【カミヒカルス】次のステージに進む
ための、
これはカミヒカルスの記録(レコード

L→R 伊藤“EAT MAN”顕央(Ba)、カネモリタナカ(Vo&Gu)、齊藤 潤(Dr)、松田悠輝(Gu)


取材:石田博嗣

メンバーチェンジを経て、約1年振りに発表された2ndアルバム『エモーション』。バンドサウンドがより強固になり、今まで以上にギターが高い殺傷力を持って切り込んでくるというか、より攻めのサウンドになったように感じる。まず、その意見をカネモリタナカ(Vo&Gu)にぶつけてみた。

この一年いろいろなことがありました。変わったことというと、アルバムを出すにあたってメンバーとの意思の疎通が近づいてきたかなと。今回はツインギターの絡みとアレンジを時間かけて練った結果、殺傷力を持ったサウンドになったのだと思います。よりイメージに近づけたというか。

では、どんなアルバムにしたいと思って、本作の制作に入ったのだろうか?

1stアルバムをリリースした頃から、僕は今回のアルバムの曲作りに没頭してました。タイミングを見て本当はもっと早くリリースしたかったんですけど、メンバーが脱退したりして、思うように事が運ばなかった時期に3.11の震災が起きて…その時に『pray』という曲ができたんです。“自分の中にある本当の声を、今歌わないで一体いつ歌うのか”と考えたら曲がたくさんできて、ライヴや、曲を煮詰めてたらこの時期になりました。よりコアな作品にしたいと思って。

「pray」は東日本大震災のチャリティーシングルとして発表されたが、この曲を作ったことで、また歌うようになったことで、カネモリ自身の心境にも変化があったという。

今の僕らは知名度もないし、地下室という名のライヴハウスでライヴしてる活動の中でこの曲を歌うようになってからは、よりいっそう自分の中で“届けたい”という思いと、“救いたい”という思いがあふれ出てきたことは確かです。

また、怒り、憤り、焦燥を感じさせるが、ちゃんと希望を見据えているところが特徴的な楽曲たちは、前作以上に自分と対峙し、より内面が吐き出された感がある。

曲を書くという行為はある意味自分との闘いというか、自問自答を繰り返してメロディーやサウンドに乗せて昇華させるというか。自分なりの視点で、今この世界で生きて感じたことを、大衆向けの言葉ではなく自分の言葉で歌うことを意識しました。インディーズですしね。次のステージに進むための、これはカミヒカルスの記録(レコード)です。本当に大事なものはいつも胸の奥にあって、11曲それぞれの思いが曲の中に入っていて、それが散りばめられた作品が作れました。

カミヒカルス

カミヒカルス:2004年にカネモリタナカ(Vo&Gu)を中心に結成。地元、函館で絶大なる人気を誇るも、08年5月に本格的な音楽活動のため上京。メンバーチェンジを経てスケールアップしたバンドサウンドは、ギターロックの王道を貫きつつも、ミディアムテンポの楽曲が注目されるなど、メロディーに説得力がある。 

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