【SA】
もう一度4人で何かを作りたいんだ
L→R KEN(Ba)、SHOHEI(Dr)、TAISEI(Vo)、NAOKI(Gu)
パンクスピリッツ、R&R精神を貫き続けるSAが4曲入りニューシングル「MY ONLY LONELY WAR」を発表。50歳を超えてもファイティングポーズを崩さず、シーンに挑み続けるTAISEI(Vo)とNAOKI(Gu)に、新曲の背景とそこに込めた想いを訊いた。
ニューシングル「MY ONLY LONELY WAR」のテーマを強いて言葉にするなら、まさに“闘い”だと思うのですが。
TAISEI
そうだね。それで間違いないね。
これはどういう経緯で生まれてきたのですか?
TAISEI
前回のアルバム『WAO!!!!』で間口を広げて、自分たちの音楽の可能性を表現しようとしたし、“俺たちってこの年齢になっても音楽という武器を使って闘ってるんだな”ってことを感じたこともあるし。あと、ツアーを回っていると“コムレイズ”(ファンの呼称)にもいろんな奴がいて…若い子も学生もいれば、主婦もサラリーマンもいて、誰もが鋲ジャン着てるわけじゃないけど、心の中で自分はパンクだ、ロックだという想いを持っている奴らがいて、“いろんなところでいろんな奴らが闘ってるんだな”って…これは綺麗事じゃなくて、本当にそう思ったんだよね。例えばライヴが平日だったりすると、下はスーツのパンツで上はSAのTシャツを着て“仕事帰りに来たんスよ!”みたいな奴らもいるし、俺はそういう奴らのほうがよっぽどパンクだと思ったんだよ。
そうしたリスナー、オーディエンスを見ていて、自分たちがやるべきことが明確になったという感じですか?
TAISEI
“俺はSAに付いていく!”と言ってくれる奴らとの同志感というのかな? “コムレイズ”というのは“同志たち”って意味なんだけど、前回のツアーはそれが明確に見えたライヴの日々だったよね。“お前も闘ってる。俺も闘う”という。別に銃を持って闘うわけじゃねぇし、刀を持つわけじゃないけどね。
そう。“闘う”といっても、「MY ONLY LONELY WAR」ではインベーダーゲームの音を取り入れていたり、決して殺伐とした印象はなく、ピースフルに仕上げていると思います。
TAISEI
洒落っ気というかね。ニュアンスとしては70年代から80年代初頭にかけての感じ。The Clashが取り入れたサウンドの面白さみたいなものを俺らの時代で考えるとインベーダーゲームかなって(笑)。ちょっとしたお遊びというか、違和感というか、同世代の連中はニヤッとするところだと思うよ。
「MY ONLY LONELY WAR」はメロディーはさわやかでありつつも、サウンドはパンクの王道であって、その良い意味での違和感というか、組み合わせの妙は楽曲全体にもありますよね?
TAISEI
そこがSAというバンドの面白さだし、SAのセンスなんだと思いたいね。
NAOKI
まぁ、そこでのディスカッションはいつもしてて。これ、最初はBメロからサビまでもっと長かったんですよ。キメだけで4小節あったんですけど、“ちょっと長いなぁ”ってことでバッと端折って、そこのコードも変えて。コードワークもそんなにいっぱいいらないから、AメロとBメロはサビのリピートをちょっと変形させるだけでいいとかね。
TAISEI
そういう意味では、今回はシンプルにしたね。俺ら、よくギターソロで転調したりして、それで曲の長さが5分半くらいになってたんだけど、今回は普通でいいって。
なるほど。だからこそ、「MY ONLY LONELY WAR」は余計に勢いがあるように感じられるのかもしれないですね。
TAISEI
そういうことだよね。俺はいつもきっちりとデモテープを作るタイプなのね。で、『WAO!!!!』の時はそのきっちりと作ったものを結構そのままやることも多かったんだけど、今回はきっちりと作ったものを一度メンバーに投げて、そこでお互いに意見を言い合ってもう一度揉んで、所謂バンドサウンドでアレンジを考えた。“4人で作ろうよ”というところがすごくあったよね。
NAOKI
TAISEIのデモに対しても“この転調の意図は?”ということを全部確認してね。
TAISEI
やっぱりバンドでやることで楽曲が良くなる時があるんだよね。俺がひとりで考えてそのままやったらつまらないというか。“ここは転調しないほうがいいよ”と言われて、“あ、確かにそうだよな”と思うこともあるし。
NAOKI
そういうところはお互いにありますよ。今回、俺が作った「FIGHT BACK」は“イントロが浮かばん!”ってなったんですけど、TAISEIに相談したら“♪ダダダーン、ダダダ〜でどう?”って。“それ、ええんちゃうん!”ってなったし、そうやってやりくりしてるよね。
それは物作りにおいては理想的な分業体制ではないですか。
NAOKI
いや、分業ではないんですね。その曲の中に入り込むんです。TAISEIが曲を書きました。分かりました。弾きます!…これは違うと思ってるから。俺はTAISEIが書いた曲に入り込もうとするんです。その中で“もっとこうしたらいい”という部分を見つけて、曲を共有できたらって思ってやってるんですよ。良いものは“良い”と言うし、“ここは違うんじゃないかな?”というところはそう言うし。
TAISEI
今はPCである程度のデモを作れるけど、それを“はい、そのまま弾きます”ではつまらないわけで。もちろん、今までもデモを完全にそのままやってきたわけではないけれども、意識としてはもう一度4人で何かを作りたいんだよね。プリミティブというか、原始的なところに立ち返りたいというところはあったかもしれない。
「威風Do!Bop!」ではかなり前のめりなビートが聴けますが、こういう勢いもバンドの総意としてありということですね?
TAISEI
うん。俺ら、BPMは速いほうが好きだからね。よく“ちょっとBPM下げない?”って言われるけど(笑)、このくらいのほうがいいね。メジャーにいると“これは速いから、もう少しBPMを下げて”って言われることがあるのかもしれないけど、そんなことは関係ないんだよね。
ことさら年齢のことを言うのも恐縮ですが、アラフィフでこの勢いと瑞々しさが出せるのは本当に素晴らしいと思いますよ。
TAISEI
“好きこそものの上手なれ”じゃないけど、パンクもロカビリーもR&Rもそうだけど、それを嫌いになる必要も捨てる必要もない。やっぱり好きだからね。「威風Do!Bop!」の頭のロールなんて今聴いてもワクワクするわけで、年相応の音楽なんて分かんねぇよな(笑)。
取材:帆苅智之
アーティスト
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