【仲宗根 泉 インタビュー】
「366日」「NAO」、
バラードの女帝・仲宗根 泉(HY)が
1分間のバラードを書き上げた
HYを支えるソウルシスター仲宗根 泉のソロアルバム『1分間のラブソング』は、自身がInstagramに上げた歌のスケッチを、HYとは違うテイストで仕上げた美しく愛しい作品集。同時発売の書籍『1分間のラブソング~あなたはあなたでいい~』も併せてチェックしてほしい。
力のこもったソロアルバムというよりは、親密なプライベートアルバムという手触りの作品だと思いました。
本当に自分のやりたいことをやって、常日頃から思っているHYの泉ではなくて、仲宗根泉として曲を書けたと思います。“こういうふうに書いたほうが売れるかな?”とかは一切考えずに、ただインスタを見ていて目に留まった、ひとりのファンの方に届けばいいなと思って書いたので。HYの仲宗根泉が書く詞よりも、もっと心に寄り添っている、近しい人が書いたようなアルバムになってるかなって思います。
まさに。そもそもインスタで1分間の曲を作ってアップしようというのは、どういうきっかけで始まったんですか?
私はおせっかい焼きババアみたいなところがありまして(笑)。人生相談とか、困っている人を見ると自分の考えを言いたくなるんですよ。インスタに悩みを書いてくるのは会ったこともない人ですけど、それを知って“ふーん”で終わらせることはできなくて。“じゃあ、あなたが今夜よく眠れるように私が曲を書くから、ちょっと心が癒されて明日も頑張ってね”みたいな感覚で最初は始めました。
歌詞も曲も、その場で作るんですか?
全部即興ですね。曲がそのまま降りてきて、それをコード譜に起こすだけなんで、2〜3分でできちゃうんですよ。HYの曲を書く時はやっぱりいろいろ考えるし、待ってても降りてこない時もあるんですけど、今回のアルバムに関してはただの1曲も悩んだことはなくて、インスタのコメントを読んでいて自然に出てきた想いと、自分の感情に合わせて降りてきてくれた。インスタには1分という制限があるので、構成がシンプルなのはそれが理由なんですけど、いつものA→B→Cという構成じゃなくて、AとCだけでもこんなに伝えることができるんだなって、学んだことは多いですね。HYの私が書く曲って長ったらしいじゃないですか(笑)。
そんなことないですけど(笑)。
こんなに短い言葉で言いたいことが言えるなら、そのほうがいいなと思うんですね。
“1分間のラブソング”というタイトルで、ほとんどが恋の歌ですけど、「いつかあなたの夢が」「You Know」「today」は恋の歌というより励ましの歌ですよね。
「夢の中でも」も恋の歌ではないです。私のおじいちゃんが亡くなって、夢の中にも現れてくれなくて、すごく寂しいという気持ちを曲にしました。恋愛と思ったとしても、そうじゃない歌詞も結構あります。男女の関係じゃなくても、大きな愛で括ったラブソング”という感じです。
「いつかあなたの夢が」はファンからのリクエストが一番多くて、1分間の曲を1曲の長さに膨らませたという。
そうです。この曲が一番フルで聴きたいという声が多かったので。ただ、他の曲も“色を付けたらこんな素敵な曲になるんだ !?”と思って、結果的にほとんど1分以上になってるんですけど。今後はこれをHYのほうに持って行けたらいいと思っているし、すごくいい曲が書けたと思ってます。
ちなみにHYのメンバーは演奏に関わってるんですか?
まったく関わってません、あいつらは(笑)。
あはは。あいつらって(爆笑)。
私がインスタをやってる時、もちろんHYのことを考えながら発信したりしますけど、自分の音楽に関しては“これはメンバーを入れてもいい、でもこれは自分だけでやりたい”というものがあるので。今回は生バンドでやっているものもありますけど、リズム感とか雰囲気とか、たぶんあいつらにはできないだろうなと(笑)。だから、他の方にやってもらいました。
(笑)。英語の歌詞が1曲ありますよね、「このギターと愛と」という。なぜ英語詞に?
もともと作っていた時から、伝えたい雰囲気が日本語じゃないなと思っていたので。コルビー・キャレイがすごく好きで、それっぽい曲を1回作りたかったんですけど、みんなの思う私のイメージって昭和の感じのラブソングというか(笑)。
あはは。そうですかね。
じゃなくて、もっとお洒落な感じも好きなんですよ。でも、このグルーブはメンバーじゃ出せないからHYではできない。だから、ここでどうしても作りたかったんです。いつか挑戦したいなと思っていたことが、ここで叶って嬉しいです。
繊細な打ち込みのビートの「それでいい」とかも、HYではないような泉さんならではの曲だと思います。
もともと私はああいうクラブ寄りの音とかR&B系の曲が好きなので。J-POPをそんなに聴かないんですよ。だけど、HYの5人が合わさるとJ-POPのあのかたちになるんです。それはHYとしてはいいんですけど、仲宗根泉としてアルバムを出す時には、やっぱり自分の好きな路線を伸ばしていきたいと思っていて。
いろんな人に届くといいですね。
“昔はHYを聴いてました”とか、“久しぶりにフェスで観て、また聴き始めました”とか、そういう方がすごく多いんですよ。そういう方たちに“HYはあなたたちの知らない間にこんなに成長して、今はこういうラブソングを書けるようになったよ”という意味でも、いろんな人に聴いてほしいなと思いますね。
そうそう、最後に同時発売の本についても紹介を。
私がインスタに上げる詞に対して、あまりにも反響が大きかったんですよ。前に2冊出してるんですけど、“やっと新しい本が出ますね”って喜んでくれるお客さんがすごく多くて。インスタに上げてる詞に新しい詞を追加して、写真とエッセイも入れたら180ページぐらいのボリュームになっちゃって、すごく読み応えがあるけど、ひとつひとつは短くて分かりやすいので、ぜひ読んでみてほしいと思います。
取材:宮本英夫
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