【Saucy Dog インタビュー】
1年の成長を刻み込んだ新作が完成
L→R せとゆいか(Dr&Cho)、石原慎也(Vo&Gu)、秋澤和貴(Ba)
男女3ピースバンドSaucy Dogがブレイク必至と注目を集める中、2ndミニアルバム『サラダデイズ』をリリースする。いい歌、いい歌詞、いいメロディーを追求する3人が新作に込めた想いを語る。
2017年5月に1stミニアルバム『カントリーロード』をリリースしてから、ぐいぐいと頭角を現してきた印象がありますが、バンドとしてはそんな状況をどんなふうに受け止めていますか?
石原
自分たちの活躍を期待してくれている人がものすごく増えて、その期待に応えるためにはもっともっと頑張らないといけないと思っています。
せと
ライヴでお客さんが増えたり、いろいろなところで取り上げてもらったりしていますけど、自分たちにはそれに見合った実力があるんだろうかって考えるとちょっと心配でもあるんです。
石原
ライヴもYouTubeを観て初めて来たっていう人が多いんですよ。その人たちをどれだけ掴めるかが大事だと思うんですけど、そこもちょっと心配で(笑)。
いや、大丈夫でしょう(笑)。
秋澤
自信を持ちながらも、謙虚さを忘れずに頑張っていこうと考えてます。
今回リリースされる2ndミニアルバム『サラダデイズ』はバンドにとってさらなるステップアップのきっかけになる作品なんじゃないかと思うのですが、それについて訊かせてもらう前に、Saucy Dogがどんなふうに始まったのか教えてもらってもいいでしょうか?
石原
2年前の4月にこのメンバーで初めてライヴをしたんですけど、その前は僕ひとりで前のメンバーが抜けてからも同じ名前で続けていたんですよ。
そもそもは石原さんが別のメンバーとやっていたわけですね。
石原
はい。2年ぐらいやってたのかな。
その時と今のSaucy Dogは別ものと考えたほうがいいのでしょうか?
石原
まったくの別ものになっていると思います。以前は僕が曲を作るのは1割ぐらいだったんですけど、今は8割ぐらい僕が持っていったコードに3人で肉付けしていくんです。以前は曲を作っていた前のベーシストが構成まで考えてきてたんですけど、今はみんなで考えているので、それができるようになってから変わりましたね。自分も歌を付けやすくなったし、自分たちらしさが出ているって思っています。
3人はどんなところを認め合って、一緒にバンドを始めたんですか?
石原
僕が対バンしている中で、演奏が好きな人を探したんですよ。
せと
以前のSaucy Dogとその頃に私がやっていたバンドが何度か一緒にやったことがあって。
石原
コーラスもできるし、ドラムはこの子だなって。和貴はもちろんベースラインも好きだったんですけど、全然違うジャンルにいたから面白いかなって声をかけました。
秋澤
僕もジャンルは全然違ったんですけど、慎也の歌はものすごくいいなって思っていて。誘われた時に慎也とやったら上手くいくって確信できたんで、新しい挑戦と思って一緒にやろうと思いました。
せとさんは声をかけられた時、どう思ったんですか?
せと
前にやっていたバンドが解散してからはアパレルで働きながら、新しいバンドを見つけて音楽を続けるのか、それとも仕事一本にするのか迷っていたんです。そんな時にちょうど声をかけてもらって。その時、いくつかのバンドから声をかけられていたんですけど、もしこのままバンドを頑張ろうってやるならSaucy Dogがいいなっていうのがあったんですよ。
石原
それはバンドに入る時から言ってくれたよね。
せと
誘ってもらう前から思ってたのかな、きっと。そしたら誘ってもらえたんで、頑張ろうって感じでした。
秋澤さんは確信できたとおっしゃっていましたが、せとさんはなぜSaucy Dogがいいと?
せと
曲が好きだったんです、声も歌詞も含め。YouTubeに上がっていた「wake」って曲も結構ずっと聴いていて。
石原
再生回数の半分がゆいかだもんな。
せと
それは違う(笑)。前のメンバーの時は1割ぐらいしか作ってなかったって言ってましたけど、“この曲とこの曲がめっちゃ好きやねん”って言ったら、“それ、俺が作った曲やわ”って。だから、感性が合うのかなって思ったんです。
じゃあ、最初からメンバー3人、同じ方向を向いていたわけですね。
せと
4月に3人で始めて、慎也がすぐにツアーを組んだですよ。
石原
ふたりともツアーは初めてだったんだよね。
せと
たまに東京に行ったりはしてましたけど、ツアーは初めてで。でも、“組んだから行きましょう”“はい、分かりました”って感じで(笑)。
秋澤
事前の申告なしに(笑)。
せと
でも、それが嫌じゃなかった。頑張ろうって気持ちは和貴も私もあったんですよ。
石原
和貴なんて初めてのツアーの時、めっちゃわくわくしてたもんな(笑)。
そして現在に至るわけですが、今回の『サラダデイズ』はどんな作品にしたいと考えたのでしょうか?
石原
前作の『カントリーロード』を超えたかったので、それを第一に考えて。でも、今回のミニアルバムを作るためにこういう曲にしようとは考えてなくて、今出せる自分たちの曲を出し切りました。
聴きどころはどんなところだと?
