【辻 詩音】


取材:榑林史章

届けたいメッセージをメロディーに込めて!

「M/elody」は16歳の時、音楽をやろうと決意して高校を中退した頃に作った曲なんですよね。

はい。学校で友達と話をしていた時、“やりたいことが見つからない”って言ってる子がすごく多かったんです。私から見るとすごく絵の上手い子だったり、洋服が好きな子だったりするから、“それをやれば良いじゃん”って言っても、“ムリだから”って。そんなところから“まずはやってみようよ”っていうメッセージを込めて作ったんです。

ライヴでも歌ってるんですよね。

そうなんです。16歳の頃からライヴをやるようになって、ずっと歌っている曲ですね。最初の頃は友達とか家族しか観に来ていなかったんだけど、それから少しずつお客さんも増えていって…実は初めて友達や家族以外の人から褒めてもらった曲なんです。だから、そういう意味でも思い入れがありますね。アレンジをやってくれているmwというふたり組がいるんですけど、そのうちのひとりがこの曲を聴いて“詩音ちゃんと仕事したい”と言ってくれて、彼らと仕事をするきっかけになった曲でもあるんですよ。

その思い出と思い入れのある曲を3枚目で出すというのは、何か意図があったから?

私の中ではデビューシングルの『Candy kicks』は名刺代わりで、『Sky chord』は『Candy kicks』の次に出すって、自分の中で前から決めていたんですね。それで3枚目は、もう一度初心に立ち返りたいなって。この曲は、辻 詩音はこうだっていうサウンドが3枚の中では一番表れてる曲なので、それをぜひ聴いてほしいと思ったんです。

では、レコーディングはどうでしたか?

前の2枚と比べてすごいスムーズで早く終わりましたよ。聴いてくれる人に向けて“伝えたい!”“歌いたい!”っていう意識をすごい持って録ったんです。前までは曲を書いた時のことや景色を思い出して歌って録っていたけど、今回は目の前にお客さんがいるつもりで歌いました。

そうしようと思ったきっかけは?

あの…すごい単純な理由なんですけど、『キャンプロック』って映画は知ってますか?

ジョナス・ブラザーズが出てるディズニーの?

そう! 主人公のミッチーが初めて人前でライヴをするシーンがあって、それを観た時、自分とシンクロしたんです。16歳でこの曲を書いた時の気持ちと似てるなって。“歌を届けるんだ!”みたいなところに、すごい共感しちゃって。それで、ミッチーになったつもりで、お客さんの前でライヴをしているシーンをイメージして歌いました。

ライヴと言えば、この「M/elody」を多くの人に届けるべく、全国47都道府県を弾き語りで回るそうですね。

各地のフリースペースをお借りして回ります。でも、ギターが大きいから弾きながらリズムに乗って歌うの難しくて…

どんなギターを弾いてるんですか?

デビュー直前くらいに自分で気合いを入れるために買ったものなんですけど、Gibson SJ200。完全に見た目に惚れて買っちゃいました。大きくてカッコ良いし、音もパワフルに鳴ってくれるんで、この子となら仲良くなれそうだと思ったし、性格も良さそうだなって(笑)。そんなギターも含め、私の弾き語りを聴きに来てくれたらうれしいです!

辻 詩音

ツジ シオン:幼少の頃から詩を書き始め、15歳の時に音楽をやることを決意! 同時に高校を中退し、半年後にアコギの弾き語りスタイルでライヴ活動を開始。08年11月、シングル「Candy kicks」でメジャーデビュー。

アーティスト