【たんこぶちん】
私たちのことを知らずに映画を観た人
たちにも
広がってほしいアルバム
L→R NODOKA(Ba)、CHIHARU(Key)、MADOKA(Vo&Gu)、HONOKA(Dr)、YURI(Gu)
MADOKA(Vo&Gu)がヒロインを演じる映画の劇中歌集アルバム『二度めの夏、二度と会えない君feat.Primember』をリリースするたんこぶちん。映画に登場する高校生バンドPrimemberに合わせ3ピースで制作された、いつもと違うサウンドについて話を訊いた。
今作はMADOKAさんがヒロイン役を演じた映画の劇中歌集アルバムということで、いつものたんこぶちんとは立ち位置の違う作品になっていますね。
MADOKA
『二度めの夏、二度と会えない君』という映画があってこその作品なので、私たちのことを知らずに映画を観た人たちにも広がってほしいアルバムですね。
映画に出てくるPrimemberというバンドにキーボードがいないので、劇中歌として制作された曲はギター、ベース、ドラムにヴォーカルという、いつもとは違ったサウンドになっていますが、完成した音を聴いた時はどう思いました?
YURI
アレンジがシンプルなので、ライヴ感がより強いなって感じました。いつもだとキーボードがいて、ギターをふたりで弾いたりするから難しいアレンジもやるんですけど、今回はコピーしやすいんじゃないかなって思います。
MADOKA
5人の時よりも荒々しくて音が尖って聴こえますね。シンプルなサウンドだからいろんな人に刺さりやすいんじゃないかなって思いました。
キーボードのCHIHARUさんは今回のサウンドに関して一番客観的に聴けたのでは?
CHIHARU
そうですね(笑)。“私だったらここにこんなふうにキーボード入れるな”とか考えながらレコーディングを見ていました。
レコーディングではアシスタントディレクター(AD)として活躍したという話しも聞きましたけど。
CHIHARU
出前を取ったり、買い出しに行ったり、あとは音決めの時に少しだけディレクションをさせてもらったりしました。“その音、いい感じじゃなーい”って(爆笑)。そういうことをしながら、ADとしてプロデューサーさんをずっと観察していたので、いい雰囲気でレコーディングするにはメンバーに掛ける言葉だったり言い方、コミュニケーションが大事なんだなっていうのを学びましたね。
映画の中では役者さんが演奏しているわけですが、それを観た時に3人はどんな感覚になりました?
HONOKA
すごいなーっていう不思議な感覚でしたね。
YURI
“私だったらこうするのにな”とか思ったり(笑)。でも、音がどうっていうことよりも、演者さんは観せることを一番にやられているので、あの立ち姿はカッコ良いから真似しようみたいな。そこを学ぼうって感じで演奏シーンは観ていました。
NODOKA
私は正直に言うと、観ながら“負けません!”って思っていました(爆笑)。
初めて作る3人での音に関して、レコーディング前にそれぞれ構想みたいなものはありました?
YURI
私はいつもリードを弾くことが多くて、コードをかき鳴らすみたいなのはあまりなかったから、ギターをジャーンって鳴らした時にちゃんと聴こえるようにしたかったし、アルペジオは音が抜けるように作らないといけないなとか、ソロはどうしようとか、いろいろ考えて相談しながら録りましたね。
NODOKA
青春感とか夏の切なさとか、自分の中でそういうのをイメージしながらベースは弾きました。
HONOKA
私はいつもビートが後ろめなんですけど、映画は“これからバンドを始めよう”みたいな高校生の話だったので、あまり重くならないように軽く叩くっていうのを意識しながらレコーディングしました。
ヴォーカルはたんこぶちんのMADOKAというより、ヒロインの森山 燐として歌っている感じですか?
MADOKA
そうですね。私の声ってピンッて高い声だと思うんですけど、それを活かして明るめな感じで。でも、これから先バンドを続けていけないという役を演じていたから、“これが最後だぞ!”っていう気持ちを持って、絞り出すような感覚で歌っていました。
5人での新曲として収録されている主題歌「夏のおわりに」は、映画のストーリーが詰め込まれた楽曲ですが、たんこぶちんファンの中での人気曲「花火」にも通じるような、切ないサマーソングに仕上がっていますね。
MADOKA
すでにライヴでやっているんですけど、お客さんみんながライヴで聴いた時にテンションが上がる「花火」に次ぐ曲ができたなと、私たちも思っているんです。最初の話にもつながりますけど、この曲を映画で知って気に入ってくれた人が私たちのライヴに来てくれたら嬉しいので、そうなってくれるといいですね。
この曲でやっとキーボードも聴けますが、他の曲に入っていない分、音が際立って聴こえて印象的でした。
CHIHARU
そうですよね(笑)。各サビ頭の歌詞に《夏のおわりに》《夏のはじめに》《夏のあいだに》ってあって、そこにひと夏の始まりから終わりまでという映画の世界観が感じられると思ったので、この曲はそういう歌詞の切なさが出せるようにと考えながら弾いていて、落ちサビはMADOKAの声に寄り添うような感じで弾くことを意識しました。
たんこぶちんとして今作は変則的な作品でしたが、バンドとしての今年は結成10周年のアニーバーサリーイヤーなので、オリジナルアルバム『TANCOBUCHIN vol.5』のリリースもファンとしては期待してしまうところなのですが。
MADOKA
昨年やった渋谷CLUB QUATTROのライヴ後に、“今までと同じじゃいけないね”って5人で曲を作り始めて、今年やっている対バンライヴでは毎回新曲を披露しているんですよ。私たちの中でファンのみんなにその曲たちが届いてきていると感じているので、早くかたちにできたらいいなと思っているんですけど、それが今の目標でもあり課題にもなっているんです。やっぱり10周年で1枚アルバムは出したいですよね。
YURI
その時はもちろんCHIHARUがADで(爆笑)。
取材:山村哲也
アーティスト
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