L→R Hayato(Dr&Per&Cho)、Yutaka Furukawa(Vo&Gu&Pro&ROCK STAR)、Taro Houjou(Ba&Cho)

L→R Hayato(Dr&Per&Cho)、Yutaka Furukawa(Vo&Gu&Pro&ROCK STAR)、Taro Houjou(Ba&Cho)

【DOPING PANDA】最大の変革期を迎え
た今、過去を総括する!

DOPING PANDAがベストアルバム『BEST OF DOPING PANDA』をリリース。シングル曲から、インディーズ時代の楽曲、コラボ曲、カバー曲まで、全28曲を収録した2枚組。来るべきオリジナルアルバムを前に、変革を重ねてきた歴史をYutaka Furukawa(Vo&Gu&Programming&ROCK STAR)が振り返る。
取材:高橋美穂

ままごとみたいな10年だったけど
やっと音楽のコツを掴めてきた

リリース自体が久しぶりですよね。

いやぁ、空きますよね。ずぶの素人っていうわけじゃないですけど、レコーディングして、ミックスしてっていう作業を自分でやり始めたので。未来永劫残っちゃうんで、ある程度納得できるところまでやらないとリリースはできないなと。人に頼んだら自分たちが思っていることができないからっていうのが動機だったのに、より完成度が下がったものを出すことはできないんで。

確かに。では、ベストアルバムを出すことになった経緯は?

3月にオリジナルアルバムを出す予定なんですけど、しばらく何もリリースしてなかったんで、業界用語で言うと前パブ(事前のパブリシティ)ですね(笑)。メーカーから提案されたわけではなく、自分から提案して。もともとベストアルバムっていうのは寄せ集めなんで、作品にコンセプトがないから、もちろん好きじゃないんですよ。ただ、今回は次にエンジニアを付けずに自分たちだけでやるオリジナルアルバムが控えてるので、ここで区切りを入れる大義名分もあるし、あとはそのアルバムのためになるならっていう吹っ切れ方もできたので。次のアルバムの音源と昔の音源をひっつけることは100パーセントNGなんで。

選曲もFurukawaさんが?

大雑把には関わったけど、ディレクターさんにある程度叩きを持ってきてもらったり、ベストだから客観的な意見を参考にしたかな。あんま主観的に入っていけないんですよね。

インディーズ時代の曲を収録するという提案をしたのは?

自分です。メジャーに来たからって線引きはファンも持ってないし、自分らも持ってないんで。

自分でも聴いてみて懐かしかったのではないですか?

懐かしいですね。ここに入ってるものはライヴでやってる曲だったりするんだけど、音聴くと懐かしかったな。甘いところもいっぱいあるけど、感覚的にエッジィなところもあるし。

Furukawaさんの性格的に甘い部分とかは気になりそうですが。

まぁ、若かったからいいんじゃないですかね(笑)。よくこれで10年バンドやれたなって。今やっと本当に音楽のコツを掴めてきてて、まともに曲も書けてる気がするし、演奏もできてる気がするので、ままごとみたいな10年でよくこれたなって感じるんです。

それは全然ないでしょ。

みんなそう言うでしょうけど、振り返っちゃうと何も音楽のことを分かってなかったなって。

でも、その時代その時代で革新的なことをやってきたバンドだと、今作を聴いて改めて思いましたよ。

そう思ってやってたけど…やっぱり日々見つかるんですよね、コツが。今の自分たちは本当にすごいことができるんじゃないかなって自信もあるんで、今までは何となく関わってただけだったなっていうか。

常に発見して、反省して、また進んで、その繰り返しですか?

うん。そのタームが急激に短くなってるんですよ、今。前は発見までの道のりも長かったし、発見した後の自己満足の時間も長いから、反省までも長くて。だけど、今は進化が早いんですよね。そういった意味で振り幅が狭くなって、逆に音楽家としての振り幅が広くなっていってるっていうか。

そうなったのはどうしてでしょうか?

