世界が共鳴する音と感情の探求者、C
ö shu Nie。その源泉と新作『PURE』
で表現したもの

人は全ての思いを言葉にできるわけではない。しかし、Cö shu Nie(コシュニエ)というバンドはその思いを音で昇華させる術を持っている。
彼らの楽曲はメンバーから“監督”と呼ばれる中村未来(Vo、Gt、Key、Manipulator)が作詞・作曲・編曲までを手がけ、松本駿介(Ba)、藤田亮介(Dr)という2人のプレイが加わることで、より立体的なカオスとして表現される。『東京喰種トーキョーグール:re』や『PSYCHO-PASS サイコパス 3』といったアニメ作品の楽曲を手がけたことをきっかけに海外でも多くのリスナーを抱えているが、それは楽曲の緻密さや演奏のスキルだけでは片付かない“何か”が音として感じられるからだろう。言葉も人種も関係ない。感情を持った人間であれさえすればいいのだ。
今回のインタビューでは彼らの楽曲やその世界観の源を探りながら、初のフルアルバム『PURE』について話を聞いた。彼らが音と人の感情をどのように追求しているのか、確かめてみてほしい。
松本駿介(Ba):
環境音楽で遊んでいたからだと思うんですが、シーケンスも最初から凄くカッコよくて流石だなと思いました。今はストリングスまで組むから担当する楽器はすごいことになってて。それを全部一流に仕上げているからすごいなって思います。
ー楽器自体はなんでも扱えるんですか?
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
2人を目の前に言い辛いですけど、一応色々バンドをやっていたのでベースとドラムも経験があります。でも、ストリングスは弾いたことがなくて。
ーでもクラシックピアノをやっていたから、オーケストレーション的な耳の感覚があるのかもしれないですね。
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
ですかね。
ー歌のメロディーも楽器に近い感覚ですか?メロディーラインがすごく動く印象があって。
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
確かに、楽器と同じ1つのパートとして考えているかも。
松本駿介(Ba):
そこはめちゃくちゃ惹かれた部分でしたね。キャッチーで覚えやすいけど、実際歌おうと思ったらミュージカルみたいに音程が動いている。監督はディズニー音楽もすごく好きなので、その影響はあると思います。ディズニー映画の劇中歌はすごくキャッチーで一発で好きになるけど、実際に歌うとなると難しいですよね。
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
でも美しいですよね、旋律が。
ーミュージカルや歌劇に近い感覚ですね。歌はいつから始めたんですか?
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
バンドを始めた時からで、それまでは全く。カラオケや合唱くらいでした。
ーYouTubeではピアノ弾き語りの動画も公開されていますよね。あれを観て、改めてCö shu Nieのキャッチーさは中村さんの声の効果も大きいのではないかと思ったんです。
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
音楽を1曲としてデザインするときに、曲のバランスってすごく大事だと思っていて。その点でCö shu Nieのド派手な曲と私の声は合うんです。私の声がド派手じゃないから、ド派手な曲でも自分の思った表現ができる。
松本駿介(Ba):
曲に合わせて声色を使い分けてるから、自分の声をすごく正確に把握してると思います。出会った時にもらったデモに「フラッシュバック」って曲があるんですけど、声や歌い方も若々しくて激しいなって印象でした。でもメジャーEPを出した時、その曲を初回限定用に録り直したら、当時のままの声で歌っていてびっくりしました。年齢や期間じゃない、声色として持っていて、その使い分けも記憶してるんですよ。
中村未来(Vo,Gt,Key,Manipulator):
イメージ的には曲と自分の接点ですね。
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