【INORAN インタビュー】
自分らしいものを
作っていくというのが、
ミュージシャンとしての存在意義
INORAN
3年振りのオリジナルアルバム『2019』。ライヴ映えが確約されたグルービーなロックナンバーが並びつつ、リード曲「Starlight」を筆頭としたバラード群も抜群の存在感を誇り、エモーショナルなメロディーラインは眩いほどの光を放っている。LUNA SEAの次作と同時進行していたという本作には、ソロとLUNA SEAという線引きを越え、人間・INORANの今が投影されていた。
今回はいろんな人とやった、
そういうところが作品に出たと思う
近年ストレートなロックサウンドが前面に出ていた印象でしたが、メロディアスな部分も戻ってきて、さらに深化した、情感豊かな作品だと感じました。いつ頃から作り始められたのですか?
LUNA SEAのニューアルバムとほぼ同時に進行していた時期がありまして。本来なら“この曲はこっち、この曲はあっち”と分けて考えたほうがやりやすいと思うんですけど、曲を生み出すタイミングも同時期だったし、2枚の違ったアルバムが混ざり合った中でどういうものが出るかという感じでした。“じゃあ、こっちはロックっぽく”とか、“あっちは太陽の下で聴けるような”とかいう垣根のようなものはなくて、出たとこ勝負で作った部分が多いですね。
LUNA SEA用、ソロ用と曲を振り分けていく段階で、『2019』に入れようとなった曲たちの基準は何でしたか?
特にはなくて、なんとなく思い付きで…とかですね。今年の2月中旬までLUNA SEAのアレンジをしていて、それが終わった次の日から2月いっぱいまでの約2週間で10曲ぐらい作って、3月の頭からレコーディングでした。
結構タイトな期間で作られたんですね。サウンド的にはデジタル感は鳴りを潜め、ハードなラウド感やアコースティックな空気感もあり、いずれも“人”の温度感が伝わってきました。
温度感で言うと、グルーブはやっぱり大事ですよね。ツアーに出たい、ライヴをしたいという想いが先にあって、新しい“お土産”を持ってみんなのところに行きたいという気持ちが僕はあるので。だから、ライヴのバンドメンバーであるu:zo(Ba)とRYO(YAMAGATA/Dr)、(Yukio)Murata(Gt)さんが一緒になってグルーブしてるという感覚はすごく大事にしました。
ライヴの情景という意味では、近年のINORANさんのライヴではファンのみなさんの発する声も重要な役割を担っていますよね。実際、今作の楽曲たちにはコーラスが多めにフィーチャーされていますし。
そうですね。今はそういうのが好きなんでしょうね。みんなで一緒にプレイをするというのは、最近の自分の理想なので、それは考えて作っています。
「COWBOY PUNI-SHIT」は英語詞であるメリットが生かされていて、神や悪魔が登場する深い世界観を、エッジの効いた、時にはダーティーな言葉も用いながら軽妙に描かれていますが、どういうイメージから生まれた曲なんですか?
この曲はMurataさんに歌詞を書いてほしいと思っていて、それが見事にはまった感じですよね。
曲の世界観をINORANさんからまずはMurataさんに伝えて?
伝えるというか…もう、音で感じてもらうことですよね。例えば「Don’t you worry」は“Don’t you worry”という仮タイトルが付いていて、そこからイメージして広げたりしてくれたんだとは思うんですけど。「COWBOY PUNI-SHIT」の場合はMurataワールドになりましたね。
MurataさんとINORANさんとの言葉を介さない、音を通じたやり取りの中で生まれたものがかたちになっているんですね。
うん。僕が勝手に思う部分もあるかもしれないですけど、やっぱり絆ですよね。自分も人に託された場合、期待を裏切りたくはないし。Murataさんとは8年ぐらいやってるので、そういう“期待に応えたい”という想いがあるだろうし。僕もそうで…それはファンのみんなに対してもそうだし、スタッフに対してもそうだし。そういう部分が生むものってあるじゃないですか。今回はいろんな人とやった、そういうところが作品に出たと思います。
INORANさんが独自の世界を存分に出しただけでなく、周りの方たちと積み上げてきたものが表れていると?
そう。だって、それが自分を型作っているものだから。悪い言い方をすると、自分のエゴというのは別に要らなくて…むしろ邪魔で。それを1枚剥がして素直になったことによって、こういうすごくブリッとしたものができた気がしますね(笑)。Murataさん以外にもTAKA(HIROSE/FEEDER)もDEAN(TIDEY)もそうで、長い時間を共有している仲間たちが参加してくれて、それを上手くパッケージできたと思ってます。
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