【ピンクリボン軍】ピンクリボン軍
Shibuya O-WEST 2007年10月10日

photo:櫻井めぐみ/text:高木智史

果たしてひとつのことにどれだけの想いを懸けられるだろうか。これが男だ。これがロックだ。ピンクリボン軍のラストワンマン! “ぶっ壊すぞー!”とオープニングで松下直幸(Vo)が叫んだ通りの激情ロックを繰り出し、ライヴは始まった。疾走するハードなサウンドとキャッチーなメロディーでもって、まずはオーディエンスの感情を沸点まで高める。だが、彼らの楽曲はただ激しいだけではない。さまざまな音色を使い、その音数の量で楽曲のイメージを構築する。ステージ上には体を高速でくねらせ、髪を振り乱す松下。喉を掻き切るようなバースト寸前のシャウトと共に、客席の視線を一手に受けていた。ライヴを純粋に楽しんでいながらも、その時は刻々と近づいてくる。近藤将之(Gu)は何度も何度も“ロックが大好きです”と語り、その声は涙に揺れていたのだが、いざ曲になるとメンバーのプレイを何回も確認し、楽曲に全てを込めていた。2度のアンコールでメンバーを呼び戻し、“もう1回最初から演って”というファンの叫びも虚しく遂に本当にラストの楽曲「中退」となる。ファンと共に終始大合唱で、最後に松下は“愛しきバカ野郎たちへ ありがとうございました”と語ったのだった。紆余曲折を経て歩んできた10年間の足跡は激しくて泥臭くて切なくて、まるでピンクリボン軍というひとりの人間の生き様だったように思う。この日のライヴはまさにそんな全てもの想いが凝縮したものだった。

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