【Angelo】新たな景色を提示したAng
elo最高傑作!
L→R KOHTA(Dr)、キリト(Vo)、TAKEO(Ba)
ヒットシングル「光の記憶」「El Dorado」「FATE」を含む移籍第1弾アルバム『Design』が完成した。キリトがこの作品を通して描き出したかったものとは? 新たな扉を開いたことで見えてきたバンドの核心とは?
取材:山本弘子
Angelo史上、最もメロディックで扉が開かれた作品でありながら、ロックバンドとしてのポテンシャルの高さは少しも損なわれていない。TVアニメ『テガミバチ』のエンディングテーマとしてオンエアされ、オリコン・ウィークリー・チャートの9位を記録した「光の記憶」、TVアニメ『戦国BASARA弐』のエンディングテーマに連続起用された「El Dorado」「FATE」と3枚のヒットシングルを収録した通算3枚目となるニューアルバム『Design』』が10月6日にリリースされる。
結成4年。メジャーデビュー前の2008年に日本武道館でのライヴを成功させ、確固たるポジションを獲得しているAngeloに攻撃的でヘヴィで毒のあるバンドというイメージを持っている人も多いかもしれない。確かにそれは彼らが持つ側面のひとつだが、音像が硬質であっても、ライヴで1度聴いただけでも記憶に残るキャッチーなギターリフ、フックのあるメロディラインは結成当初からの魅力だった。前作『METALLIC BUTTERFLY』がライヴに直結するヘヴィなサウンドの楽曲を中心に構成されたアルバムだとしたら、今作はソングライターであり、ヴォーカリストであるキリトの本質がより削ぎ落とされたかたちで表現されているのが印象的だ。
「前作はサウンドもヘヴィ。詞の世界観も毒の要素が強かったと思うんですけど、あのアルバムを作ったことでバンドとしてひとつイキきった気がして、その先をイメージした時にまた見えてくる景色が変わってきた」(キリト)
「自分らが得意としている世界観を前作で余すことなく表現したので、今回はそこを超えるというところで衝動的に沸き上がるものと、構築していく部分をうまく混ぜ合わせて違う景色が見えたらいいなと」(KOHTA)
「自分でも新しさを感じながらレコーディングしていましたね。このアルバムが完成したことで、またAngeloの幅が広がったと思います」(TAKEO)
それが先行してリリースされた、普遍的で甘く切ないメロディーが光るバラード「光の記憶」であり、Angeloの真骨頂と言える重厚で疾走感のあるサウンドと、突き抜けるサビのキャッチーなメロディーが絶妙なバランスで同居した「El Dorado」であり、今回のアルバムに収録されている秀逸な楽曲の数々。もはや阿吽の呼吸に達しているKOHTAとTAKEOのリズムセクションは、キリトによって生み出された曲たちを、時に繊細に、時に大胆にデザインして、景色をよりくっきりと描き出す役割を果たしている。そして、シングルがアルバムを構成するひとつのピースであるかのようにどこかでつながっているように思えるのは、キリトのメッセージによるところが大きい。キーワードとなったのは"光""闇""螺旋"。キリトによると"Design"というタイトルには景色を描き出していくという意味や、まだ見ぬ未来を創り出してしていく意味、さらには螺旋状になっているDNAをデザインしていくという意味合いも含まれているということだが、果てなく続く螺旋を日常に置き換えるならば、このアルバムで描かれているのは、いつか辿り着きたい理想のヴィジョンへの道のりだ。別れや痛みや傷などの"闇"をイメージさせるネガティブな言葉は、光の射す未来へ向かうために避けては通れないものとして肯定的に捉えられている。
「1曲1曲を書いている時はアルバムのコンセプトを考えていたわけじゃないけれど、全てが完成して感じたのは、終わりがあって始まりがあるというポイントをどの曲も意識しているなって。それは大きく捉えれば"死"と"生"でもあるけれど、人間の一生の中で何回も訪れるだろう終わりと始まり。別れと出逢いにしてもそうですけど、切り取ったポイントは新たな始まりを見据えた終わりの瞬間。もっと分かりやすく言うと、新しい物事が始まっていくためには終わらなきゃいけないっていうことですよね」(キリト)
ラストを締め括る曲は「Lotus bloom」で、いろいろなものを失いながらも辿り着きたい景色は"蓮の花咲き誇る 遠い丘"として描かれ、アルバムはまるで1本の映画を見終わったかのようなエンディングを迎える。
「自分の中でイメージがハッキリ浮かんでいた曲だけど、目指している場所や景色は人によって違う。だけど、どこかでみんな、そういうものを追い求めて、ひたむきに生きているんじゃないかと思う」(キリト)
冒頭で書いたように、Angeloというバンドが扉を大きく開け放ったこのアルバムは、世代や性別を超えて響いてくるキャッチーさを持った作品である。と同時に、扉の奥に聴き手が入っていけばいくほど、その世界はイマジネーション豊かな広がりを見せ、日々の中で心を閉ざしたくなる時には、忘れかけていた大切な何かを思い出させてくれるだろう。そして、このアルバムの楽曲たちはライヴではどんな景色を描き出してくれるのか? 未来のAngeloに心から期待している。
アーティスト
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