【ナノ ライヴレポート】
『Remember again』
2019年3月16日
at 渋谷ストリームホール
2019年3月16日 at 渋谷ストリームホール
それは“7年前の過去を書き換える覚悟はできてますか!”と煽って以降さらに勢いを増して、TVアニメ『BTOOOM!』のオープニング曲「No pain, No game」では凄まじい合唱と拳の嵐が巻き起こる。数々のアニメ主題歌を担当していることで、作品との相乗効果を果たしながら、楽曲の世界観をよりドラマチックに昇華させられているのもナノの大きな武器。胸高鳴らせるメロディーと広がりのあるサウンドスケープで拍手を呼んだ「DREAMCATCHER」に、“新しいかたちで届けたい”と自らアグレッシブにギターをかき鳴らした「Scarlet Story」で場内のテンションを高め、雪崩れ込んだ「SAVIOR OF SONG」でのオーディエンスとの一体感は圧巻。いずれもアニメタイアップ曲で露わになったこの求心力こそ、7年で培われてきたナノの力なのだろう。
また、記念日のライヴということで、ナノの歴史を振り返る側面も。“過去を振り返るには欠かせない曲。ナノ自身一番辛い時に描いた曲で、今、強くなった自分だからこそ歌いたい”と、中盤では愛用のテレキャスとともに「EMPTY SHELL」をライヴ初披露。痛みを滲ませた歌声で聴く者の胸を熱く濡らした。
このライヴに懸けるナノの想いに触発されてヒートアップするフロアーは、「The Crossing」の大合唱で心をひとつにし、“まだあの曲やってないよね?”と本編ラストで最新シングル「KEMURIKUSA」が披露されると、真っ赤なライトのもと、スシ詰めのまま飛び跳ねてもみくちゃに。ナノそのものを表した「magenta」で幕開け、マゼンタと黒をテーマカラーとする最新曲で締め括るという構成は実に見事で、現時点での集大成とも言えるワンマンに相応しい。
“これが本番なんじゃないかっていう熱量”とナノが漏らしたほどに熱いアンコールの最後には、“初めて会う人たちが“ナノ!”って呼んでくれて、ほんとに生きてて良かったと思った”という初ステージを思い返し、“みんなのお陰でここまで来れました”と涙ぐむ場面も。そして、“感謝の気持ちを込めて。次の『Remember again』で会いましょう”と贈られたラストソング「Freedom Is Yours」では、ポジティブなオーラがその音から、声色からあふれ出して、場内をやさしい感動で包み込んでいく。“現時点での最高の自分を観せたいですし、今までで一番パワフルなライヴにしたい”——インタビューで語られた言葉を叶えた先に、輝かしい未来を予感させて、アニバーサリーなステージは幕を閉じた。
撮影:ATSUSHI/取材:清水素子
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