【D】
メンバーの誰が欠けてもおかしいとい
うか、全てが意味のあるもので構築さ
れた感じ
L→R HIDE-ZOU(Gu)、Tsunehito(Ba)、ASAGI(Vo)、Ruiza(Gu)、HIROKI(Dr)
昨年まで展開してきた“アリスの世界”を完結させたD。バンド結成14周年を迎えた今年、彼らが提示する新しいコンセプトは“妖精”だ。新作「Dark fairy tale」で確認できるタフになったバンドサウンドの秘密、新章のテーマをメンバーに訊いた。
ニューシングル「Dark fairy tale」はカップリングを含めて、オペラ調のコーラス等、ファンタジックな世界観を強調するサウンドが導入されている一方、じっくり聴くと、実はもととなるバンドアンサンブルが相当強固になっていますね。
ASAGI
確かにそれはあると思います。何がDとしてベストの状態かということは常に追求してきたんですけど、特に最近は引き算ができたりとか、いろんな部分でスキルアップしてきているんじゃないかと思います。
表題曲「Dark fairy tale」で言えば、リズム隊だけのところにギターが入っていき、次第にラウドに展開するといった具合に、楽器が折り重なっていく様子が確認できます。
ASAGI
その構成自体は作曲時点からありました。イントロとの差別化というか落差というか、予想のできない、あまりないパターンでAメロの感じを出したいなと思いまして。裏のギターのカッティングとかは最初から考えてましたね。まぁ、イントロのギターリフから作り始めて…妖精王の羽音が見えたので、そこから構築していったんです。世界観の構築=歌詞もほぼ同時でしたね。
ここにきてバンドアンサンブルが強調されたのはどうしてなのでしょうか?
ASAGI
今回はわりと早い段階で“Dark fairy tale”というテーマがあって、制作時間もいつもよりは長かったんです。それぞれがテーマに対してかけられる時間がいつもよりも多かったことも関係しているのかもしれないですね。今までも時間がないからと言ってできなかったわけではないんですけど、より良くなったと感じていただいたのなら、おそらくそういうところもありつつ、“Dark fairy tale”のストーリーに対する感情移入の仕方が強まったからじゃないかと。
例えば、Aメロではギターも4つ打ちのドラムも比較的淡々としていますが、ベースはかなり動きがある。お互いがお互いを補っているようなアンサンブルが聴けますね。
HIROKI
リズムに関して言えば、ASAGIくんからのデモをもらった段階で自分なりにアレンジして、そこからプロデューサーの岡野ハジメさんと相談しながらメンバーとディスカッションしつつ組み立てていきました。今回は音数が少ない分、一音一音に説得力が出ると思ったので、自分はそういったところも気を使いながらレコーディングに挑んだので、その辺も上手く表現できたと思います。
HIDE-ZOU
詰め込みすぎてグシャグシャとなるよりは、それぞれの良さを活かして曲としてひとつとなるという。メンバーの誰が欠けてもおかしいというか、全てが意味のあるもので構築された感じではあると思いますね。
カップリング「Bluebell wood」はまさにそれですよね。あえてラウドに展開しない抑制されたバンドアレンジで。
ASAGI
今回の“Dark fairy tale”のテーマに対してこういうアプローチは絶対にしたいなという想いがあって。声の重ね方もやさしい感じでやりたかったところはありますし。“Bluebell”ということで花が鳴っているイメージでイントロのベルのフレーズから考えましたね。
Ruiza
ギターもそれほどオーバーダビングしてないんです。やはり景色が見えるようにというところは考えましたね。
HIDE-ZOU
妖精的なキラキラしたサウンドで特殊なエフェクターを使ったり、世界観に合った音を追及して。
一方で、Tsunehitoさん作曲のB-TYPEのカップリング「慈愛の虜囚」は、メタリカとクイーンをマッシュアップしたような興味深いバンドアレンジですね。
Tsunehito
そうですねぇ(笑)。リフのギターはパワーコード、弦楽器隊でユニゾンして厚みを持たせて、さらにクワイアも入って…というのは最初からイメージがあって。表題曲の曲や歌詞からイメージされたものもすごく考えながら作っていった感じですね。シンセも多めに入っていたりしますし、音の重なり方はいろいろと考えました。
さて、ASAGIさん、今回のテーマは“妖精”ということですが、これはどんなところから導き出かれたのでしょうか?
ASAGI
僕、森が好きでよく行くんですけど、自然と触れ合っているとさまざまな夢を見れるところがあって…例えば、花に止まっている蝶や蜂を見て、妖精みたいだなと思うことはありますよね。そういうところで、日常ではなかなか感じることができないことが自然と触れ合うことで感じることができるので、いつかこういったテーマを書いてみたいなという気持ちがあったんです。そんな中で、「Dark fairy tale」を制作している時、その音像と世界観がうまくリンクしたので、今自分が出すべきものはこれかなと思ったんですね。
妖精やエルフというと、清く、穢れてないものの象徴といった印象がありますが、そういうとらえ方でいいですか?
ASAGI
そうですね。自然と深く関わっている部分ではそういったところが強いと思うんですよね。だからこそ、ストーリーの中で妖精の息子がチェンジリングで人間界に来た時、すごく穢れてしまうという描き方も必然だったと思いますし。
今回“ダーク”と銘打っているだけあって、カップリングも含めて世界観はほぼダークで、ちょっとえぐい描写もありますね。これはどんなふうにとらえたらいいのでしょうか?
ASAGI
童話というのはもともとが残酷なものじゃないですか。それを子供向けにやさしく書いたり、悲劇をハッピーエンドにしたりしていると思うんですけど、大人でも楽しめる童話ってものすごく深い。だから、自分の物語を通して何か伝えられるものがあればいいなという想いは強かったです。
異種族間のすれ違いも描かれています。この辺はもしかして、2017年現在の世界の状況も加味されてますか? 現実社会でも宗教や民族の違いからの衝突が絶えません。
ASAGI
物語ってさまざまな時代の中でさまざまなことをオブラートに包みながら描いているものが多いと思うんです。だから、現実世界におけるさまざまなこともこの物語の中にあるかもしれないですけど、その辺は聴き手に任せるというか。そういうふうに感じたのだとすれば、きっとそれも含まれているんだと思いますし、さまざまなことに当てはまると思いますね。
取材:帆苅智之
アーティスト
編集部おすすめ インタビュー
編集部おすすめ ライブレポート
-
【D ライヴレポート】 『“M.L.V. vol.3" 大谷稲荷山 無観客公演 「愚かしい竜の夢 2021」』 2021年10月16日 at 配信ライヴ
2021.10.22
-
【D ライヴレポート】 『D Tour 2018 「Deadly sin」』 2018年12月21日 at 豊洲PIT
2019.01.04
-
【D ライヴレポート】 『D Tour 2018 Revive ~荒廃都市~ Tour Final』 2018年8月29日 at マイナビBLITZ赤坂
2018.09.11
-
【D】 『D TOUR 2017「Dark fairy tale」』 2017年8月29日 at 赤坂BLITZ
2017.09.20
-
【D】『D 14th Anniversary Special Premium "Free" Live』2017年4月23日 at Zepp Tokyo
2017.05.08
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
内田彩、 新曲「with me」を配信リリース!
2024.04.01 00:00
-
けいちゃん、 ライブツアー『円人』 豊洲PIT公演を映像作品化 &ダイジェストを公開
2024.03.28 21:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第6回 『妬みを。』 -
2015.05.20 00:00