音楽と演出と声優たちが生み出す「3
.5次元」の世界飛行~音楽朗読劇「R
EADING HIGH」第3回公演『Chèvre N
ote~シェーヴルノート~』
(c)READING HIGH
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改めて物語に戻ると、作品はジル・ド・レへの異端審問の場から始まる。審問が進む中でも反応を示さないジル・ド・レ、彼は悪魔を召喚しようとして失敗し、心と体が分離してしまっているのだ。その心に語りかけるのが悪魔グラシャ=ラボラス(大塚明夫)。ラボラスはジル・ド・レに魔法の力を与える代わりに対価を払えと取引を持ちかける。その対価とは? それこそが本作のキーポイントなのだが、求められるのは「忘れがたき記憶」なのだ。ジル・ド・レはその条件を飲む。彼が求めるのは唯一「異端として火あぶりになったジャンヌ・ダルクの復活」。詐欺師を従軍させるなんてとジャンヌに嫌悪感を示していたジル・ド・レがなぜすべてを掛けてまでジャンヌの復活のため動き出すのか? 物語はそこから出会いの瞬間へとプレイバックしていく。
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大塚明夫のグラシャ=ラボラスはシニカルに軽口を叩いていたかと思うと、次の瞬間に静かに恫喝するように語る。大塚の熟練した言葉使いの凄さを感じながらも物語は進む。戦いの中で少しずつ戦士たちの命を背負い、変わっていくジャンヌ。そしてそれに呼応するように変わっていくジル・ド・レたち。ジャンヌが事あるごとに発する「嘘に命のせなきゃ、嘘は嘘のまま……」という言葉がその色合いを少しずつ変えていくのに合わせて、世界をのぞき見ている観客の心も動かされていく。その美しき思い出を売り払うことで昏き願いを実現しようとするジル・ド・レ、親友として彼を止めようとするアランソン公、従者としてジル・ド・レに付きそうラ・イルそれぞれの思いが突き刺さる。
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本編ラストシーンは、満天の星空の中物語の幕が閉じる。まさにそれは明日へとつながる道標のように見えた。その先にある現代の私達に、ジャンヌ・ダルクたちが生きた人生はつながっている。時間と場所を飛び越えてそんな感想を持たせてくれた『READING HIGH』が次に見せてくれるのはどんな物語なのか? 期待しながら待ちたい。
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