グリフ・リースが描く痛みと希望、ユ
ニバーサルなポップアルバム『Pang!

「痛み(『Pang!』)」と題された本作を、敢えて優しくも活気を持ったアルバムだと言ってしまおう。Super Furry Animalsのフロントマン、Gruff Rhys(グリフ・リース)による6作目のアルバム『Pang!』は素朴な魅力に溢れている。本作のミックス・マスタリングを託されたのが、南アフリカのエレクトロ・アーティストのムジであり、彼とのコミュニケーションがグリフのキャリアに新しい風を吹かせた。本作では自国ウェールズの文化とアフリカの文化が溶け合い、また、制作期間中によく聴いていたというPrinceの『Around the World in a Day』からの反響がある。本作が音楽的にカラフルなポップ作品に仕上がった一因は、間違いなくかの名盤からの影響だろう。さて、本作のリリックは全編ウェールズ語である。訛りが激しいことでも有名な、グリフの飾らない歌が聴こえてくる。
帰国してから、フェスのための曲を提供してほしいという依頼を受けたんだけど、その時カーディフの国籍や人種が多様な地域で音楽を作っていたから、そこでも地元のアフリカ系のミュージシャンと一緒に仕事をする機会があったんだ。そこでは
というバロフォン奏者と一緒にやるのが凄く面白くて、彼が作った曲がダンサブルな曲だったから、Muziにリミックスしてもらおうと思って曲を送ったんだよね。それが今作の2曲目「Bae Bae Bae」だよ。
ー今作の中でも凄くいい曲だと思います。その1曲が引き金になったんですね。
そう。そのリミックスがよかったから、Muziに連絡して「アルバムを全部一緒にやりたい」って話したんだ。そしたら彼が「全部ウェールズ語で歌うならいいよ」と言ってくれて、そうして今作のアルバムができていったよ。Muziもウェールズの音楽をリミックスするのが楽しかったんだろうね。だから『Pang!』はAfrica Expressに関わらなかったら実らなかったアルバムで、2年前には想像もできなかった作品だよ。凄くポジティブなアルバムに仕上がったと思ってる。

【関連記事】