昨年ぐらいから自分が今やってること…“音楽ビジネス”っていうところも含めて、すごく未来がない感じがしてて。みんなはまだ肌感覚にはなかったけど、僕は感覚的にビシビシきてたっていうか。全体がままごとに感じてきたんですよね。12曲が3000円って誰かが決めたフォーマットの上で、人に共感してもらえるスピードが早いものを作ると評価されるっていう今の状態に、“作る”って評価軸がどんな人でも分かっていいのかなって。それがお金儲けと直結して、そこにずっと(業界が)浸っててきたじゃないですか。僕はCDがどうも売れなくなるなっていうのは、業界が騒ぐ前から思ってたんで…PCで焼ける時点からね。それで、“あれ? なんか俺、全然違うところに来ちゃってるな”って思ったんですよ。最初に洋楽聴いてバンドを始めた時とは違うところに立ってて、必死になってやってるなと。今の自分だと有り得ない対バン相手とのライヴをやってみたり。それぐらいから、もっとちゃんと音楽に向き合わなきゃいけないって思って。自分を含め、周りにいる人間も。例えば、音楽をやってる人でも、何で4人全員がアマチュアと圧倒的な差があるような人じゃなくても、全員がお金持ちになれたりするのか?とか、そういう小っちゃいことも考え出して。プロのサッカー選手は、一日中サッカーのことを考えないとクビになっちゃうじゃないですか。そりゃスポーツは数字っていう評価軸があるからだけど、俺らの周りにいる人間で音楽のプロが何人いるんだろうって。おかしなところに立っちゃってるなぁ、音楽はエンタテインメントの中でも特にプロじゃなくてもやれちゃうな…ってすごく感じました。それで、これはおかしいなって思ったら一緒にやっていけなくなったんですよね、日本の音楽に携わってる人たちと。こんなこと言っていいのか分からないけれど(苦笑)。もちろん、僕が思ってることを表現してくれるエンジニアがいたら、自分でここまでの作業をしないですよ。DIYにならざるを得なかったんです、当初は。でも、自分の性格上やってみると、この道しかなかったんだろうなとは思いますね。もっと前から自分で始めれば良かったとも思うし、この(スタジオの)物件がなかったら始められなかったんで運命なんですけど、そっからのスピードが速かったですね。音を録ったりとか、アレンジしたりとか、ここで大きな音で音楽聴いたりとか。クラブに行かないと大きな音で音楽って聴けないけど、僕はクラブが嫌いなんで(苦笑)、好きな音楽をでっかい音でかけて、これだったんだなって思ったんですよ。一方では陰鬱になっている気がするんですけど(笑)。木下(理樹/ART-SCHOOL)に心配されるくらいですからね(笑)

(笑)。確かにスポーツと比べると、音楽の世界って甘いかもしれませんね。

今まではそれでも良かったんでしょうけど、今はみんなジレンマがあるんじゃないですか。“何でこんなことになっちゃってるんだろう?”“一生懸命やらなきゃダメになってきちゃったな”って、当たり前のことを悩んでるんじゃないかな(笑)。“あれ? CM打ったらお金って入ってくるんじゃなかったの?”“タイアップ付いたら音楽が売れてお金が入ってくるんじゃなかったっけ?”って。自分でエンジニアのことを勉強しちゃうと、そんな知識でやってたのかって奴らばかりなんですよ。海外で当たり前のことを、誰も知らなかったりするんですよ。それがショックだったし、ってことは、逆にチャンスだなとも思って。こんなアマチュアの中なら、真摯にやってれば間違いなく残れるんだろうなと。

この一年、95パーセントくらいは古川
裕の
頭の中で考えたことしかやってない

それで音作りから対バンまで、全部の活動に自分たちの意識を通わせるようになったのですね。

この一年は、インディーズよりインディーズですよ。まぁ、お金出してもらってるからそういうふうに言うとインディーズの人に失礼だけど、精神的にってことです。この一年は、95パーセントくらいは、古川 裕の頭の中で考えたことしかやってないですね。『Decadence』のインタビューとか、僕は読み返さないけど、相当ネガティブなことしか喋ってないんですよ。レコーディングもひとりで大鉈振るってただけだったし、メンバーとも喋らなかったし。僕らは他のバンドと比べて仲は良いですけど、あの時は本当にひどかったですね。エンジニアとも仲が悪くなり。それで『Decadence』を引っ提げて、過去最長のツアーを回るんですけど、東名阪の会場はZeppになってて…違和感を覚えました。でも、大丈夫って言われたんですけど、それが惨憺たる結果になったんですね。全然受け手側の需要に応えていないタイミングでツアーを回ってるし。だいたいが、あんまり納得してスタートしてないものは上手くいかない。2009年はろくでもない年でしたね。まぁ、メジャーに浸りきったというか。ちょうどマイケル・ジャクソンも死んだじゃないですか。大きな話とくっつける必要はないけど(笑)、僕的にはショウビズ的な音楽エンタテインメントっていうのは、完全に終わったなって思ったんです。アビーロード・スタジオも売りに出されたじゃないですか。ビートルズとマイケル・ジャクソンが終わったら、そりゃ終わりだろうと。必然的にそうなったんですね。そこから下北沢FEAVERってハコで、自分が認められるようなバンドだけを呼んでライヴをやって、『1997』に出たり、ヨーロッパツアーに行ったり。売上とか度外視して、正直にやるとこうなるってことですよね。

