【Halo at 四畳半 インタビュー】
思い悩んだ末、グッと
自分に近い歌詞を書くことができた
L→R 齋木孝平(Gu&Cho)、渡井翔汰(Vo&Gu)、白井將人(Ba)、片山 僚(Dr&Cho)
ギターロックだけにとどまらないサウンドを追求し始めたHalo at 四畳半がメジャー2ndフルアルバム『ANATOMIES』を完成させた。今回は音楽面もさることながら、歌詞もこれまで以上にリスナーの胸に迫るものに。ほとんどの曲の作詞を手掛ける渡井翔汰(Vo&Gu)がその理由を赤裸々に語ってくれた。
いろいろなタイプの曲が作れて、
自分的には楽しい制作だった
これまでもそうだったと思うのですが、『ANATOMIES』を聴きながらいつも以上に渡井さんの心の中を覗けたような気がして、とても聴き応えがありました。
狙ってそうしたわけではないんですけど、出来上がってみたらいつもよりグッと自分に近いというか、体温に近いというか、そういう歌詞を書けたと自分でも思えたので、そう思っていただけたなら嬉しいです。
なぜ、そういう歌詞が書けたんだと思いますか?
大小さまざまな壁にぶつかることが増えて、バンドのことはもちろんなんですけど、それ以上に渡井翔汰として、いろいろ悩んだ末に見えてきたものを曲に落とし込もうとしたからだと思います。解剖学を意味するアルバムタイトルにもつながるんですけど、曲を作り始めてからの自分を、それこそ解剖するように曲を作っていったので、ぶつかった壁が多かったことが功を奏したと言ったらおかしいですけど(笑)、そういうところはありますね。
たとえば、どんな壁に?
分かりやすいところで言えば、6曲目の「レプリカ」は気味の悪い曲と思われるかもしれませんけど(笑)、僕は曲を書いている時、歌詞だったりメロディーだったりが世に出ている曲や過去に自分で書いた曲に似ていると思うことが少なからずあるので、そんな時に感じる生みの苦しみを書いたものなんです。
じゃあ、曲作りに苦戦したのですか?
いえ。今回、曲作りの期限を1カ月と決めて、その中で曲を書き上げるということに挑戦してみたところ、今までは書いた曲をアルバムに全曲入れてたんですけど、今回は選べるくらいの数が書けたんです。というのは、洋楽も含め、いろいろな音楽に興味を持った時期とちょうど重なって、“あれも書きたい、これも書きたい”となっていたんです。もちろん、曲を作るのは簡単なことではないですけど、いろいろなタイプの曲が作れて、自分的には楽しい制作だったし、ハロとしても広がれたと思います。
「レプリカ」「Ghost Apple」の2曲はアーバンというか、ブラックミュージックの影響が感じられますが、いろいろな音楽を聴くようになった結果、できたものなのですか?
「Ghost Apple」はこれまでのハロから逸脱したいと思いながら書いた曲なので、特にそうだと思いますけど、「レプリカ」はよく分からないです(笑)。Aメロで鳴っているアコギのリフが急に思い浮かんで、“これ、カッコ良いじゃん!”ってところから曲にしていったので。
今風のR&Bをハロなりにやってみたように聴こえますが、そうではなかったのですね。
そう聴こえるんですね。自分では変な曲が出来上がったと思いながら作ってました(笑)。
前作の『from NOVEL LAND』の時は歌詞を書く上で“生まれ変わる”というのがテーマとしてあったとおっしゃっていましたが、今回は“なぜ人は生まれてきたのか。そして、生まれてきたからには何をするべきなのか”と、いろいろなところで問い掛けているように感じたのですが。
それは意図してなかったです。それくらい悩んでいたんでしょうね(笑)。思い悩みながら曲を作っていると、そういうところに行き着いちゃうと思うんですよ。いろいろな音楽にチャレンジしたり、歌詞を書く上で自分の殻を破ろうとしていても、その根っこにはそういう想いがあるというか。“嬉しいことがある一方で苦しいこともあるのに、なぜ人は生きるんだろう”というのは、ずっと思っていることなので、自然とそこにつながっていったんだと思います。
ところで、TVアニメ『ラディアン』のオープニングテーマに使われている「ナラク」をきっかけにハロのことを知ったり、好きになったりという新しいファンが少なくないそうですね。
「ナラク」はアルバムの中でも僕ららしいストレートなギターロックをアップグレードできた曲だと思っているので、そういう曲で多くの人と出会えたのは嬉しいですね。しかも、MVを公開したら、アニメの効果なのか海外の方からのコメントが多くて。原作はフランス人の作家が描いているマンガなので、その影響もあると思うんですけど、そういう広がり方はこれまでなかったことなので驚いています。
その「ナラク」はアニメの主人公の心の闇を描いているそうですが、同時に渡井さんの心の闇も描いているように聴こえます。
でも、誰もが持っているものですよね。『ラディアン』は主人公が自分の中の闇に抗いながらも真っ直ぐに歩いていくという物語なんですけど、それは誰にでも共通していることだし、ハロが歌ってきたことともリンクするから、歌詞もスラスラと書けたんですよ。
その歌詞では自分の心の中にある闇を完全に否定するのではなく、受け入れて、ともに生きていこうと歌っているのですか?
マイナス思考とかネガティブな方向に考えてしまう心に抗っていくべきだとは思うけど、どこかでそれはなくならないものだとも思っていて。“なくならないものではあるけれど、それでも強く生きていけたらいいよね”という想いを込めています。
そんなふうに前向きなことを歌っている中、「百鬼夜行」「レプリカ」「月と獣」という中盤の3曲がすごいと思いました。
かなりのダークゾーンですからね(笑)。
鬼気迫るものがありますね。
曲順を考えながら、みんなで悩んだんですけど、ダークな3曲を立て続けに聴かせるって、逆にいいんじゃないかという話になりましたね。今まではアルバムに1曲ぐらいだったんですよ、ダークなハロは。今回は自然とベクトルの違う3曲が作れたので、それを全部入れたいと思ったんです。初めてですね、ハロでこんな暗黒ゾーンがあるっていうのは。
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醜いものがあるからこそ 美しくあることができるアーティスト
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