【ビッケブランカ インタビュー】
心に届く真っ直ぐな言葉を求めた
ビッケブランカの新たなチャレンジ
ビッケブランカ
メジャー1stシングル「ウララ」はダンサブルなポップソングの表題曲をはじめ、それぞれに違う魅力を持った全4曲を収録。“シングル”という言葉が似合わないボリュームと聴き応えに仕上がった。
ビッケブランカらしさとともに新しい挑戦も楽しめる作品になりましたね。
挑戦と言えば、「ウララ」の歌詞ですね。最近、耳にする人気の曲の歌詞がお洒落というか、なんかミステリアスに聴こえて。はっきり意味は分からないけど、聴き手の想像を掻き立てるようなものが多いように感じるんですよ。もちろん時代の流れとして、いいことだと思うし、僕も大好きなんですけど、昭和の最後の年に生まれた僕が育ちながら聴いた昭和の歌って、言葉がもっと真っ直ぐだったんですよね。ダサいんじゃないかと思えるくらい意味が分かりすぎるんだけど、結局それが心の奥に一番残っている、届いている。もしかしたら時代に逆行しているのかもしれないけど、それを今回は自分でやってみたかったんです。
ビッケブランカさんにとって昭和の歌って?
風、ビリーバンバン、イルカ、伊勢正三、河島英五…親父が車で聴いていたんですよ。中でもチューリップの「青春の影」はめちゃめちゃ好きでした。もう日記というか、言っていることが全部分かるんですけど、結局、それが誰にでも届き切る感じがあったんですよね。単純に今よりも言葉が強かったと思うんですよ。それを自分でやってみたかった。もちろん、歌詞に関しては“もっと、捻れよ!”って言われるのも分かります。《おもひでひとつ 大人になって 去年のことは忘れませんか》ってサビの歌詞に対して、もっと深い感じにしてよ!って言われても別に構わない。そこに強さがあると思うから。そこはチャレンジですよね。
4曲目のバラード「今ここで逢えたら」は「ウララ」と同じように旅立ちと別れの季節である春をテーマにしながら、「ウララ」とはまた違う感情を歌っていますね。
10年前からある曲なんです。20歳の時に作ったから、“会いたい”という気持ちがそのまま出ている。それが時を経て自分の中の1個の信念として、“うじうじしたことを、うじうじ歌ってもしょうがない”とか、“自分が何かをやるんであれば、何かを変えるって心意気でやらなきゃ!”とか、そういう気持ちで作らなければ作っている意味さえないというところに辿り着いたわけですけど、それを経た上で同じ気持ちを歌うと「ウララ」になるんだと思います。悲しい想いを楽しく伝えなきゃって今の僕は思っているんですけど、「今ここで逢えたら」は悲しい想いを悲しいまま歌っちゃってるのかもしれない。今の僕は“そうじゃないだろう!”と思うけど、10年前にはそれがいいと思っていた自分もいるし、それをいいと思ってくれる人もいる。結局、答えは分からないんですけど、その瞬間瞬間に信念を持って何かをするということが大事なんだと思います。だから、今回のシングル、面白いんですよ。春の歌で始まって春の歌で締めるってこともできたし、同じ感情を歌っても違った表現にもなるし、「今ここで逢えたら」には《十年越しも二人がまたここで逢えたら》って歌詞があるんですけど、作ってからちょうど10年目に世に出るし、いろいろ面白いことができました。
新しい挑戦と言えば、「Black Rover」もそうで。ここまでギターが前面に出た曲はなかったじゃないですか。
挑戦とおっしゃっていただいたんですけど、こういうサウンドはもともと持っていたものなんです。
ああ。以前は、そういうバンドをやっていたんですよね。
ビッケブランカとしては違うかもしれないけど、僕としては馴染みに馴染んだ曲調なんです。だから、そこまで気張ったわけではないんですよ。“テレビアニメ『ブラッククローバー』の主題歌に合う候補曲を探している”とお声掛けをいただいて参加することになったんですけど、“10日間で上げてほしい。主題歌はこれまでギターロックできているから、その流れを崩さずに、疾走感に加えて悲壮感もある曲が望ましい”とリクエストがあって、ちょうど時間はあったので、分かりました!って作り始めたんですけど、ギターロックって久しぶりだから楽しかったし、もともと好きだからすぐできたんですよね。で、2日で作ってデモを送ったら、“ピアノが出すぎているから、もっとギターを出して、ダークにもしてほしい”と返ってきたので、分かりました!って、また2日後に新しいデモを作ったら、今度は自分のチームの中から、“ビッケブランカらしくないんじゃないか?”って意見が出て(笑)。だから、“いやいやいや、アニメのオープニングなんだから、そこにビッケブランカらしさは必要ない。これでいいと思うし、ギターロックだからって、らしさは消えないという自信もあるから”って多少無理矢理に“これでいきましょう!”って提案したら、アニメ制作サイドから“こちらの無茶なリクエストを全部聞き入れてくれた心意気がまず嬉しいし、楽曲もいいですし”って決めてくれたんです。そしたら今度はアニメの制作委員会から“逆にこれ、もっとピアノを出さなくていいんですか? ここまで作品に寄り添ってもらえたなら、好きに作ってください!”って言葉を返してもらえたんです。それで改めてピアノの音もしっかり聴こえるようにアレンジして今回のかたちになったんですけど、僕としては“なんて美しい生まれ方をした曲なんだろう!”って。この話するの、大好きなんですよ!
“黒い海賊”という意味の「Black Rover」は…。
えっ、“Rover”って“海賊”って意味があるんですか !?
えぇっ! そこは意識していないんですか?
いやぁ、偶然ですね。
てっきり新米海賊を意味するビッケブランカが成長した姿なのか、ダークサイドなのかと思っていました。
すごーい! それ、もらおう。そうしましょう。そういうことです(笑)。なんか、いろいろなことがいいんですよね、この曲。へぇ、そうなんだ(笑)。
取材:山口智男
「ウララ」MV
アーティスト
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