【ポップしなないで インタビュー】
前向きになれる方法も考えるのが
ポップしなないでのスタンス

L→R かめがい(Key&Vo)、かわむら(Dr)

“超セカイ系ポップ”をキャッチフレーズに掲げる、ポップしなないでが完成させた3rdミニアルバム『禁じられてはいない遊び』。今作でも空想と現実が交差する独特のポップさは健在で、彼らの話を聞けば聞くほど、その世界観を伝えるために大切にしているものが浮かび上がってくる。

狭い視点の中で切り取ったものだけど、その背景には大きなものがある

まずはキャッチフレーズに掲げている“超セカイ系ポップ”についておうかがいしたいのですが。

かわむら

憧れを詰め込んだ言葉として使ってます。いつも曲作りの時に“狭い視点の中で切り取ったものだけど、その背景には大きなものがある”という構造を考えていて。例えばセカイ系と言われるアニメや映画には“ボーイ・ミーツ・ガールの背景に壮大な舞台設計がある”というテンプレートが存在すると思うんですけど、ポップしなないでの音楽はそのフォーマットに落とし込まれているかなと。それをかめがいさんに歌ってもらったら面白いと思って、“超セカイ系ポップ”という言葉をお借りしてやっております。正直“超”かどうかは分からないけど(笑)。

かめがい

“超”だよ!

かわむらさんはゲームもお好きとのことで、そのストーリーが曲に影響することもありますか?

かわむら

そうですね。ゲームって演出と音楽があって、自分の血肉になっているものでもあるんですけど、その中で生まれた“自分だったらこうやってみたい”という想いを音楽で発散している状態でもあります。でも、僕たちはやっぱりライヴをするので、空想だけにはしたくないなと。だから、現実逃避と現実の兼ね合いをつなげられればいいなと思ってます。

前作ミニアルバム『CDはもう売れない』に収録された「魔法使いのマキちゃん」がTikTokで約2万回使用されたことがきっかけで、MVの再生回数が60万回を超えましたが、この反響を受けてどんなことを思いましたか?

かめがい

これを機に知ってくれた人は多かったし、TikTokの動画にバンド名も出してくれてたので、素直に嬉しかったですね。楽曲が手から離れていく感覚も面白いと思いました。

かわむら

自分の見てる世界は狭いんだなと思いました。TikTokからMVの再生回数が伸びていることに最初は気が付かなかったので、自分たちが見ていなかったところに人がいっぱいいるのを実感しましたね。あと、親戚の子も「魔法使いのマキちゃん」を知ってたのでびっくりしました。

ポップしなないでの楽曲は歌詞がしっかり耳に入るので、そこも話題になる要因のひとつなのでは?

かわむら

“言葉が伝わる”というのは我々の最大のポイントだと思ってます。

かめがい

一番嬉しいことだね。

ピアノ&ヴォーカルとドラムのふたり編成ですが、他の楽器も入れたいと思うことはありますか?

かわむら

まず、かめがいさんの歌を聴かせることに焦点を置いてふたりで始めてみたんです。そしたらこれはこれで面白くて、ピアノと歌とドラムっていうシンプルな編成も気に入ってますし、予定を合わせたり、コミュニケーションをとるにも楽でいいんですよ。ライヴでサポートを入れることはあるかもしれないけど、メンバーを増やすってなると、それはまた別のバンドとしてやるかもしれないですね。

かめがいさんは歌う時に意識していることはありますか?

かめがい

かわむらくんが書いてくれる歌詞を大事にしながら、自然と感じるがままに歌っているだけなんですけど、言葉が聴こえる音楽にしたいので、その言葉がどうやったら伝わるかということは考えます。

かわむら

かめがいさんは自然にやってるって言いますけど、僕は歌詞を書く時に自分の世界を相手に乗り移らせるのではなく、歌う人を意識しているので、自然に歌っても大丈夫な曲を作っているんですよ。

かめがい

おぉ~!(拍手)

かわむら

“僕が作ってやってる”って言いたいわけではないんですけど、共通の見解があるというか、まったく意味が分からない曲ってないよね?

かめがい

ないです。細かい部分を確認することはあるけど、意味不明みたいなことはないですね。

おふたりの思考が似ているんですかね。

かわむら

性格や音楽の趣味は全然似てないけど、ダサいかダサくないかの基準は共通しているかな。だから、急に気持ちが変わって、“次のアルバムのモチーフはドクロと悪魔でいこう!”みたいな訳の分からないことには多分ならないんじゃないかと(笑)。

かめがい

そうですね。悪魔はいいけど、ドクロは難しいな(笑)。

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