【福耳 インタビュー】
福耳は刺激をもらえるユニットで
お互いのファンでもある
写真上段左より、杏子、山崎まさよし、岡本定義、あらきゆうこ、元ちとせ
写真中段左より、大橋卓弥(スキマスイッチ)、常田真太郎(スキマスイッチ)、長澤知之、秦基博
写真下段左より、さかいゆう、浜端ヨウヘイ、松室政哉、村上紗由里、竹原ピストル
オフィスオーガスタのメンバーによるスペシャルプロジェクトとして今年で活動20周年を迎えた福耳の最新リリースは、新曲入りのベストアルバム『ALL TIME BEST ~福耳 20th Anniversary~』と、岡本定義(COIL)プロデュースによる福耳初のオリジナルアルバム『シンガーとソングライター ~COIL 20th Anniversary~』の2枚。個性豊かなアーティストたちの共同作業を、杏子(Vo)が語ってくれる。
『ALL TIME BEST ~福耳 20th Anniversary~』は20年の歴史を完全網羅したベストですね。
気が付いたらこれぐらい貯まってましたね。福耳というグループでずっとやってきたわけではなくて、毎年夏になると『Augusta Camp』があるので、“曲作る?”みたいな感じで作っていった作品が積もり積もってここまできたという感じですね。
初期は杏子さんがメインヴォーカルで、メンバーがコーラスで支えるというパターンが多かったですが。
そうですね。でも、私は“嫌だ!”って言ってたんですよ。“みんなで歌おうよ”って。ただ、キーの問題もあったせいかひとりで歌うということになったんですけど、みんなで割って歌いたいってずっと言ってました。「星のかけらを探しに行こう Again」も最近はライヴでは全員で歌ってるんですよ。男子はキーが高くてヒーヒー言いながら歌ってますけど(笑)。
作曲する人によっても曲の個性が変わりますよね。さかいゆうさんの曲「LOVE&LIVE LETTER」(2012年)はものすごくメロディーが飛ぶから難しいだろうなとか思ったり。
あれはハーモニーが難しくて、みんなでブーブー言ってた(笑)。面白い話があって、ゆうくんのイベントでスキマスイッチと秦 基博と私が「LOVE&LIVE LETTER」のハーモニーをやったんだけど、楽屋で練習してたら秦のパートを聴いた卓弥(大橋卓弥/スキマスイッチ)が“それ、俺のパートだよ!”と言い出して、秦が静かに“…僕は僕のパートしか覚えてません”と言ったのがおかしくて(笑)。
どっちが正しかったんですか?
卓弥はすっごい自信持って“違うよ!”って言い切って。ディレクターを呼んで確かめたら秦が合ってた(笑)。卓弥は器用だからどのパートも歌えちゃうんですよ。私と秦は自分のパートしか覚えないんですけど。
基本、曲を作った人がディレクションするんですか?
そうなんですけど、去年は違いましたね。「ブライト」は長澤知之が作詞作曲で「Swing Swing Sing」は秦 基博が作詞作曲だけど、初の試みで山崎まさよしがディレクションとアレンジをしました。あれは面白かった。それぞれがヤマ(山崎の愛称)とコミュニケーションを取って、細かい音の重ねや歌はオーガスタのスタジオでやったので、いつでも誰かしらが音を入れてて。去年のその2曲はみんなでずっとスタジオに居て作った感じはありました。
そして、今年の新曲「八月の夢」の作詞作曲がCOILの岡本定義さん。
サダくん(岡本の愛称)が福耳の20周年とCOILの20周年をすごく思って書いてくれた曲だと思いますね。メロディーも歌詞も“何の言葉遊び?”と思ったけど、めちゃ上手くできてる。卓弥が歌う《夢の中で見た夢は夢から醒めるって夢だった》と、秦が歌う《どうしようもないことはどうしようもないんだよ》は禅問答的なんだけど、言葉のからくりが素晴らしいんです。そして、一番最後の《雨上がりの空に星のかけらを探してたこと決して忘れない それは夢ではない》というフレーズに、感動のあまりサダくんに“すごい歌詞だね”って送ったら、“そこ、姫に泣いてほしくて書いたんだよ”って。じゃあ、卓弥が歌ってる後ろで泣くかって(笑)。
演出家ですね。
舞台作家というか、彼は建築を勉強してたから、物事を立体的に考えて表現するから、深い歌詞が書けるのかな。音楽もそうだし。それぞれに向けて当て書きをしてる感じですよね。
20年前を知る方も、最近のファンの方もぜひ一聴を。そしてもう1枚、COILの20周年を記念した『シンガーとソングライター ~COIL 20th Anniversary~』も出ます。
サダくんがオーガスタのミュージシャンに対して“この人にはこの世界観で歌わせたい”ということを考えて作ったアルバムですね。本当に演出家みたいな視点だなと思います。
杏子さんが歌っているのは「女神誕生」ですが。
かなりエロティックな男性目線の歌なんですよ。でも、サウンド的にはめちゃさわやかで、そういう捻じれを上手く使ってくるなと思いましたね。ゆったり流れてるけど、実は細かい16ビートで切っていかなきゃいけない歌なので、息使いとかちょっと難しかったかも。16ビートとの闘いでした。
良き仲間と良き音楽。杏子さんにとって福耳とは?
本当に刺激的ですね。毎年夏になって福耳としていろいろやる時に、“こんなに歌が上手くなってる”“こんなことできるんだ”とか、みんながすごい進化しているので。刺激をもらえるユニットでもあるし、単純にお互いのファンでもあります。
今年の『Augusta Camp 2018 -20th Anniversary-』は9月23日に富士急ハイランドで開催されますね。
去年はオフィスオーガスタのミュージシャンだけで成立させて、それで見えてくるものがあったんですよ。なので、核となるいろんな声があるし、ひとりひとりの声をプッシュすることを改めてやってみようかとか、福耳の曲でやってない曲もやってみたいとか、いろんな意見が出てますね。すごく楽しくなると思います。フードコートも充実なので。
フードコート! 夏フェスのお楽しみですね。
ミュージシャンがプロデュースするフードがあるんですけど、お互い負けられないんで(笑)。去年は私とシンタくん(スキマスイッチの常田真太郎の愛称)のが早く売り切れたんだけど、シンタくんなんて前日のリハーサルの合間にフードコートに行って、お店の人に“よろしくお願いします”ってやさしい気遣いをしながら、ちゃっかりサインしてるの(笑)。私が当日の朝に行ったら“杏子さん、来るの遅い! シンタさんは昨日来てくれてサインしてくれたよ”って。作ってくれる人のモチベーションも上がるから、さすがシンタくんだなと(笑)。ガチの勝負ですから。ライヴもフードコートも楽しいですよ。
取材:宮本英夫
「八月の夢」MV(Short ver.)
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