【AIRFLIP インタビュー】
AIRFLIPが高らかに奏でる
新たな旅の始まり
L→R Fujimon(Ba&Cho)、Satoshi(Vo&Gu)、Ritsuya(Dr&Cho)、Gucci(Gu&Cho)
老若男女に届けられるグッドメロディーと観客を巻き込むシンガロングを武器に大阪の4人組、AIRFLIPがステップアップに挑む! ポップパンクの影響を受けながら、それだけにこだわらない活動をしていこうと考えている彼らが追い風を感じながら作り上げたのが最新ミニアルバムの『Friends In My Journey』だ。バンドを代表して、Satoshi(Vo&Gu)がそこに込めた想いを語ってもらった。
1年振りに新しいミニアルバムをリリースする現在の心境からまず教えてください。
毎回そうなんですけど、今回もメンバー全員が新しいことに取り組みながら作り上げたので、みんなに聴いてもらうのが待ち遠しいです。今回のリリース、その後のツアーを通して、AIRFLIPに関わってくれる人も増えて、今まで以上に多くのチャンスをもらえると思うんですよ。実際、AIRFLIPの音楽をひとりでも多くの人に聴いてもらうため、すでに多くの人が動いてくれているので、ライヴに足を運んでくれるお客さんの数も増えると思うんです。なので、すっごい楽しみですね。
現在のメンバーが揃ったのが2015年。そこから毎年、リリースを重ねてきましたが、確かに今回の作品で活動にまた弾みがつきそうですね。それまで英語で歌っていたAIRFLIPが初めて日本語の歌詞に挑戦したEP『BRAND NEW DAY』(2017年4月発表)はバンドにとってターニングポイントになったと思うのですが、そのタイトル曲は未だにMVの再生回数が増え続けていて、ついに28万回を超えました。そういう新しい挑戦が受け入れられたことで、自分たちがやってきたことは間違っていなかったのだと改めて確信できたところもあったのではないでしょうか?
そうですね。ライヴのお客さんが増えてきたってこともあるんですけど、そこをメンバー4人で共有できたのは大きかったですね。だから、今回のミニアルバムを作る時もこれまで以上に真剣に取り組むというか、自分がやるべきことは何なのかを各パートがそれぞれに追求できたし、バンドとしてもさらに結束が強くなったと思います。リリース後のツアーもクオリティーの高いライヴを観せられるんじゃないかという自信があります。
自分たちの音楽を多くの人に聴いてもらえるチャンスだと思った時、自分たちはどんな音楽をやっていけばいいのか、改めて考えたりもしたのですか?
改めて考えたというよりは、メロディーを一番重視するっていうのはずっと変わらないですね。“ポップパンク”って周りからは言われてますけど、自分らではそのカテゴリーに収まるつもりは全然なくて、ほんとに全員が“このメロディー好き!”っていうものをやっていきたいですし、それを演奏している自分たちと同じようにお客さんにも楽しんでほしいですね。いいメロディーを届けるっていうのは一貫してあります。ただ、作品の中ではメンバーそれぞれに新しいことにチャレンジしたり、今回から歌詞をメンバー全員でシェアして、試行錯誤しながら作るってこともやってみたりしていて。そういう意味では英語の歌詞も日本語の歌詞も、ともに聴いた人がよりイメージしやすいものになっていると思います。
そうなんですね。ポップパンクというこだわりはそんなにないと。
もちろん、そういう要素もあるとは思いますけど、そのカテゴリーだけにこだわってはいないです。
それはいつから?
『BRAND NEW DAY』の前に出した『MILES FLAG』(2016年6月発表)というアルバムの時は、AIRFLIPがポップパンクだと言われ出した頃だったので、ちょっと意識してポップパンクに寄せたところもありましたけど、『BRAND NEW DAY』で日本語を入れて、お客さんに寄り添ってやってみたらライヴの雰囲気が明らかに変わって。聴いてくれているお客さんの表情もやっぱり日本語で歌うからこそ、すごく共感してくれてるように思えたんですよ。そこからポップパンクにこだわらず、いいメロディーでより伝わりやすい歌詞でやっていこうって。
『Friends In My Journey』を作るにあたって、伝わりやすい歌詞といいメロディーを届けるという大きなテーマの他にはどんな作品にしようと考えたのですか?
いつもアルバムを作る時はできた曲を並べてから“こういうアルバムにしよう”って考えるんです。だから、作り始めた時は今回も“こういうアルバムにしよう”というイメージはなかったんです。ただ、曲を作っている段階からライヴのお客さんや関わってくれる人たちが増え始めて、ここからもう1個大きなステージにステップアップできるんじゃないかって時に、自分らはいつも前ばかり見て走ってしまうけど、一番大事にしなきゃいけないのは周りのサポートしてくれる人たちを忘れないようにすることだという想いが芽生えてきて。AIRFLIPはここから大きな旅に出るけど、その旅に賛同してくれる仲間を巻き込んで、どんどん上がっていきたいと思ったんです。そういう意味で“Friends In My Journey”というタイトルになっているんですけど、タイトルが決まってからはそういうテーマのもとに曲を作っていきました。
最初にできた曲は2018年10月に配信した「Memory」?
