【DOPING PANDA】DOPING PANDA 新木
場STUDIO COAST 2007年6月10日

text:高木智史

『High Fidelity』『High Pressure』に続く“High”シリーズの完結版であり、最高傑作と呼び声高い『High Brid』を引っさげ行なわれた本ツアー。Yutaka Furukawa(Vo&Gu&Pro) は“これまでにはない最高の別次元を魅せる”とMCでしきりに言い放ち、メンバーもその想いにシンクロし、気迫に満ちたライヴを魅せる。また、それにより期待と興奮でオーディエンスは意気軒昂たる盛り上がりを見せる。両者が注ぎ合うエネルギーは膨大な熱気を生み、会場は終始揺れていた。まずは、やはりメンバー個々のテクニックに目も耳も奪われる。Furukawaは自分の音楽ルーツをハードロックと語っていた通りの激しいステージングと、ダイナミックでありながらも流麗なピッキングとストロークスでギターを操る超絶テクニックでもってオーディエンスを煽り、唸らせる。Taro Houjou(Ba&Cho)は時にファストに、時にスローにと変幻自在のリズムで楽曲を支え、Hayato(Dr&Per&Cho)はこの日何度もスティックを折るほど、感情の乗ったドラムを響かせた。そんなメンバーが築くライヴでの楽曲は確実に音源とはひと味もふた味も濃い“生”感を備え、ダンサブルにもメロディアスにも攻め立てる。強靭なバンドサウンドを軸としながらも打ち込みの様々な音色を駆使し、観客を踊らせることのできる力量は圧巻だった。そして、オーディエンスは生きた音に乱舞。僕の視野に広がる光景はクラップ、掲げられた腕、モッシュ、ペットボトルの舞う水しぶき、笑顔だった。熱狂と歓喜を繰り返しながらライヴは激しくも美しく進んで行った。 少なくとも僕はこれまで観てきたライヴとは明らかに違う“別次元”を観たように思う。歌って踊れて、暴れられるDOPING PAN-DAのライヴは次回は純粋にファンとして行きたい。

DOPING PANDA

FURUKAWA(vo&g)、HOUJOU(b)、HAYATO(ds)からなる3ピース・ロック・バンド。クラブ・ミュージックの要素を大胆に導入したダンス・ロックが彼らの持ち味である。
97年の結成直後はメロディック・パンクなイメージが強かったが、ディズニーのカヴァー・コンピレーション・アルバム『DIVE INTO DISNEY』参加などの活動を経ていく中で、徐々にその雑食性を露にしていく。05年には『High Fidelity』でメジャー・デビュー。06年には“m-flo loves DOPING PANDA”として「she loves the CREAM」でm-floとの共演も実現。
ヴォーカルのFURUKAWAは、自身を「ロック・スター」または「スター」と自称し、それが愛称にもなっている。また、DOPING PANDAのファンは「ドーパメイニア」および「メイニア」と呼ばれており、一種のファン・シーンが形成されていると言えよう。
05年作『High Pressure』に続き、07年には“High”3部作シリーズ完結編となるアルバム『High Brid』をリリース。“ハイパー・ポップ・ロック”との呼び声も高い本作は、一度聴いたら忘れられないそのバンド名同様、非常にキャッチーかつエンターテイメント精神溢れる音楽を構築している。

アーティスト