【城 南海 インタビュー】
大人の女性らしい
リアルな作品を目指して
城 南海
約3年振りのオリジナルアルバム『one』。20代最後にリリースするこの作品で、城 南海はリアルな大人の女性を描いた楽曲に挑戦し、ビジュアル面も含めてガラッと大変身した。これから先の未来も提示されている今作に対する想いを語ってもらった。
“新しい城 南海の一面を出したい”
という想いがあった
デビュー10周年の締め括りとなるタイミングでアルバム『one』がリリースされますが、どのような作品にしたいと考えましたか?
2019年は洋楽のカバーライヴを行なうなどチャレンジの年だったので、まず“新しい城 南海の一面を出したい”という想いがありました。それでディレクターさんと話し合い、30歳になることだし、大人の女性としての言葉を使うとか、リアルなものを作ってみようということになったんです。今回のアルバムの作家陣の方々は初対面の方もいらっしゃるんですけど、これまでご縁があった方もたくさん参加してくださっていて、みなさんから“次の城 南海にこういうのはどう?”といろいろご提案いただきました。
リアルものを作るというのはこれまでになかったコンセプトですよね。
そうなんです。だから、いただいた歌詞も今までにないようなワードがたくさんあると感じましたので、歌い方も曲によってだいぶ変えています。
切なくも凛としたバラード「Silence」を書かれた河野丈洋さん(ex.GOING UNDER GROUND)作詞の「クレムツ」が1曲目なのですが、ここまで重厚感のある曲からスタートするのも新鮮でした。
女性目線の曲なんですけど、“クレムツ”というタイトルからして“何だろう”と思いますよね。闇の中にも広がりを感じるナンバーなので、今回はカラーが強い曲が多いし、1曲目からドン!と行こうと。この曲が最初というのは満場一致で決まりました。
歌詞のとらえ方はいろいろできると思いますが、南海さんの中ではどんなイメージでした?
最初は“少ししたたかな女性”というのがテーマにあったんです。寂しがり屋で愛してほしいと願っている人みたいな。今まで歌ったことのないような世界だから歌っていてちょっとドキドキします。
作曲は↑THE HIGH-LOWS↓の大島賢治さんですが、アルバム全曲のアレンジも担当されているんですよね。
カバーアルバム『ユキマチヅキ』(2017年11月発表)の編曲からお付き合いがあるんですけど、1作品全てお願いするのは初めてです。大島さんはドラマーなのでビートがすごく効いた曲が多かったり、タイミングについてもひとつひとつにこだわりがおありになると感じました。リズムを気にして歌う曲もたくさんあったし。あと、仮歌の時、ブースから大島さんがドラムを演奏している姿が見えたんですけど、その背中の感じで曲のとらえ方やリズム感などが分かるというか。大島さんの背中から伝わってくるもので歌いました。
2曲目の「行かないで」は南海さんのデビュー曲「アイツムギ」を作られた川村結花さんが手掛けられていて。この曲は先日の10周年ライヴ(2019年11月8日@渋谷Bunkamuraオーチャードホール)でも披露されていましたが、ジャジーで大人っぽいナンバーだったのでかなり驚きました。
みなさん“びっくりした!”という反応でした(笑)。2019年はデビュー10周年で、ベストアルバム(2019年5月発表の『ウタツムギ』)購入者特典のスペシャルトークショーのゲストが川村さんだったんです。川村さんには今まで曲をいっぱい提供していただいているんですけど、直接お会いする機会があまりなくて。なので、トークショーの時にいろいろなことをお話ししました。あと、“ピアノを弾きたい”とおっしゃってくださって。実は仮歌のつもりで川村さんと録ったテイクがアルバムに収録されているんですよ。すごく楽しく演奏した空気感がしっかり収録されていると思います。
愛する人に“行かないで”と言えない女性の想いを歌っていて、とても切ない曲ですね。
頑張って大人っぽく歌いました。でも、川村さんのピアノと一緒に歌うと自然と馴染めて。川村さんは全部録り終わるまでずっとスタジオで聴いてくださっていて、バンドメンバーの一員みたいな感じで一緒にサウンドを作ってくださったんです。
この曲のサックスは藤井尚之さんが演奏されているそうですが。
はい。ディレクターさんが藤井尚之さんもやっているというご縁でお願いしていただいて。その場でアルト、ソプラノ、テナー、と4つくらい吹いてくださって、“どれがいい?”とバンドメンバーみんなで選んだんです。すごくカッコ良い音ですよね。
そして、アルバムのリードトラックとなる「ONE」はテレビ東京のドラマ『特命刑事カクホの女2』の主題歌にもなったロックナンバーで。
『カクホの女2』は名取裕子さんと麻生祐未さんの凸凹コンビのお話で、たまに喧嘩しながらも支え合う仲なんですね。作詞の宮原芽映さんにはそういったおふたりの関係性とか、凛とした女性としての姿を書いていただいて、いわゆる“友情にありがとう”というやさしく温かい曲というより、たまには喧嘩もするし…みたいな毅然とした曲なんです。だから、ポンッと投げるような歌い方が合うと思って力強く歌ってみました。この曲をいただいて、改めて友情について考えましたね。“私が友達と思っていても、向こうはそう思ってないかもな”とか“最高の友と呼べる人がいたら幸せだな”とか。
ロック曲は久々ということで、新たな発見などありましたか?
これまでもロックな曲というと『誰カノタメニ』(2009年9月発表の2ndシングル)や「リリー」(2010年3月発表の4thシングル「ルナ・レガーロ 〜月からの贈り物〜」収録曲)などがありますけど、ビートの拍で歌をパッと切ったりする歌い方はしてこなかったので新鮮でたね。そこに縦ノリで乗って、歌詞をどこでどう切るかとか、ここで声を投げてみようとか、歌いながらなじませていきました。最初はすごくたどたどしかったんですよ(笑)。初回限定盤に特典DVDが付いているんですけど、そんな制作中の素の顔がかなり長めに収録されています。
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