「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
平成の歌姫、浜崎あゆみの
ヒットを探る
『臼井孝のヒット曲探検隊 ~アーティスト別 ベストヒット20』
CD、音楽配信、カラオケの3部門からヒットを読み解く『臼井孝のヒット曲探検隊』。この連載の概要については、第1回目の冒頭部分をご参照いただきたい。ただし、前回の安室奈美恵からは2017年末までのデータを反映している。
20世紀から21世紀に変わる頃、CD市場全体が右肩下がりになっていく中で、それを感じさせぬ勢いで売れ続けたのが、浜崎あゆみと宇多田ヒカルの2大女性ソロだ。特に浜崎の場合は、最も多い年には7枚のシングル、さらにそれらを収録したオリジナルアルバム、ミュージックビデオやライヴを収録した映像ソフト、さらにはユーロビートからクラシックに至るまで様々なリミックスアルバム(2015年までになんと27作!)と、膨大な量の音楽作品をリリースし、2000年代の音楽市場を大きく支えてきた。
キッズモデルや女優などの活動を経て
アーティストに転身
そんな浜崎は1978年福岡県生まれで、それ以前からキッズモデルを経て女優からグラビアまでこなすマルチタレントとして活躍していたが、約1年間の充電期間を経て、1998年4月8日、シングル「poker face」で再スタートした。
デビューから2ヶ月ごとにシングルをリリースし、その張り詰めたように繊細な高音ボーカルが女子高生たちの共感を呼び10万枚前後のヒットを重ね徐々に人気が浸透。デビュー曲から5枚のシングルを収録した1stアルバム『A Song for X X』が140万枚を超えるメガヒットとなり、一気に注目されるようになる。一般に、女性ファンは同性アーティストのシングルをアルバムまで買い控える傾向があるが、彼女の場合、アルバムでのセールス急増がより顕著だった。特に、化粧品や菓子などターゲットが明確なタイアップも多く、アルバム発売時にはさほど音楽に関心のない女性リスナーをも取り込んだのだろう。
デビューから2ヶ月ごとにシングルをリリースし、その張り詰めたように繊細な高音ボーカルが女子高生たちの共感を呼び10万枚前後のヒットを重ね徐々に人気が浸透。デビュー曲から5枚のシングルを収録した1stアルバム『A Song for X X』が140万枚を超えるメガヒットとなり、一気に注目されるようになる。一般に、女性ファンは同性アーティストのシングルをアルバムまで買い控える傾向があるが、彼女の場合、アルバムでのセールス急増がより顕著だった。特に、化粧品や菓子などターゲットが明確なタイアップも多く、アルバム発売時にはさほど音楽に関心のない女性リスナーをも取り込んだのだろう。
「poker face」MV
その後、1999年4月発売の両A面シングル「LOVE~Destiny~/LOVE~since 1999~」でシングルでも初のオリコン1位を獲得し、以降2010年の「L」まで通算37作の1位は女性ソロアーティストとしては2018年現在も最多記録。2000年の「SEASONS」以降は、限定シングル以外すべて1位となり、オリジナルアルバムも1999年から2004年までミリオンヒットを連発させていた。特に2001年3月28日のベストアルバム『A BEST』は、宇多田ヒカルの2ndアルバム『DISTANCE』と同じ発売日に設定し、共に450万枚を超えるメガヒットとなった(発売週のCDショップの会計を待つ人たちが長蛇の列となっていたのが懐かしい!)。
デビュー当時は孤独をテーマとした楽曲が多かったが、やがて孤独な聞き手を鼓舞するようなパワフルな楽曲が増えていく。それでも年末にはラブバラードを歌うという路線を外すことなく、2001年から史上初となる3年連続の日本レコード大賞を受賞(ちなみにエイベックス所属アーティストの受賞は1995年のTRFから2015年の三代目J Soul Brothersまで21回中14回と、なんと3分の2を占める高確率! これは実際の市場規模の同社シェアを遥かに上回る)。
デビュー当時は孤独をテーマとした楽曲が多かったが、やがて孤独な聞き手を鼓舞するようなパワフルな楽曲が増えていく。それでも年末にはラブバラードを歌うという路線を外すことなく、2001年から史上初となる3年連続の日本レコード大賞を受賞(ちなみにエイベックス所属アーティストの受賞は1995年のTRFから2015年の三代目J Soul Brothersまで21回中14回と、なんと3分の2を占める高確率! これは実際の市場規模の同社シェアを遥かに上回る)。
「LOVE~Destiny~」MV
セールス記録よりも
自由な音楽活動を
2013年に3年ぶりとなる51作目のシングル「Feel the love」が5位に登場し、25作連続1位記録がストップ。この3年の間にシングルチャートの上位は、イベント購入特典で有利な男女アイドルの寡占状態となっていたことも一因だろう。
続くシングル「Terminal」は初登場24位となり、バッシング記事も見られたが、実際は既に発売されていたアルバムからのリカットで、収録曲も「Teminal」とそのリミックス2曲のみ、販売形態もDVDのない1種のみで(オリコン1位記録を更新している時期、収録DVDやジャケット違いの4種で発売したり、週末に急遽4枚同時購入特典を付けたり、まさに記録作りを死守していたのとは対照的)、むしろより自由な音楽活動に向かうために、浜崎サイドからセールス記録をあえて断ち切ったようにも思えた。
続くシングル「Terminal」は初登場24位となり、バッシング記事も見られたが、実際は既に発売されていたアルバムからのリカットで、収録曲も「Teminal」とそのリミックス2曲のみ、販売形態もDVDのない1種のみで(オリコン1位記録を更新している時期、収録DVDやジャケット違いの4種で発売したり、週末に急遽4枚同時購入特典を付けたり、まさに記録作りを死守していたのとは対照的)、むしろより自由な音楽活動に向かうために、浜崎サイドからセールス記録をあえて断ち切ったようにも思えた。
「Feel the love」MV
近年は長期にわたる全国ホールツアーやアリーナツアーに精力的で、CDシングルは2014年の「Zutto.../Last minute/Walk」、CDアルバムも2016年の『M(A)DE IN JAPAN』以来となっている(2018年3月現在)が、その分、TwitterやInstagramでの投稿などSNSでのお茶目な一面を見せたビジュアルや天然なコメントがファンの間で人気だ。
ただ、本人の存在感が絶対的であるがゆえに、逆に個々のヒット曲についてはさほど語られてこなかった気がする。デビューから今年で20年となる今だからこそ、どのようなヒット曲を残してきたのかを総合的に見てみたい。
ただ、本人の存在感が絶対的であるがゆえに、逆に個々のヒット曲についてはさほど語られてこなかった気がする。デビューから今年で20年となる今だからこそ、どのようなヒット曲を残してきたのかを総合的に見てみたい。
「Zutto...」MV
アーティスト
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