text:石田博嗣

ソロ活動10周年を飾るアニヴァーサリーツアー『Determine』のファイナルであり、ソロでは初のホールコンサートとなった中野サンプラザ公演は静かに始まった。まず、ステージライトがキーボディストを照らす。どよめく客席。それもそのはず、そこにはTourbillon の葉山拓亮の姿があったのだ。しかも、プレイされたのは実験的かつアンビエントなサウンドで構成された1stソロアルバム『想』の「Resolution」で、フロントマイクの前には女性ヴォーカルが立っている。そして、彼女は凛とした歌声を聴かせ、INORANはステージ上手で職人的なギターを奏でるのだった。ステージ全体に映し出された万華鏡のような映像と相まって、アートとも言える音像が客席を飲み込むが、6曲を演奏し終えたところで転換を迎える。少しのインターバルを置いて、いよいよ第2部。もちろん、フロントマイクの前にはINORANが立ち、ツアータイトルでもある「Determine」でライヴが再開された。第1部とは打って変わってバンドサウンドで構築されるINORANワールド。繊細でセンスフルな構造と展開を持ちながらも、心の内側から熱くさせていくエナジーに満ちた楽曲が繰り出されていく。さらに“今日はせっかく三人中二人揃っているってことで…”というMCでTourbillonの「your place」もプレイされ、終わってみれば10年間の集大成とも言える濃厚な内容だった。そういう意味では、11年目に向かうためのひとつのけじめのためのライヴだったのかもしれない。
INORAN プロフィール

イノラン:国内にとどまらず、世界に活動の場を拡げるLUNA SEAのギタリスト。1997年よりソロ活動を開始、現在迄にフルアルバム10枚以上をリリースする等精力的な活動を行なっている。LUNA SEA、ソロの他にもTourbillon、Muddy Apes等多岐に渡るプロジェクトで音楽活動を鋭意展開中。ソロ活動20周年を迎えた17年8月にセルフカバーベストアルバム『INTENSE/MELLOW』を、LUNA SEAが活動30周年を迎えた19年8月にはオリジナルフルアルバム『2019』を発表。そして、20年9月に『Libertine Dreams』、21年2月に『Between The World And Me』、同年10月に『ANY DAY NOW』と三部作となるアルバムをリリース。INORAN オフィシャルHP

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OKMusic編集部

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