石原
母親の愛を歌った先行配信シングルの「真昼の月」は大切な人を近くに感じられるという意味で一番聴いてほしい曲ではあるんですけど、個人的にはバラードの「コンタクトケース」なのかな。「いつか」(2016年8月発表の1st EP『あしあと』収録曲)を超えたいっていう気持ちがどこかにあったんですよ。いいバラードができたと思いました。
でも、やっぱりバンドがやるバラードだから、歌の感情の高まりとともに演奏がだんだん熱を増していく後半は聴きどころですよね。
石原
感情が入りやすいっていうか、歌詞とメロディーがピタッと合ったっていうのもあるし、みんなで演奏しやすいっていうのもあるし。「メトロノウム」もいいよね? 今までにないSaucy Dogが見せられているかな。メロディーの雰囲気がUKロックっぽいし、和貴の良さが出るんじゃないかなって思いながら作りました。
秋澤
確かにベースラインは一番付けやすかった。
石原
僕らの新しい発見ですね。
秋澤
今回のミニアルバムで新しいお客さんが増えるような気がしてます。前作は前作でストレートなところが良かったんですけど今回はちょっと捻りがあって、コアな音楽ファンでも…例えば洋楽を聴いている人も含め、結構多方面の人が好きになってくれるんじゃないかな。
せと
私も前作よりも今回のほうが1枚通して幅ができたという印象があります。音楽って誰かに聴かれてこそ成り立つものだと思っていて。だから、そこに関して媚びるのは悪くないと思うんですよね。媚びるというか、曲を作る時に聴く人が共感しやすいところをあえて作るっていうのは。今回、それを無意識にしているんだと思います。でも、「メトロノウム」はそうじゃない曲ができたという感覚がすごくあるんです。ただ自分たちがやりたい曲ができたっていう。でも、それをライヴでカッコ良いと言ってくれる人もいるから、今までにない感覚はすごくあります。
石原
歌詞の面で言うと『カントリーロード』はわりと後ろ向きだったんですよ。過去に浸っていたり、振り返って後悔していたりっていう歌詞が多かったんですけど、『サラダデイズ』は前向きで希望を持っている歌詞になっています。「メトロノウム」もそうだし、「バンドワゴンに乗って」もそうだし、“手探りでもいいから掴んでいこう”って先を見ている感じになっているんですよ。
それは感じました。ただ、「あとの話」と「コンタクトケース」の2曲、つまりラブソングになると、過去を引きずっているっていう。
石原
僕のラブは過去なんです(笑)。
秋澤
名言が出た(笑)。
石原
でも、「あとの話」は最後に《お幸せに!》って言っているんで。わりと前向きに…
せと
行こうとはしているんですけど…(笑)。
秋澤
でも、ちょっと捻くれてるよね。
前作はラブソングが多かったのですか?
石原
前作は7曲中5曲がラブソングでした。今回は逆ですね。
そこは無意識に?
石原
そうですね。っていうか、恋愛をしなかったんですよ(笑)。
せと
ネタがなかったんだ(笑)。
石原
でも、バンドのこととか自分のだらしなさとかを今回じゃ見せられたかな。そういう時の自分の感情も含めて。とはいえ、希望の光はあるんだみたいな感じの歌詞ではあると思います。
バンドアンサンブルも聴きどころではないでしょうか。歌いながらギターを弾いているからというところもあると思うのですが、ギターがほぼバッキングに徹している一方でベースがダイナミックなフレットワークでプレイしていたり、ドラムが歌の感情や曲に合わせていろいろなフレーズを叩いたりしているところがなかなかユニークだと思いましたが。
石原
アレンジする時、ゆいかは歌がないと厳しいって言ってるよね。
せと
先に楽曲を作っても、ちゃんと歌詞メロができてから、そこに合わせて作り変えたくなっちゃうんですよ。私がJ-POPを聴いてきたからだと思うんですけど、歌詞とメロディーがあってこそって考えているから、そこにちゃんと沿ったドラムにしたいんです。
石原
和貴のベースは手癖もあるけど、もともと動くよね。
秋澤
変な癖がついていて(笑)。無意識に弾いていることが多いんですけど、よくよくベースラインを聴き返したらメロディーに沿っていることがわりかし多くて、このバンドに入ってからはそれを余計に意識するようになりました。だから、僕もほんとに確定のベースラインって、メロディーも歌詞も全部、ちゃんとできた状態でできるんです。慎也に言ってないだけで、ベースは曲が出来上がるまでにめちゃめちゃ変わっているんですよ(笑)。そっちのほうが聴いていて楽しいと思うし、せっかくいい歌、いい歌詞、いいメロディーがあるんだから、それを活かすのにただのルート弾きじゃもったいない。あえて邪魔になるならないギリギリを攻めようと思っています。
あくまでも歌と歌詞に寄り添っていると?
秋澤
リズム隊がそこで一致しているって気付いたのがここ1年ぐらい(笑)。
せと
それまでは無意識でやっていたんですよ。
石原
ありがたいですね。
まさに“サラダデイズ”というタイトルが相応しい作品になりましたね。そして、リリース後は5月25日からワンマンツアーが始まりますが、どんなツアーにしたいですか?
石原
ワンマンツアーは初めてなんです。だから、自分たちだけでいかに成長できるかが大事だと考えていて。どう、みんな楽しみ?
せと
楽しみ楽しみ。ワンマン自体が初めてなのに追加も含め11カ所全てソールドアウトしていて、想像ができないんですけど…たぶん初日と最終日で同じ曲をやっても絶対全然違うと思うし、何が起こるのかなっていう(笑)。
秋澤
超緊張しそう(笑)。
せと
だけど、そこの成長を観てもらうのも私たちらしいかなって思っています。
石原
あぁ、ハードルがグッと上がりましたね(笑)。
取材:山口智男
「真昼の月」MV
「いつか」MV
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