【OLDCODEX インタビュー】
俺らふたりがいれば、
どんな音が鳴っていてもいい
L→R YORKE.(Painter)、Ta_2(Vo)
OLDCODEXが約2年振りのアルバム『LADDERLESS』をリリースする。ヴォーカル&ペインターのユニットであるという原点に立ち返り、持てる力と環境を最大限に活かして、新たな武器を増やした全11曲。誰のあとも追わず、唯一無二のスタイルを貫く彼らの足取りは、恐るべき逞しさだ。
頭を張ってるのが、このふたり。
その状態が俺らの一番の強み
アルバムのリリースとしては『they go, Where?』以来、約2年振りになりますよね。
Ta_2
そうなんですよね。止まらずに走り続けてきたんで、“もう、そんなに経ってたんだ!”みたいな印象なんで、シングルも3作リリースしたし、その間もずっとアルバムのことは考えていたので、去年のツアーくらいから自分の中でぼんやりとかたちにはなっていたんですよね。だから、今年の1月にツアーが終わってから制作に入ったんですけど、今回はプロデュースというところにしっかり目を向けたいと思っていたので、楽曲を全部自分で書くということはしませんでした。
なるほど。それで今作は新曲7曲中4曲が外部作家の方の曲なんですね。
Ta_2
はい。自分たちが信頼できる作家陣や、その想いを受け取ってくれる方々にお願いしながらやっていって。あとは、音の一貫性や統一感を出したいという話もしていたので、エンジニアさんもしっかり押さえた状態で走り始めました。
YORKE.
もう最初の打ち合わせの段階で、Ta_2が“この曲はあの人がいい”とか、スタッフと話しながら割り振っていってましたね。
Ta_2
今回は一曲一曲にテーマ性だったり、絵筆の走るイメージだったり、どういった光景を作りたいかっていうものが全体的に見えていたんですよ。
結果、従来のラウドロックを機軸にしつつも、ミディアムから同期感の強い曲まであって、より幅を持たせたかったのかなという印象はありました。
Ta_2
制限を掛けたくなかったんですよね。プロデュースという視点からすると、自分たちの特性みたいなものを活かしていきたかったので、自分たちの長所や短所にすごく目を向けながら作っていったし。そこで感じたのが…やっぱり寝食をともにして年間100本近くのライヴをやってるようなライヴバンドに、バンドサウンドっていうところで戦えるのかって言ったらそうではないんですよね。ただ、OLDCODEXはバンドメンバー全員が高いテクニックの持ち主であるからこそ、より幅広い表現ができる。そこにYORKE.の絵というものも絡んでくるし、そもそもこうやって表に出る時は俺らふたりで出ていってるので、“このふたりがいる”っていうのが一番の強みなんだっていうところに注目したんですよ。つまり、“俺らふたりがいればどんな音が鳴っててもいいじゃん、全部大丈夫じゃん”って、どこか開き直ったというか。なので、枠組みというものを決めてはいるけど、制限を掛けないアルバムにはしましたね。
Ta_2さんが歌い、YORKE.さんが絵を描くという根本を考えれば、ぶっちゃけ童謡でも成り立つわけですからね。究極に幅が広い。
YORKE.
そういうことですよね。無音でもアカペラでも表現できるってこと。今回、歌詞は全部曲が出来上がってから付けたけど、やっぱり制作した時期は同じだし、誰の作曲であれ一貫してOLDCODEXの楽曲という意識の中で歌詞を書いたから、そこはぶれることなくやれました。だから、何かテーマがあるのかって訊かれたら、“LADDERLESS”っていうタイトルに集約されてると言うしかないんですけど。
“LADDER”は“梯子”のことですよね。つまり、梯子がない…?
YORKE.
最初はRで始まる“RUDDER”で考えていて。これは“先駆者”とか“指導者”っていう意味なんですけど、例えばヴォーカリストやギタリスト、ミュージシャンって誰でも最初は目標とするヒーローがいたりするじゃないですか。だけど、ステージでこれだけ絵を描いて、シャウトし出すようなライヴペインターって、僕は自分以外で見たことがない。それって“RUDDERLESS”な状態だなと。でも、先駆者がいないから何なんだっていうところを、このアルバムで提示しているような感じもして。ただ、先駆者がいないって、ちょっとネガティブや政治的な意味にとらえられたら嫌なので、言葉を遊んで“LADDER”を使ったんです。絵を描く時には脚立…梯子を使うし、実際ステージにも置いているけど、もし梯子がなくても足があるじゃないかって、何となくポジティブな意味に変わる気がしたんですよね。あとは、全部大文字で表記することで、並びも梯子みたいになるし、なんかしっくりしたんです。
確かに、梯子がなくても、それでも進んでいくんだ!という強さは感じました。
YORKE.
それも多分全部大文字だからで、僕も強い意志が伝わる気はしたんですよね。“LESS”とか言ってるのに、あんま“LESS”感ない(笑)。あとは、もうひとつ仕掛けがあって、それに気付くと“L”で始めた意味も見えてくると思う。
Ta_2
何かがないっていうのは、なんかうちららしいですよね。響きもいいし、だからネガティブな感じは全然なかったです。ふたりで前に立つということに、より注目するのはありかなと思ったし、もちろんステージに立つ時はバンドメンバーを合わせて5人だっていうところを大事にしてるんですけど、言い方を変えれば“頭を張ってるのがこのふたり”っていう感覚のほうが強いんですよね。だから、さっきも言ったように制限を掛けたくなくて、作家の方にお願いした曲でも、それぞれにテーマを設けたんです。例えば「Selecter」は、ラウド、メタル、パンクというところに分類されやすい俺らがファンクをやったらどういう音の鳴り方をするのかって。「Clock」は歌モノとしての面白さ、気持ち良さはありつつ、あえてバンドの音とシンセの打ち込みの音を混在させて。全部が打ち込みのように聴こえる錯覚を起こさせながら、歌のメロディーはとつとつと流れていくっていう、ギミック色の強い楽曲にしました。
アーティスト
OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
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