心身キツイのかもしれないですけど、バンドとしては健康的ですね。

そう。ここで断っておかなきゃいけないのは、インディーズの子たちみたいに自分たちのお金でやってないんで、そういった意味では甘ちゃんで、執行猶予中な気がして。メジャーの恩恵で厳しいフリをしてるから。インディーズの仲間の声を聞いたりすると、俺らラッキーだなって。もちろん2011年以降もメジャーにいれるかどうか分からないですよ。このやり方を突っ切るならメジャーでは続けていけないだろうし。とは言え、今までと同じことをするわけにはいかない。

まず、ベスト盤も意思が通ったものだと知れて、ファンも安心するんじゃないですか? 昨今はいろんなベスト盤があるから。

そうですね。人によっては解散すると思ってるかもしれないですからね(笑)

新曲「after dawn」も収録されてますけど、これは新しいアルバムの方向性を示唆しているのでしょうか。

日々進化してるんで。今聴くとやり直したいことは山ほどある。でも、方向は一緒ですね。音像感とか。曲自体はキャッチーなものを書いたんで、曲調の方向性は全然違います。

聴かせてもらって、今までドーパンが持ってたものかもしれないけど、今までと違うものとして出てきていると思いました。

そうですね。持ってたものだと思いますよ。より、そうしたかったところに近づいているんで。こっちの方が自分の素で、頭の中でもともと鳴ってる音楽ですよね。高級感とかはプロのエンジニアさんとかに及ばないけど、自分が思ってるゴールには、自分でしか行けないんで。歌い方も、歌の正体を掴み掛けたんで。

歌は、変わったと思いました。

そうです。歌を好きで始めたわけでもなかったし、ヴォーカリストって意識もなかったし、自分はギタリストなのか、音楽全体を作るクリエイターって認識だったんですけど、一回向き合わないとなって。人のことをアマチュアって言う前にヴォーカルでもあるって、本人が嫌って言っても客観的にはそうなんだから向き合おうと思って、それも途中なんで、だから…(3月に)間に合わない!(笑)。一時期、ここ(スタジオ)と家を往復してるだけでしたね。髪も江戸時代の蘭学者みたいになってたし(笑)

(笑)。アルバム、ほんっと期待しちゃいます。

期待はしていてください。ただ、出さなきゃいけないけど、100パーセントのものなんかできないんで。だからって100パーセントのものなんて生涯出ないかもしれないし、待ってる人にも失礼だし、自分自身も無理矢理ピリオド打たないと、ずるずるいっちゃいますからね。
DOPING PANDA プロフィール

FURUKAWA(vo&g)、HOUJOU(b)、HAYATO(ds)からなる3ピース・ロック・バンド。クラブ・ミュージックの要素を大胆に導入したダンス・ロックが彼らの持ち味である。
97年の結成直後はメロディック・パンクなイメージが強かったが、ディズニーのカヴァー・コンピレーション・アルバム『DIVE INTO DISNEY』参加などの活動を経ていく中で、徐々にその雑食性を露にしていく。05年には『High Fidelity』でメジャー・デビュー。06年には“m-flo loves DOPING PANDA”として「she loves the CREAM」でm-floとの共演も実現。
ヴォーカルのFURUKAWAは、自身を「ロック・スター」または「スター」と自称し、それが愛称にもなっている。また、DOPING PANDAのファンは「ドーパメイニア」および「メイニア」と呼ばれており、一種のファン・シーンが形成されていると言えよう。
05年作『High Pressure』に続き、07年には“High”3部作シリーズ完結編となるアルバム『High Brid』をリリース。“ハイパー・ポップ・ロック”との呼び声も高い本作は、一度聴いたら忘れられないそのバンド名同様、非常にキャッチーかつエンターテイメント精神溢れる音楽を構築している。DOPING PANDA Official Website
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公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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