家に持ち帰ってもらいたいという意図があったんです。ツアーの途中から“伝わってるな”っていう実感もあって、ほんとトライして良かったなと思いました。

明希

映像とコラボレーションする頻度が高かったので、僕らもお客さんと同じようにストーリーをなぞっていくような気持ちでライヴをやっていましたね。技術的な面ではトラブルが起きても止められないという怖さもありましたけど。

がっちりと演出が決まっているライヴ運びだからこそ?

明希

そうですね。大きな楽器のトラブルは幸いなかったんですけどね。“こういう観せ方もありなんだ”って可能性が広がったツアーだったと思ってます。

ホール空間ならではのコンセプチュアルなライヴの中、ファンへの真摯で温かいメッセージが伝わり、大人なシドを感じさせてくれました。

Shinji

アルバム自体、シンプルなアレンジの楽曲が多かったのでテクニカルなことはそんなにやっていないんですけど、その分、明希のベースがルート音を弾いているだけでも躍動感が伝わったり、全部の音が聴こえてくるから、メンバーがライヴアレンジした箇所に思わず振り向いちゃったり、プレイ自体楽しめたツアーでもありましたね。

そして、国際フォーラムAで初披露された「delete」は熱量を感じさせるスリリングなナンバーですが、アニメをモチーフに書いた曲になるのですか?

明希

個人的にアルバム『承認欲求』(2019年9月発表)の次に出すのは対極にある曲調がいいと思っていたので、スリルだったりスピード感というのはもともとイメージにあったんです。そう思っていた時に今回のアニメのお話をいただいたから、自分の中でリンクしたんですよね。アニメの制作の方もアイディアを出してくれたり、情熱を持って向き合ってくれたのでやりやすかったです。

メロディーラインはシドらしいですが、サウンド面でフォーカスしたかったことというのは?

明希

メロディーはシドの進化系だと思いますが、イントロの疾走感だったり、アニメに出てくるキャラクターたちを感じらるような展開にはこだわりました。

具体的にはどんな部分ですか?

明希

出てくるキャラクターのひとりひとりがクールでカッコ良いという印象を受けたのと、ストーリーが壮大なので、そういう世界観をサウンドとリンクさせて寄り添えたらいいなと思って作りました。

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