【12012】12012の歴史上、あのライヴ
は分岐点になると思う
L→R 須賀勇介(Gu)、塩谷朋之(Ba)、宮脇 渉(Vo)、川内 享(Dr)、酒井洋明(Gu)
熱いパフォーマンスに定評のある12012が、2009年12月12日に敢行した東京・C.C.Lemonホール公演の模様を収めたDVD『無法地帯』をリリース。新たな理想に向けた一歩を明確に導いた貴重な映像だ。
取材:土屋京輔
まずはC.C.Lemonホール公演の感想から教えてください。昨年は長期計画でこの日を見定めていたはずですから、やはり2009年を全て集約したい気持ちはあったでしょう?
須賀
やっぱりありましたね。その年の自分たちが培ってきたものの最大の見せ場であり、それを完成させなければいけない場所であると。実際に臨んでみると、いい意味でも悪い意味でもフラットな状態でやれたかなというのはあるんですけど、細かなところで言えば、力及ばず的な部分も感じたりしつつ。僕の中では課題のほうが多かった。それが逆に良かったなと思えるんですよね。やってる時は単純に楽しかったんですけど、そういうところも今回のDVDには色濃く出てるなと(一同笑)。
どんなライヴでも課題は見えてくるでしょうからね。
須賀
そうですね。ただ、今の12012でしかこのライヴはできないとも思うんですよ。曲もそうだし、会場の雰囲気もそう。次にやった時には、また違うものになると思うんですよね。
塩谷
僕は12012はホールの似合うバンドだなと思いましたね。ステージに立っている時にも感じましたけど、改めて映像をチェックして、画面越しに観てもカッコ良いなと。ホールでのワンマンは初めてだったんで、音響面とかで手こずる部分もありましたけど、いい景色が見れたなと。特に「GENERATION」では、すごく会場が一体になる感じがあったんですよね。
酒井
あんなにたくさんの人が観に来てくれて、こんなに気持ち良いことはないって言えるライヴでしたね。ドラム台とか照明とか映像とか、表現したいこともいろいろできたんですよ。いい経験でしたね。ちょっと夢が叶ったなっていうか(笑)。
ステージの後方から見える景色もまた違ったのでは?
川内
こんなにもたくさん人がおるもんやなと(笑)。ツアーのファイナルという流れでもあったんで、プログラム的には違和感もなくて。初めてのホールワンマンでしたし、始まってみないとどういう感じなのか分からないと思ってたんですけど、実は何も変わらないなぁって。DVDを観ても、ホールだったらもっと面白いことがいろいろできそうだなとも思いましたね。
宮脇
ただ、やっぱりこのライヴは転機にもなったんですよ。メジャーデビューして以降、いろんな人の意見を取り入れながらやってきた期間があって、そこでの最高潮って何やろうと思ってたら、それまでやってきた根本とはちょっと違う、エンターテインメントな部分もあったんですよね。それを12012なりの観せ方でやっていくみたいな。そんな中、C.C.Lemonホールのステージで思ったのが、あの空間を支配できるものは、もっと突き詰めたエンターテインメントか、本当のロックバンドなんだろうなって。中途半端なバンドが立つところじゃないなと思ったんですね。俺らはどこをもっと突き詰めてやっていくべきか、すごく考えさせられて。今回の経験があったからこそ、2010年の一発目のライヴをやった時にも、かなり手応えがあったんですよ。
映像を眺めてみて面白いなと思ったのは、12012に興味のある人なら誰もが足を運べるという、今回のフリーライヴゆえの雰囲気なんですよ。極端に言えば、客席にはホーム感とアウェイ感が混在している。そういう環境がかえって、今の12012の姿を生々しく打ち出すには良かったんじゃないかなって気がするんですよね。
須賀
確かに独特な雰囲気でしたね。今、メンバー全員で感じていること、次にやらなければいけないことが、その空気だからこそ生まれたのもあると思うんですよ。完全にホームでもアウェイでも違う感情になっただろうし。結果的にすごくいい状態を作れたんだろうなって。でも、それって運もあるじゃないですか(笑)。俺らがどうこうできるものじゃないし。その意味では、そろそろ時代の追い風が吹いてきてるなと感じているところです。
宮脇
そのアウェイな人たちをどこまで巻き込めたんやろうっていうところが、12012のテーマやと思ってるし、僕の仕事だと思うんですけど、まだやりきれない感じはあったんですね。確かに盛り上がってたと思うんですよ。でも、見るべきところはそこじゃない。まだまだ満足できないですね。もっとみんなの心を捕まえたい。そういう気持ちがさらに高まったんですね。このライヴ以降、いろんなことをメンバーで話し合ってるんですけど、また新しい12012が見えてきているんですよ。
ライヴの後半に“みんなから受け取ったものを、音源やライヴでこれから返していく”といったMCをしていますよね。
宮脇
そうですね。あのMCの意味は、僕の中ではそういうことだったんですよ。12012の歴史上、あのライヴはやっぱり分岐点になると思いますよ。今後と併せてこのDVDを観てほしいですね。
須賀
熱いライヴをすることは当然なんですけど、12012らしいところって、言葉にするのは難しいと思うんですよ。らしいところを作ろうともしてないし。ただ、自分たちが“これは12012らしいな”と思うところって、ライヴの時に感じてる空気感とか、そういうところなんですよね。それは今回のDVDにも詰まってる感じがあるんで、ぜひ観ていただきたいと思いますね。
12012にとって、この『無法地帯』は単なるライヴDVDというよりも、貴重な一瞬を切り取った記録作品とも言えそうですね。4月には先にリリースされたシングル「TATTOO」に伴う東名阪ツアーがありますが、こちらもなおさら楽しみですね。
宮脇
そこに今、最強に情熱を懸けてるんですよ。『無法地帯』の時も含めて2009年とは全然違う感じになってきてるし、特にファイナルとなる4月11日の東京・SHIBUYA-AXのライヴは絶対に来たほうがいいです。亨の誕生日でもあるし(笑)。その日の構想も練ってきてるし、それ以前にバンドとして今やるべきこと、考えもメンバー5人で一致してる。燃えてますよ。
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