【Superfly インタビュー】
「Bloom」は歌うたびに
解釈が変わるんです
Superfly
Superflyが通算23枚目となるシングル「Bloom」を発表。心に染み入るバラード「Bloom」と、TBS系金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』の主題歌となったジャジーポップ曲「Fall」についての話を訊いた。
まず表題曲「Bloom」の話からお訊きしますが、“咲いた”(=Bloom)というキーワードはどのように出てきたんですか?
初めに去年のコンサート(『Superfly 10th Anniversary Premium LIVE “Bloom”』)のタイトルとして付けたんですよ。あのコンサートはステージ上がどんどんお花でいっぱいになって、満開になっていくというコンセプトだったので。デビューから10年の中で、私自身がこうして咲いたんだってことを言いたかったんですね。“咲いた”という言葉が出てきたのは、この曲をサウンドプロデューサーの蔦谷好位置さんにオーケストラアレンジをしてくださいとお願いして、できてきたものを聴いた時に、頭の中に人が動いていく姿が浮かんだからで。何かこう意志のようなものを感じたので、“行くわ”とか“決めた”とか、そういう動詞がいいなって思って。それで、“咲いた”が一番ぴったりくるなと思ったんです。だから、作詞をしてくださったいしわたり淳治さんにも“咲いた”という言葉は絶対に入れてくださいと伝えました。
いしわたりさんからこの歌詞があがってきた時、どんなふうに感じました?
私、ここに一番感動しました。《誰も気づかないかもしれない こんなささやかな花には いまは頼りないけど いつか 綺麗な永遠の花を咲かせられるわ》ってところ。読んだ瞬間、涙がブワーっと出てきて。
どうして涙が出たんだと思います?
これ、恋愛曲として作詞の依頼をしているんですけど、私は必ずしもそういうつもりだけで歌っているわけではなくて。もっとこう、人生の歌のようにもとらえられるなと思ったんです。《二つの太陽》という言葉があって、それは“自分”と“あなた”というふうにもとらえられるけど、私は“過去の自分“と“今の自分”、“Superflyとしての自分”と“本当の自分”というふうにも解釈していて、それがようやくひとつになったというような…。そうして今またここから歩き出すんですけど、まだ頼りなくて、きれいな花として咲くかどうか分からない。でも、きれいな花を自分でしっかり咲かせて、それを育てていかなきゃな…っていうような今の想いにこの4行が重なって。それで涙が出てきたんでしょうね。
「Bloom」も、それからこのシングルに収録された「ユニゾン」(作詞は同じく、いしわたり淳治)も、“ふたり”で手を取って同じ呼吸で未来へ進んでいくというテーマの部分で通じ合っているように思うのですが、その“ふたり”を志帆さんは“ふたりの自分”というふうにとらえて歌っていたと。
もちろん恋愛の歌として受け取って聴いてもらえればいいんですけど、私にはひとりの人間の話として響いた。人間誰しも陰と陽とか、多面性がないと成立しないし、一方からしか見られない人間って面白みもないですからね。いろんな特性があって自分というひとりの人間ができている。お休みしていた期間を経て、今はそういうふうに理解できるんです。
そうすると、「Bloom」の最後で歌っている《あなたと歩いてゆく》の“あなた”というのも…
悩んだんですけど、結局は“自分の中の自分”と解釈して歌いました。“これからも、自分、よろしくね!”みたいな感じ。
それは志帆さんがSuperflyに言ってるようなイメージなんですかね?
そうですね。でも、私がSuperflyに向けて歌っている時もあれば、Superflyが私に歌っているような時もある。そこは流動的なんですよ。日によって変わるのが面白くて。その感じって、今まで他の曲で体感したことはなかったんですけどね。これはその時によって解釈の仕方や深みが変わる不思議な歌なんです。だから、日によっては完全にラブソングとして歌うこともあるでしょうし。
僕は“あなた”をファンのことと解釈することもできるなと考えたんですよ。
あぁ、そう考えたら…泣いちゃうな。
それから、“あなた”を音楽と解釈することもできるなと。
そう! それもある。この歌はそうやって私自身の解釈も少しずつ変わっていってるし、レコーディングした時よりも今のほうがより自分の曲として共感できるんです。
では、もうひとつの新曲「Fall」について。「Bloom」が繰り返し聴くうちにじわじわと深みに感動させられる曲だとするなら、こっちは一聴してその強烈なインパクトにやられる曲で。複雑な曲構成でありながらもラジオフレンドリーですね。
あ、良かった。ジャズだからマニアックな方向にも行きやすかったんですけど、間口が狭くなってないかな、お洒落すぎちゃ良くないな、カッコ良すぎてもダメだな…って、そのへんはだいぶ意識してたんですよ。だから、ポップに聴こえるようになったのかなと。アレンジに関してもあまり複雑にしすぎないで、もう少しシンプルにって話を蔦谷さんにしてました。
アレンジが凝ってて相当カッコ良いのはもちろん、何と言っても志帆さんのヴォーカルが変化に富んでいる。
実はこの曲、ハンドマイクで歌って録ったんですよ。レコーディングは普通、吊るされたマイクに向かって身体を近づけるようにして歌うんですけど、これはライヴみたいに体勢を変えながら歌ってみようと思って。メロディーが急に上がるところは、身体ごと持ち上げるようにして歌ってみたりとか。
なるほど。やっぱり違うものですか?
全然違う。歌う時の姿勢ってすごく重要で。マイクが固定されてなければ、耳元でささやくように歌うこともしやすいですし。マイクとの距離感ってすごく大事なんですよね。
逆に《地獄へ墜ちてゆけ》といったあたりの声の迫力はものすごい。後半に行くにしたがって迫力が増していきますね。
なんか、ドスが利いてますよね(笑)。そのあたりはしばらく眠っていた自分の中の“メスライオン”を呼び起こして歌ってました。意外と早く“メスライオン”が目を覚ましましたね(笑)。
取材:内本順一
「Bloom」MV
「Fall」MV
アーティスト
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