【ライブレポート】2019年、“メリー
”の展望
場内に入ると、ステージ上には楽器やマイクが観客を歓迎するように並べられている。この円形の舞台を360度取り囲むように設置された客席は、かつてないほどメンバーとの距離が近い。クリスマスにふさわしいスペシャルな場所でMERRYを観られるとあって、開演前からファンの気分は高まっていた。
円形ステージの周縁を歩きながら歌う彼と、着席スタイルで演奏に徹する楽器隊という珍しい構図が、この楽曲の叙情と哀愁をさらに高めている。ガラが思わずこう述べる。「どこを向いたらいいかわからないけど、普段見れない角度からMERRYを楽しんでください。平成最後のクリスマス、思い出に残りますように。CORE(MERRYのFC名称)限定なので、ちょっとはミスするかもしれませんが、大目に見て!」
この第1部のハイライトは、メンバー自身がやりたい曲を1曲ずつ披露するという“メンバーリクエスト”のコーナー。ガラ「恋哀交差点」、結生「リフレイン~土曜日の涙~」、健一「群青」、テツ「新曲」、ネロ「nameless night~名もなき夜~」といった各人のキャラクターがよく伝わってくる選曲に観客は大喜び。作詞作曲への自画自賛や直感など、選曲理由の一つひとつにもファンへの想いがこもっていて、頬が緩むシーンだった。これらの曲の詩情に浸るCOREファンに向けて、いくつかの嬉しい告知がなされた。
そして2019年春のミニアルバムのリリースが決定。タイトルは『for Japanese sheeple』とのこと。ガラいわく、ツーマンツアーの終わり頃には発売したいとのことなので、続報に期待したいところだ。また、本作のリリースに伴うワンマンツアーも決定している。こちらは5月5日の仙台CLUB JUNK BOX公演を皮切りに、6月14日の東京・日本橋三井ホールでのツアー・ファイナルまで全7ヶ所で開催。
この後、ガラがタンバリンを軽快に鳴らしながら叫ぶ「ハライソ」、寒い時期だからこそのぬくもりが嬉しい「Happy life」と続き、ラストは「この曲をやらないとMERRYのクリスマスは締め括れない」とのガラの言葉に導かれた「冬のカスタネット」。この美しいメロディに涙腺を刺激されているうちに、あっという間にMERRYのアコースティック・ショーは終わりを告げた。
FC限定だからこそのセットリストと趣向に大満足の第1部だったが、それ以上に気づかされたのは、MERRYがいつの時代もアコースティック・アレンジが映えるような素晴らしい楽曲を生み出してきたこと。演者の鼓動を間近に感じられるこの場所でのアコースティック・ショーをまた観たくなった。
ムード満点のSEとともに、開場時には観客と同じ目線の高さにあったステージが一段上昇する。ガラ、結生、健一、テツ、ネロの5人を観客が総立ちで迎えると、着席スタイルでしっとりと楽しんだ第1部とは異なる熱気がすでに発生している。
「こんな距離感でメンバーとライブやることもないし、新鮮でしょ? 今夜は行けるとこまで行きましょう!」とガラが扇動する。ここから続けて披露された「Fleeting Prayer」「クライシスモメント」「黒い虹」は、非常に緊張感のある流れだった。闇の中でもがき、叫び、祈るガラから溢れ出す感情にじっと見入るファンの立ち姿が印象深い。そんな演劇にも似たスリルの直後、「第1部からやってて思ったんですけど、みんなが回ったらいいんじゃない?」とファンを笑わせることも忘れないガラであった。
アンコールに応えて、MERRYのメンバーたちが再び登場する。「あと1曲、冬の季節に合う歌をやりたいと思います」と彼らが奏で歌い始めたのは「ラストスノー」。この哀愁の余韻に包まれた場内に、ガラの「品川、ありがとうございました! 良いお年を! メリークリスマス!」の声が響き渡り、第2部は幕を閉じた。
このクリスマスの夜に改めて感じたのは、どんな見せ方でも“映える”情緒豊かな歌をMERRYが無数に持っているということだ。彼らの音楽をたっぷりと浴びれば、誰もが心の底から自由になれる。ミニアルバムやツアーに関しても、彼らはきっと想像以上の景色を見せてくれるだろう。最新型が常に刺激的。2019年、“メリー”が掴み取る新たな自由をともに謳歌したい。
文◎志村つくね
写真◎中村卓
3月2日(土)岡山YEBISU YA PRO
w/defspiral
3月3日(日)名古屋THE BOTTOM LINE
w/Psycho le Cému
3月7日(木)大阪味園ユニバース
w/MUCC
3月9日(土)神戸Harbor Studio
w/メトロノーム
3月21日(木祝)仙台CLUB JUNK BOX
w/DEZERT
3月22日(金)高崎club FLEEZ
w/DEZERT
オールスタンディング
¥5,500(税込・D代別)
<メリー ONE MAN TOUR 2019「for Japanese sheeple」>
5月6日(月・振)高崎club FLEEZ
5月10日(金)名古屋THE BOTTOM LINE
5月11日(土)大阪味園ユニバース
5月25日(土)岡山YEBISU YA PRO
5月26日(日)神戸Harbor Studio
オールスタンディング
¥5,000(税込・D代別)
メリー ONE MAN TOUR 2019「for Japanese sheeple」-FINAL-
6月14日(金)日本橋三井ホール
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