【ライブレポート】sleepyhead(武瑠
ex.SuG)「月が綺麗ですね」不完全
復活した初ワンマンライブ
【ライブレポート】sleepyhead(武瑠 ex.SuG)「月が綺麗ですね」不完全復活した初ワンマンライブ
sleepyheadの第一発目となったステージは、3月17日の東京・TSUTAYA O-EASTであり、この日は新月の日。そして11年前、武瑠が初めて決まったライブの場所でもあるという。運命に導かれた3月17日のフロアには、武瑠の新たな門出を目に焼き付けようと溢れんばかりの観客が詰め掛けていた。
開演時刻が過ぎると、照明が暗転し真っ暗闇に包まれる。すると、奇妙なSEと共にスクリーンには紫色の数字がカウントダウンを初め、その数字と共に月がゆっくりと満ちかけていく。
これまでの苦しみや、葛藤、這いつくばりながらもこの日を迎えられた事、そんな武瑠なりの在るべき姿を投影した同曲を魂込めて歌い捧げていた。ステージ床とスクリーンには煌びやかな閃光が走ったり、心臓の形をしたLEDが映されており、音だけではなく視覚でも楽しめる最先端な表現にスタートから目を奪われる。
「こうして不完全でもステージに帰って来ました。『結局』」。武瑠がそう言葉を告げると、メロディアスなサウンドが印象的な『結局』へ。訴えかけたい強気想いがストレートに感じられる言葉の欠片たち。武瑠は、真っすぐで迷いのない無邪気な少年のような眼差しで、音楽を表現していた。
続けて「答えなんかなくって決意だけで進めるって皆に会う前に届けたけど、本当にその通りで、とにかく今日ここでまた歩み出して一緒に答えを見つけていきたいなと思います。全部失っちゃったり、嫌な事があると世界で一番自分が不幸だなって思ったりするでしょ?休んでいた間そんな瞬間を過ごしていて、でもねそれは世界で一番不幸だって思っている人は世界で一番ダサい奴です。もう十分不幸な奴、ダサい奴を味わったんで今日は世界一幸せになりにきました!」と苦悩を乗り越え、ここまで辿り着いた事を明かした。
武瑠はエレキギターをかき鳴らしながら「かかってこい!もっと行けるか!」と大きな声を発すると、疾走感漂う開放感な楽曲『熱帯夜』へ。フロアではタオルを思い切り振り回す光景が広がり、熱帯夜を連想させる赤とオレンジのスポットライトが彼らを輝かせる。<オオオオオオ~♪>というコーラスが場内に響き渡り、sleepyheadと観客との一体感が生まれていた。
もう一歩踏み出すときにその続きを作って完成させた曲『HOPELESS』
その後も、儚い恋心を綴ったバラードナンバー『HURT OF DELAY』を優しく披露し、感動の空間を作り上げていた。
そして、変幻自在に音が移り変わる『アトノマツリデ』、武瑠が黄色いロンTに着替えDJをしながら歌う近未来的な楽曲『退行的進化』を続けて披露し、彼の今までの音楽性にはない新たな顔を覗かせていた。
武瑠がステージから去るも、会場からは鳴りやまない程のアンコールの声が。すると、ステージ右側のミニステージの幕が上がり、白いヘルメットを被った人間とバニーガールが登場。そのヘルメットを被った人間がパソコンをカチカチといじると、sleepyheadのHPがスクリーンに表示される。
途中ヘルメット人間のPCから、セクシーな画像が表示されるというユーモア溢れる寸劇を取り入れつつ、再びsleepyheadのURLをクリックすると、『2018年6月20日に1st Full Album「DRIPPING」をリリース』と『sleepyhead LIVE TOUR 2018 「DRIPPING」』の開催が発表された。これには集まったオーディエンスから喜ばしい歓声が飛び交い、幸せそうな表情が多く見られた。
俺さMC上手いじゃん?(笑)だけど信じられないぐらい何を伝えたいか、多分まだ自分の中で決まっていなくて。それだけ10年が大切だったっていう事だと思うんです。だから下手くそなメッセージで良いかなって思って。本当に伝えたい事が出来るまで、この中途半端なままステージに上がって良いんじゃないかなって思って今日ここに来ました。次のステージに簡単に切り替えられる人間だったら、多分曲とか歌詞とか書いてないと思うんで、色んな事を乗り越えながら一緒にこの不完全な復活からsleepyheadを作っていきたいなと思います。これから宜しくお願いします」とsleepyhead始動前を振り返りながら、今の心境を語った。
「話す事がまとまんないのは、もう一個理由があるのかな?ってライブをしてて思いました。バンド初めて10年11年経って見えているものが変わってきて、ただ音楽をやりたいっていう綺麗な気持ちだけじゃなくて。伝え方が難しいんだけど、メンバーにとって責任を持って終わる事が出来ないという事が、どれだけ悔しかったか。
予想を超えるトラブルに見舞われて音楽自体を信じられなくなっちゃったけど、その後メンバーで話をして、自分たちのためにファンのために皆の為に責任を持って終わろうよっていう話が出来たことが…、皆には辛い皮肉な事だと思うから伝えるのが怖かったんだけど、メンバーにとっては逃げずにちゃんと失うっていう事がどれだけ大切な一歩だったのか、っていうのをやっと発表できて思いました。だからちゃんと失えて良かった。
だけど、俺が10年かけて教わったことは、心を鈍くして傷つかないことじゃなくて、全身で傷ついてそれを糧にして前に進むことなんじゃないかと思いました。俺が10年かけて教えてもらったことを、これからちゃんと音にして言葉にして、みんなに届けて共有して一緒に。さっきも歌詞で書いたけど、どんだけ辛いことがあっても『ただの遠回りだったね』ってみんなと思えたらそれだけで、幸せなんだなと心から今日改めて思いました。皆から教えてもらった人に感謝を伝える気持ちを、復活するのに助けてくれた方々に届けたいなと思います。
今日はミュージシャンとしてではなくて、みんなと一歩目を共有できて心から幸せでした。ありがとうございます」と目に涙を浮かべながら胸中を述べた。
セットリスト
1闇雲
2結局
3酩酊
4熱帯夜
5 WANT ME BACK
6 HOPELESS
7HURT OF DELAY
8アトノマツリデ
9退行的進化
10LAID BACK
11狂宴騒々
アンコール
1酩酊
2熱帯夜
3ALIVE
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第5回 『新年度を。』 -
2015.04.20 00:00