【詳細レポート】Waive、解散中のZe
pp Tokyo公演に描いたのは人生そのも
の「救われました」
「こんなに集まってくれてありがとうございます。感謝しかないですね。だって、すごい日じゃないですか? この先、みんな振り返って、平成最後の思い出が今日のコレでしょ? 悔いのないように目一杯楽しみますので、悔いを残さないようにしっかり楽しんでいってください」──田澤
「Waive史上、ワンマンだと最も大きい会場」と田澤が語れば、杉本が「実は解散してるんですけどね(笑)」とツッコミ。田澤は「明日は令和最初のライヴをするんですよ、解散してるバンドなのに(笑)。人生分からん。またWaiveとしてステージに立って、みなさんと同じ時間を過ごして。いろんな意見があると思うんですけど……ここは押し通す。俺は今楽しんでいる!」と宣言すると、大きな拍手が起きた。後のMCで心情が詳しく明かされるが、田澤は、言葉一つ一つを慎重に選びながら想いを伝えようとしていた。
入場者全員に配布された「Dear」の再録CDについて田澤が切り出したMCでは、いつしか元号の話題へと切り変わり、「平成は終わるけど、明日(5月1日)も平成でいってええんちゃうかな? 今日のオープニングと同じように“平成、ウェ~イ!”というテンションでいけ」と杉本は田澤に無茶ブリ。杉本の言わんとするところは、Waiveはあくまでも解散中で、平成の間ずっと活動していたわけではないのに「令和の新時代“も”駆け抜けていく」と謳うことへの違和感、おかしみを指しているようである。真意を測りかねた田澤との延々と続くやり取りはまるで夫婦漫才のようで、笑いを誘っていた。
後半に差し掛かると、「あの花が咲く頃に」「Lost in MUSIC.」「assorted lovephobia」を畳み掛け、コール&レスポンスを交えながら狂騒的な盛り上がりに。メンバーは立ち位置を刻々と変えながら、全方位のオーディエンスとコミュニケーションを取り、一体感を高めていく。一人一人が放つ音はしっかりと独立しながらも互いに密接に絡み合い、蠢く大きな塊となってフロアに放出されていた。それ自体は目に見えないのだが、観客の熱狂を引き起こし、汗が揮発した蒸気の湿り気をまざまざと肌に感じることができた。
「全員で踊れ!」と田澤が煽った「ガーリッシュマインド」では、杉本や貮方が台に乗ってフロア後方を見渡したり、逆に高井が屈んだりして、会場の端から端のファンと隈なく目を合わせ濃密なコール&レスポンスを積み重ねていった。終盤を迎えても全く衰えの感じられない田澤のハイトーンが響きわたり、「ラストー!」というコールで「いつか」がスタート。今という時を悔いなく燃焼したい、という切実で誠実な覚悟が、歌に、音に表れていて涙腺を刺激する。“あ、あ、い、つ、か”と一音一音を区切り、全員で魂を込めて強く打ち付けるパートには、バンドとしての強固な結び付きと熱量を感じた。
「楽しんでいただけましたかね? 僕も楽しかったです、ありがとうございました」と感謝を述べた後、田澤は杉本に近寄って互いに指をさし合い、オフマイクで話し合い、MCの順番を確かめている様子。結果、杉本が先にマイクを執り、語り始めた。
平成が終わり、始まりが明日あるわけで、2005年の解散ライヴのことを昨夜考えていたんですが。14年経ってこんな日が来るなんて、この世にいる人、この世にいない人も含めて、誰も思ってなかったんじゃないかな?という気がする。生きてるといろんなことがあるもんですね。
時間が流れていく中でいろんなことを経験して、いろんな選択を人は強いられ、正しいことも間違えたことも、選ぶ。その時、正しいと思っていたこともいつか正しくなくなる時もあるし、間違っていたことが“正しかったのかな?”と思うこともある。生きてるとそんなことばっかり。誰の選択にも正解も間違いも存在し、14年経って、出会うと思わなかった人と出会い、サヨナラした人と出会い、いろんなことがあって……。自分が間違っていると思っていたことが間違いじゃなかった、と感じることもあって。何かを許すことがあるんだな、と思っています。
それはきっと俺にも起きていることで、誰かが俺を許していなかったとしても、時が流れてお互いがいろんな経験の中で、許してくれることもきっとあると思うので。お互いが生きていく中で、許し許され、年を取っていくのがいいのかな?と思うようになりました。 年明けたぐらいかな? 僕の人生にとって一番しんどいなと思う時期を過ごして、そんなしんどい中、14年前に解散したバンドのツアーがあって、こうやっていろんな人が会いに来てくれて、メンバーがいて、スタッフがいて。それまでの人生で一番しんどいことを味わわされた奴らと過ごして、救われて……。不思議だなと、このツアーは本当に思いました。生きてるとこんなこともあるんだな、と痛感しているので。またこの先、生きていく中で、怒ったり憎んだり、笑ったり愛したりすると思うんですが。全部、その時が答えじゃないと思うので。楽しみながら生きていけたらいいな、と思うし。そうみんなも思ってくれたらいいな、とつくづく感じるツアーでした、救われました、ありがとうございました!」──杉本
切々と語る杉本の言葉に、じっと聴き入るメンバーと観客。田澤はそれを受けて、言葉を詰まらせながら、こう語った。
