【PUSHIM】疲れた心を癒し、前向きに
してくれる新曲
聴き手の心をグッと掴む、圧倒的な歌心を持つシンガー・PUSHIMが、ニューミニアルバム『夕陽』をリリース。リード曲の「夕陽」はシンプルなレゲエサウンドで、人の背中をそっと押すような温かい歌を聴かせるナンバーだ。
取材:土屋恵介
新作ミニアルバムのタイトル曲「夕陽」は、どういうきっかけで作られたのですか?
5月に子供を連れてハワイにプライベートで行ったんですよ。みんなそうだと思いますが、異国や自然の中に行くと、自分の小ささを感じたり、人生を見返したりすることってありますよね。その時、すごくきれいな夕陽を見たんですね。その夕陽が沈んでいく、5分10分くらいの間に思ったことを歌詞にしたんです。あと、最近曲を作る時に時間をかけることが多いんですが、今回は短い時間で作ろうって。それは、その時に出る素直な気持ちのエナジーで作りたいと思ったからです。
ゆったりとしたレゲエサウンドで、メッセージは“辛いことがあっても信じていこう”というシンプルなものですよね。
音もシンプルだし、聴いた人が“大丈夫、このままやっていこうよ”や”大丈夫だから、頑張って自分の人生歩いていこう”って気持ちになってくれたらいいなって。
“夕陽”だから、まだ辛い最中かもしれませんね。そこから夜が来て朝になっていく、温かい希望感が見えるようです。
そうですね。結局良くないことって、その時は辛いけど、時間が解決してくれるものだと思うんですよ。今、いい歳なんですけど、あの辛かったことも良かったんだって思えるようになってきたんですね。でも、10代や20代の頃って途方に暮れるじゃないですか。太陽が上がって沈んで、またやってくる。全ては時間の中で解決していくっていうのを、“夕陽”って言葉で表したかったんです。
だからか、ヴォーカルにもサウンドにも、優しさがありますね。
そうですね。前のアルバム『MILESTONE』はコンテンポラリーなおしゃれ感もあった作品で、次のアルバムはレゲエでいうファンデーション、王道のレゲエを意識して作りたいっていうのがその時点であったんです。今まで…特にリード曲はコードが細かく動いたり、ボリューム感がある曲っていうのを自分の中でも意識してたんですですけど、今はシンプルなレイドバックしたものを出す意味もあるのかなって。派手にガチガチした曲にするんじゃなく、引き算で出したいって気持ちになったんです。こういう曲も悪くないでしょ?って意味もあるし、次のアルバムはそういう匂いがあるよっていうのを伝えたくて。
歌詞で、特に印象的だったフレーズは?
《揺れてる地球 はじまる something new》ってところはすぐ出てきました。経済も含めてほんとに揺れてるし。音はオールドスタイルだけど、今のことを意識した歌詞ですね。あとは、《よろこびは 穏やかで 涙がひとつこぼれた》ってところ。何かをもらったとか、達成したって喜びもあるけど、ただ家族で一緒にいれたとか、きれいな夕陽を見れたとか、シンプルで穏やかなものが一番の喜びじゃないかなってことで、文字にしましたね。
《明日は小さな幸せが舞いおりるように》っていうのは、祈りみたいなものも感じますね。
みんなにそうなってほしいなって気持ちはありますね。
この曲は、ジャマイカでレコーディングして、PVをセルフプロデュースで撮られたそうですね。
ジャマイカって壁の色がカラフルできれいなんですよ。PVはいろんな壁の前で撮ったりしましたね。渋谷から自分の歩いてる足をiPhoneで撮って、ジャマイカの映像になるんです。それは、前に進んでるって意味で。今までお金かけたPVも作ってきたんですけど、そういう興味が今は薄れてて。時代的にもそうだし、お金をかけずにアイディア勝負で良いもの、面白いものを撮ってみたくてやってみたんですよね。
曲もPVも含めて、ある意味原点回帰というか、フラットなところに戻るってマインドになっているのでしょうか?
あー、それはあるかもしれないです。
そして、カップリングの新曲「One Night...」は、音も歌もクールで、歌詞の内容もセクシーな夜な雰囲気で、「夕陽」とはまた違った楽曲ですね。
これは今のダンスホールレゲエですね。GACHAPANってジャマイカに住んでる、むこうのダンスホールシーンの第一線でやってるふたりが、私に合うトラックを送ってきてくれたんです。すぐメロディーが見えて、歌詞も言葉遊びをしてナンパな感じのイメージで作りました。グルーブもあるし、楽しかったですね。
あと、『Ki/oon 20 Years & Days』でのライヴ音源が3曲収録されてますが、PUSHIMさんの熱いライヴ感も伝わってくるし、特に「a song dedicated ~one unity version~」は、F.O.HのMIHIRO~マイロ~さん、MOOMINさん、Likkle Maiさん、FIRE BALLのSuper Crissさんが参加してのスペシャルなセッションですね。
震災後に作った『a song dedicated』をライヴで実現できるなって、長い付き合いの近い仲間と歌ったんです。みんなの顔を見ると自然と笑顔が出るような空気感でしたね。
現場で一緒に歌ったあと、どんなことを感じましたか?
みんなすごいなと思ったし、ずっとやってきた彼らの懐の深さに感謝する日でしたね。みんなベテランのシンガーだなって勉強になりました。ひとりひとりの歴史を感じましたね。曲を通して温かみを感じたし、音楽を通しての友だちがいてほんと恵まれてるなって思ったし。ほんと“one unity”っていう、曲に込めたメッセージをしっかり伝えられたなって。
では、改めて最後に本作を聴いてくれる人へのメッセージを聞かせてください。
癒しの曲ですね。夏が過ぎて、家にこもりがちの時に夏を思い出しつつ、夏の疲れも癒してくれると思うし。これからの冬への目標を立てるために、1回リセットできる曲かなと思います。
アーティスト
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