【数土直志の「月刊アニメビジネス」
】「ベイブレードバースト」がTV放送
を止めてYouTubeを選ぶ時代
「ベイブレードバースト」は1997年にスタートした「ベイブレード」につながるキッズアニメで、「メタルファイト ベイブレード」を経て、2015年より現在の第3世代「ベイブレードバースト」となった。20年以上の歴史を持つがテレビアニメの放送、雑誌でのコミック連載、そしてタカラトミー(当初はタカラ)から発売する関連玩具といったメディアミックスのビジネス構造は変わらない。
YouTube「タカラトミーチャンネル」やOfficial BEYBLADE Channel、さらに中心となるのが小学館「コロコロコミック」編集部が運営する同じYouTubeの「コロコロチャンネル」。35万人を超える「コロコロチャンネル」の登録者が武器だ。前3作はいずれもテレビ東京系列で平日夕方に全国放送されていたから大きな変更である。
テレビ放送の役割は番組の認知度と人気をあげることで、放送自体からの収益は期待しない。深夜アニメでは作品に満足してもらい、DVD・ブルーレイの購入につなげる。キッズアニメはそれが玩具などのキャラクター商品になる。無料で提供され、短期間で多くの視聴者に届けるテレビは他に代えがたいメディアと考えられていた。ところが「ベイブレードバースト ガチ」第1話の視聴再生回数は「コロコロチャンネル」だけで1カ月あまりで100万回を超える。視聴率に換算しても相当な数字だろう。
「ベイブレードバースト ガチ」は、そこに注目したわけだ。自分たちの視聴ターゲットはテレビでなく、インターネットにいる。さらに配信番組はテレビの放送枠を確保するのに比べてコストを低く抑えられる利点がある。玩具連動型のキッズアニメのメディアミックスに不可欠と思われていたテレビだが、どうも違うらしい。
今後も同様の試みは増えそうだ。実際に同じ4月からスタートした「トランスフォーマー」の新作アニメシリーズ「トランスフォーマー サイバーバース」もテレビ放送はなく、YouTubeの「ボンボンTV」(登録者数180万人)、「タカラトミーチャンネル」などの配信だけである。キッズアニメにおけるテレビの存在感は次第に低下していくのかもしれない。
ところがYouTubeはあくまでもツールで、場所貸しに過ぎない。配信は製作者が自らするから配信権の購入やライセンスの支払いはない。番組にコマーシャルをつければ広告収入はあるが、それはYouTubeと分配するし、アニメーション製作をカバーする金額には十分でない。
(2)配信がマーチャンダイジングにつながること
(3)関連商品が多く発売されていること
(4)視聴ターゲットが20歳以下、とりわけキッズ層
(2)映像作品として高いクオリティ
(3)視聴ターゲットはヤングアダルトをコアに、それより高い年齢層もカバーする
近年、アニメビジネスにおける動画配信の躍進が指摘されることが多い。しかしそのかたちは実は多様だ。そのなかでYouTubeは、定額課金見放題サービスとは別のかたちで大きな可能性をもっている。そしてこれまでのテレビ放送のあり方に挑戦をしている。
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