【PUSHIM】自分で体感したことを歌い
続けたい

メジャーデビュー15周年を記念し、ファンからのリクエストで選曲されたベストアルバム『15th -THE BEST OF PUSHIM-』をリリース。既存曲やキヨサク(MONGOL800)との新曲についての話題や長く活動を続ける彼女の歌への思いを語ってもらった。
取材:土屋恵介

『15th -THE BEST OF PUSHIM-』はファンの方からリクエストで選曲されたベストアルバムですが、年代も万遍なく、わりと最近の曲も多いですね。

「Hooray」「夕陽」も入っててびっくりしました。ベストを出しても昔の曲ばかりってのもあるけど、新しい曲が入ってくるのは、長くやってて良かったと思います(笑)。

新曲が2曲収録されてますが、まず「Light Up YourFire」はミディアムなレゲエチューンですね。

去年の息子の誕生日、仕事帰りの道すがら、もう3歳かって思いつつメロディーが浮かんできたんです。でも、歌詞を書いてみたら、全部自分に言い聞かせてる内容でしたね(笑)。

歌詞は“魂を燃やせ! 灯せ!”って人生観を歌ってますが。

震災後、そういう気持ちになったのは大きくて。いつ何が起きるか分からないし、いろいろ考えたけど、一生懸命魂を燃やして、充実した人生を送るしかない、楽しむしかないなって。3年間ずっと持ってた気持ちを書いた感じですね。

MONGOL800のキヨサクさんをフィーチャーした「ララバイ」は、おふたりの歌で聴かせるナンバーですね。

こっちも歌詞のテーマは一緒ですけど、雰囲気は全然違うものを作りたかったんです。キヨサクさんと歌を作ることを決めた時に、彼の声がストレートに聴こえるシンプルなものにしたくて、アコースティックな曲になりました。

キヨサクさんとは以前から交流があったのですか?

イベントで一緒になったり、ライヴで会ってよく話したりしてて。で、曲作りをお誘いしたいなって思ってて…そしたら、すぐオッケーしてくれて。この曲は、歌詞の出だしがパッと浮かびました。空を仰いで横に並んで話をしてるシチュエーションを、歌で作りたかったんです。

聴いてて、たき火が見えました(笑)。生き方の魂感と、人との支え合いが歌われてますね。

自分の生活だけじゃなく、世の中には悲しい出来事も多いし、それがこの歌詞を作るきっかけになりましたね。憎しみとか奪い合いで頭いっぱいになっても、人の人生なんか歴史で言えば短いし、だったら楽しく生きようって歌ですね。

キヨサクさんとのレコーディングはどうでした?

もうめっちゃええ声で、レコーディングの時、 “ええ声やで~”って言ってました(笑)。彼が最初に歌うところも私が書いたんですけど、あの声で“畑”とか“山”とか言ってほしいなって。もう、たまらなかったですね(笑)。

大満足の良いコラボができたと(笑)。あと、「FOREVER」と「a song dedicated」が“2014 ver.”として、アコースティックバンドの演奏で再録されてますが。

ここ数年、アコースティックでのライヴもやったりして、それが気持ち良かったので形に残したいなって思いがありました。原曲(「a song dedicated」)との一番の違いは声一本ってところですね。

では、本作の中でPUSHIMさんが、個人的に思い入れの強い曲を挙げるとすると?

シングルじゃない「Rain or Shine」が入ってるのは嬉しかったです。15年やってきた中で、作りたいものへの変化が出てきた頃の歌なんです。この中だと「Strong Woman」が一番初期の曲で、“すごく好きです”って言ってくれる方が多くて嬉しいんですけど、唯一、人に作ってもらった曲で、私自身はちょっとしか手を加えてないんです。いつかこれを超える曲を作りたいと思ってたんですよ。そういう気持ちで「I Wanna Know You」や「Rain or Shine」、間は空きますが「My name is...」は自分で作ったものですね。

初期はダンスホールの勢い感が前面に出てましたよね。

当時はそれがやってて楽しかったし。でも、デビューして数年経った時から、歌ものを自分の中で完成させたくなったんですよ。ミディアムのレゲエの楽しさどっぷりの中で歌いたいなって。ジャマイカに行った時、ミディアムのオケで歌ったアカペラを聴いたら、自分が急いで歌ってる気がしたんです。ジャマイカの人はみんな溜めて歌うんですよ。それを研究するのが面白くなって、レゲエのグルーブ感を自分のものにしたいと思ったんです。リズムをきれいに打ってる中で、どうしたら歌が入ることでもっと人を巻き込めるようになるのか、もっと勉強したいって。今回CDには入ってないけどDVDのほうに入ってる、「Anything For You」ができたのは大きいですね。やっとジャマイカっぽいの作れたと思いました。やっぱり、レゲエのシーンで歌ってきたからこそ、今も歌えてるって思いはありますね。

15周年ですが、この先もどんどん歌い続けてくれそうな印象はありますね。

そうですね。できれば60歳くらいまでは。

「ララバイ」では、“死ぬまで歌っていく”と歌ってますよ。

曲で言ってしまってましたね(笑)。

(笑)。あと、今後やってみたいことはありますか?

人のプロデュースはしていきたいです。今までも倖田來未ちゃん、Ms.OOJAとかをちょっとだけやったんです。若い子に、私が15年~20年歌ってきて分かった発見とかコツを伝授していきたくて。自分が歌い手なので、歌ったことがないプロデューサーよりディレクションは上手いかなとは思ってます(笑)。

若い子のフックアップにもつながりますもんね。PUSHIMさんとしてはどうですか?

改めて曲の並びを見ると、自分の中でいろんな事件があって衝動的に曲を作ってるんです。刺激のある人生を送れたら、歌はいつまでも書けるなと思いますね。長く歌ってると、歌詞の中でこの2行がすごい好きだから歌ってるっていうのが見つけられるんです。この先、良いことも悪いこともあるでしょうけど、この言葉を伝えたいって歌を作るには、自分で体感して経験していかないと、とは思いますね。
『15th -THE BEST OF PUSHIM-』2014年06月04日発売Ki/oon Music
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • KSCL-2409 ~10 4860円
    • 【通常盤】
    • KSCL-2411 3240円
PUSHIM プロフィール

プシン:2000年3月に1stアルバム『Say Greetings!』(Greetingsはジャマイカで“初めまして”の意味)をリリース。朝本浩文とのコラボレーションや雑多なジャンルを飲み込んだスケールの大きい世界を展開し、サウンドの隅々から主張をみなぎらせている。ダンスホールやヒップホップ、R&Bまで歌いこなす器のデカさは、いわゆるディーヴァ系の括りには収まりきらない。デビュー15周年を経た16年1月、自身が新たに設立したレーベル“groovillage”より、アルバム『F』をリリース。PUSHIM オフィシャルHP

OKMusic編集部

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