【吉井和哉】吉井和哉 日本武道館 2
008年12月28日

撮影:有賀幹夫/取材:ジャガー

“今年の汚れは今年のうちに”、年末恒例となった吉井和哉の武道館ライヴ。ホームのような温かさと、心地の良い緊張感が張りつめた会場。ステージを360度取り囲む観客たちの目は活き活きと輝いていた。 吉井和哉らしさが凝縮されたアッパーチューン「ビルマニア」で幕開けを告げると、ソロ作品はもちろん、THE YELLOW MONKEY時代の「I CAN BE SHIT,MAMA」「NAI」「天国旅行」の3曲を繰り出す。さらにこちらも恒例である、洋楽に吉井が訳した日本語を乗せて歌うコーナーでは、レディオヘッドの「CREEP」を壮大に歌い上げた。一曲一曲緻密に作られた楽曲を吉井とサポートバンドの面々が立体的に浮かび上がらさせる。そして、その世界観を色濃く映し出す照明、深く感銘を受ける観客…その場にあるもの全てがこのライヴのひとつのパーツであり、欠けてはならないほどに一体感が生まれていた。付け加え、この日は春に発売を控えているニューアルバムよりミディアムバラードの「SNOW」が披露されるなど、特別な一夜となった。 アンコールでも、特別な一夜はまだ続く。なんと、大ヒット映画『崖の上のポニョ』に出てくるポニョの父、フジモトの格好で登場したのだ。“いつも日の目をみない北側スタンドのみなさんのために”と、ステージ裏側にあたる観客の方を向いて同映画主題歌をサポートギターの菊地英昭とともに歌い、笑いを誘った。そこから「I WANT YOU I NEED YOU」や「FINAL COUNTDOWN」といった楽曲で攻め立て、言うまでもなく会場のテンションは最高潮に達した。 色褪せないメッセージ性と時代の波に乗る柔軟な発想で、歳を重ねる度に勢いの増す吉井和哉。それがロックスターである由縁であることを証明付けた一夜ではないだろうか。

吉井和哉

ヨシイカズヤ:88年にTHE YELLOW MONKEYを結成し、92年にメジャーデビュー。01年にバンドが活動休止した後、03年にYOSHII LOVINSONとしてソロデビュー。04年にTHE YELLOW MONKEYが解散。05年6月より初のソロツアー『AT the WHITE ROOM』を実施。06年1月、吉井和哉に名義を変更し、シングル「BEAUTIFUL」で活動を再スタート。14年11月、自身のルーツ・ミュージックをカバーした、初のカバーアルバム『ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~』を発表。15年3月、4年振りとなる7thアルバム『STARLIGHT』を発表した。

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