僕が脱退の意思を表明したことが解散のきっかけでした。それもあって、1回目の再演の時は気持ち的に“懺悔” (※BARKSの田澤インタビュー参照)。こんなにたくさんの笑顔を奪ってしまった……と。でも、それを知るきっかけを与えられるということが、まず、希少なことだったと思うんです。本当にありがたい体験をさせてもらったのね。絶対普通に気付けることじゃないので。それを経て、2回目の再演を経て、今ですよ。ちょっとやそっとでは出来上がらないものを、長い長い時間といろんな人の力を借りて……本当に楽しいんです。楽しいと思えてるんです。そう思えるようになれるまで、すごく長い時間が掛かったし、いろんな人を傷付けたし……。
正解はないと思うんですけど、僕の感覚としては長い長い道のりでしたけども、こうやって昔から来てくれてた人、それから、解散後各々の活動からここに辿り着いてくれた人、いろんな人がいると思いますけど、こういう“今の状態のWaive”を観てもらえてよかったな、と思えるツアーを回れましたし、今日もそういうステージができました。先のことは誰にも分からないですけど、状況とかいろんなものが許すのであれば、また集まれるだろうし。
……かといって、僕が許されたと思ってるわけじゃないですから。僕は僕で、一生抱とかなあかんものがある。でも、それはそれでいいと思うし。みんなにとってのWaiveが少しでも素敵なものになってくれたら、僕は幸いです。今後、またWaiveとしてみなさんの前に現れることがあったなら、それもまた新しい思い出の1ページとして、みんなの中に刻んでもらえたらな、と思います。感謝ばかりでございます、ありがとうございました!」──田澤
書き起こしたのはこれでも一部だが、率直なMCは感動的で、8月29日リリース予定のLIVE Blu-rayには全MCが収録されるとのことなので、是非ご覧いただきたい。田澤は、許されることを未だ自分では許していない潔癖さを見せ、その重みについては考え込んでしまったが、「楽しい」と表明できている事実を尊く感じた。「上手いこと言ったんですよ、杉本さんが。この人、予言者なんですよ」と田澤は杉本を評し(「あ、そうなんです(笑)」と杉本は応じていた)、「言葉にならない想いだったりとか、僕らのこれまでの道程とか、もしかしたらこれからの道程も、次の曲に全部置かれてる、そんな気がします。最後に贈ります、「HEART.」」とコールした。
一列に並んで肩を組み、深いお辞儀をした4人。ステージ上に降り積もったハートを手に取り、メンバーはフロアへと投げ入れていた。この3時間のライヴは、19年の長い旅の果てに辿り着いた場所。そこは温かく、居合わせた人々の泣き笑いによって祝福されていた。
BARKSインタビューで田澤は、このライヴで「燃え尽きたい」と語っていた。杉本は「解散ライヴをして、みんなを悲しませることも二度とない分、“Waiveとして再結成した”という言い方もしない」と明言していた。実際にこのライヴを終えて、心境の変化はあったのか、なかったのか。例えば、「救われた」とまで語るに至った杉本の心境の変遷を深く掘り下げたいし、ライヴを観終えた今、彼らに聞きたいことが新たに芽生えて来ている。このバンドが描く物語の次のページに出会いたい。そんな気持ちに自然となってしまう、未来を感じさせるステージだった。
取材・文◎大前多恵
撮影◎Viola Kam (V’z Twinkle)
■<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>2019.4.30@Zepp Tokyoセットリスト
01. Days.
02. FAKE
03. バニラ
04. PEACE?
05. 君と微笑おう
06. わがままロミオ
07. One
08. ASIAN「noir」GENERATION.
09. Just Like Me
10. Dear
11. 銀河鉄道
12. 世界がすべて沈む-Pain
13. spanner
14. あの花が咲く頃に
15. Lost in MUSIC.
16. assorted lovephobia
17. Sad.
18. ネガポジ (Negative&Positive)
19. ガーリッシュマインド
20. いつか
encore
en1. BRiNG ME TO LiFE
en2. HEART.
■LIVE Blu-ray『Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ』
※2019年4月30日 Zepp Tokyo公演の全曲、全MC & オマケ映像も収録
期間限定通信販売 / 完全受注生産 ¥8,800(税込)
4月30日より受注スタート
受付期間:2019年4月30日22:00-7月31日23:59
発送:8月29日リリース予定
購入 http://waive.shop/
■Waiveメモリアルライブフォト発売
※Waive GIGから選りすぐりのライブフォト全50枚を5月中旬より期間限定で販売
▼対象公演
<Waive GIG 「サヨナラ?」愛しい平成よ>2019.4.30 Zepp Tokyo
<Waive GIG 「まだ見ぬ”令和”へと駆け抜けてく>2019.5.1 恵比寿LIQUIDROOM
※ライブフォト全50枚の中から、好きな写真をセレクトしてご購入いただけます
※また全50枚セットをご購入の方には、さらにスペシャルフォトをプレゼント
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