そうです。その頃はまだ“Friends In My Journey”というタイトルもなかったので、「Memory」はシンプルに…世の中がどんどん変わっていくけど、変わることって怖いじゃないですか。でも、変わっていかないと自分たちも生き残れないという葛藤の中で、初期衝動とか、音楽を始めた頃のスタジオでただ音を鳴らしているだけで楽しかった気持ちとか、変わらないものが自分の中に絶対あるはずだから、変わることを恐れずに前に進んでいこうという前向きな気持ちを歌った曲になってます。
そこから曲作りはスムーズに?
曲はどんどんできていったんですけど、日本語の歌詞を書くのにやっぱり時間がかかりました。それで、もっともっと分かりやすく、多くの人に共感してもらえるような歌詞を書くには、自分だけで書くのもいいけど、メンバーとシェアして意見をもらいながらやってみようって。それで、みんなでああだこうだ言いながら。大体の流れや大まかな意味は僕が作っているので、そこからぶれることはないんですけど、言葉の選び方ですよね。そこをみんなで考えました。
いただいた資料に載っている歌詞も何度か更新されていたので、何度も書き直しながら完成させたんだなって。
レコーディング後に書き直したりもしたんですよ。
じゃあ、ヴォーカルを録り直した!?
はい。それがリード曲の「Dear Friends」なんですけど、最後にサビと同じコード進行を使って、もう1個のサビみたいな感じでシンガロングを入れているんです。そこの歌詞はお客さんみんなと一緒に歌いたいと思って、ギリギリまで考えてレコーディングしたんですけど、それもちょっと違うとなって。そこからまた書き直して、歌だけ録り直したんです。
《Let’s go together when we’re alone》という歌詞ですね。
そうです、そうです。やっぱり旅なので(笑)。アルバムタイトルが決まってから書いた歌詞が多いので、今回は旅とか、仲間とか、そういうテーマで一貫性が見えるものになっていると思います。
あと、新しいことに挑戦したともおっしゃっていましたが。
メンバーと歌詞をシェアしたことで、今までひとりで書いていた時には出てこなかった言葉を入れられたことが僕の中で一番大きいですね。その他にもGucciのギターのリフとか、Ritsuyaのドラムのフレーズとか、Fujimonのコーラスのハモリ方とかいろいろあるんですけど、さっき言った「Dear Friends」の最後のサビの別メロでシンガロングするっていうのも、ずっとやりたいと思っていたアイディアだったんですよ。AIRFLIPの曲にはシンガロングが多いんですけど、どういう差し込み方をするか、常に新しいやり方を考えているんです。掛け声とかだけじゃなくて、ちゃんと歌詞があるシンガロングはAIRFLIPの歴史で言うと結構新しいんじゃないかな。ライヴでやるのが楽しみですね。
「Way Home」は2ビートの、いかにもメロコア調の曲でありつつ、全編日本語の歌詞というところが面白いですね。
それも今までなかったですね。メロディーを作った時、日本語でもはまりそうだってピンと来て、そこから日本語で作り始めたんですけど…英語に逃げたりせずに(笑)。最後までぶれなかったですね。
そして、「Star Journey」に元YELLOWCARDのRyan Keyが参加していることも今作の話題のひとつですね。
そうなんですよ! メインヴォーカルを僕と交互で歌ってくれたんです。Ryanと共通の知り合いがいたこともあって、メンバー全員がYELLOWCARDは通っているし、ぜひ!ってお願いしたんです。これをきっかけに関係を深めて、また面白いことができたらいいですね。
今回の作品をきっかけにバンドの目標もまた違うものになるんじゃないかと。
ひとりでも多くの人に自分たちの音楽を届けるってところは変わらないですけど、より多くの人に届けるという意味では、ホールも含めて大きなステージにも立っていきたいですね。そこに向かって全力でやっていくだけです。その中でいろいろ見えてくると思うんですよね。それを見付ける旅でもあると思うんですけど、今は目の前のことに集中したいです。
最後に3月30日の渋谷CYCLONE公演から始まるツアーの意気込みを聞かせてください。
今、一曲一曲、各パートごとにディテールにこだわって、濃密に練習している真っ最中なんです。今回のツアーはこれまで以上に完成度の高いライヴができると思います。全国各地にAIRFLIPの音楽を響かせながら、お客さんの気持ちをしっかりと掴みたいですね。
取材:山口智男
「Dear Friends」MV
「Star Journey
(feat.William Ryan Key)」MV
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