【→Pia-no-jaC←】ピアノとカホンで
描いた美しい夜明け
L→R HAYATO(Piano)、HIRO(Cajon)
ベストアルバム、47都道府県ツアーなど、精力的な活動が続いた昨年を経てリリースされる最新アルバム『暁』。たくさんの勇気、希望、笑顔を届けてくれる一枚だ。→Pia-no-jaC←の第2章が、ここから始まる。
取材:田中 大
去年感じたことがかなり反映されているんじゃないですか?
HAYATO
そう思います。去年は震災があって、予定していたインストアライヴが中止になってしまって。その時に“何ができるのか?”ってスタッフも含めて話し合ったんですけど、当時は日々状況が変わっていったから何もできなくてもどかしかったんです。でも、原点に立ち返るならば、俺たちはピアノとカホンで音楽を演奏して楽しんでもらうための存在。だから、その後に関西でのインストアライヴを再開したんです。笑顔って伝染するから、ライヴをどんどんやって笑顔を広げていけたらいいなと。そうやっている頃にできたのが「PEACE」。去年やった47都道府県ツアーの全カ所でやりました。最初はどこか元気がなくても、この曲をやると元気になってくれました。うれしかったですよ。
HIRO
去年のライヴはいろんな場所で、“来てくれてうれしかったです!”っていう声をたくさんいただいて。“音楽をやってきて良かったな”っていう気持ちにもなった一年でしたね。
HAYATO
「Fantasista」はデビュー前からあった曲をアレンジし直したんですけど、このアルバムの曲は、47都道府県ツアー中に作ったものがほとんどなんです。「雪月花」は、北海道で夜にしんしんと降る雪を見た時にできた曲です。
このアルバムっていろいろ困難と格闘する過程を経て、最後に清々しい気持ちで未来へと進んでいく様子が一枚を通して描かれている印象がしました。
HAYATO
元気なくてうつむいている人もいると思うんですけど、“夜明けは必ず来るから、一緒に前を向いて歩いていこうぜ”って伝えたかったんですよ。だから、タイトルは“暁”。
例えば、「Fantasisita」と「獅子奮迅」は困難との格闘を感じさせる曲でした。
HAYATO
闘志を燃やしてもらえる曲にしたかったので。「獅子奮迅」はピアノもカホンも闘っています(笑)。
HIRO
「Paradiso」もそうなんですけど、叩いた時の身体の熱がハンパない(笑)。だから、聴いている人にも熱い気持ちが伝わったらいいですね。
HAYATO
「Paradiso」は、構成をめっちゃ増やしたいと思いながら作った曲です。今回ってベストアルバムを出した後の第一作目なので、1stアルバムの1曲目「組曲『 』」みたいに構成を増やしたかったんです。いろんなフレーズを作りまくって、つないでいきました。聴いている人もハラハラして展開が読めない。今までやったことのないパラディドルという奏法をピアノでやったり。ピアノでリズムを出す曲にもしたかったので。
HIRO
だから、逆に俺は根元をどっしり支えるのに専念しました。俺はもともと手数が多いほうなんですけど、そういう要素を一切排除しました。面白い試みでしたね。ライヴで大変だけど(笑)。
HAYATO
でも、やっていると身体が追いついてくるもんなんですよ。だから、次に作る曲はさらにしんどいことでしょう(笑)。
(笑)。「Fairy Dolce」はゼンマイを巻く音とかが盛り込まれていて、ユーモラスな雰囲気ですね。
HAYATO
オモチャで遊んでいる時のような明るい笑顔を取り戻してもらいたいなと思って作りました。ライヴでもキーになると思いますね。面白い演出ができそうです。
HIRO
ゼンマイの音はいろんなオモチャを買ってきて試しました。アンティークのオモチャ屋さんに行って、“いい音がするオモチャはないですか?”と(笑)。この曲にはライヴに向けての伏線も散りばめられているから、ライヴを観てもらえたら“こういうことだったのか!”って分かると思います。
この曲もそうですけど、歌詞はなくてもいろんなイメージが沸くのが→Pia-no-jaC←の魅力だと改めて思いました。
HIRO
音って感情に訴えかけますからね。リズムを聴いただけで楽しい気分になったりしますし。音って原始的な部分と結び付いているんだと思います。
ヴィレッジヴァンガード限定音源ですけど、カホンのみのインスト「眞」も聴いていると血が騒ぎます。
HIRO
あれはシンバルすら使っていない。カホンと声だけなので。それで熱いものを感じてもらえればなと思っています。
あと、やはり「PEACE」はいい曲ですよね。ちょっとゴスペル的な要素が入っているのが気持ちいいです。
HAYATO
アルバムを作る度に新しいことを採り入れたいんです。「PEACE」のゴスペルもそうですね。しかも、誰もが口ずさめるようなメロディーにしたかった。でも、そういう中で俺ららしさを出すためにロックンロール的な要素も入れてみたりしています。
HIRO
ゴスペルって鎮魂歌としての意味も持っていますけど、楽しくなる音楽でもある。「PEACE」はその両面をいいバランスで表現できたと思います。
HAYATO
ライヴでこの曲をやると、最後のところでみんながピースをしてくれる、あれは鳥肌もんです。ずっと見ていたくなる風景なんですよ。次のツアーの楽しみでもあります。
このアルバムから→Pia-no-jaC←の第2章を始める気持ちもあるそうですが、どんなビジョンを抱いています?
HIRO
前回のツアーとかは初めてのお客さんでも楽しめるエンターテインメントの部分を大切にしたんですけど、もうひとつの側面も深めたいですね。原始的、本能的な部分で感じられるもの、音楽の力をさらに大切にしたいです。
HAYATO
アルバムのタイトル通りなんですけど、ここから夜明けにしたい。日本中元気にして、ピースにして、笑顔にしたい。一緒に前向きになりたいです。だから、まずは次のツアーの各地でピースの花を咲かせようと思っています。
アーティスト
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