【ひいらぎ】自分たちの中では両A面
L→R 恵梨香(Cho&Gu)、千晶(Vo&Gu)
直接思いを伝えることのできない人たちに代わり、ひいらぎがメッセージを届けるという地元北海道限定企画『あなたと綴る言葉たち~ひいらぎ 冬の物語り~』を通じて、「お父さん」と「あなたに」が誕生。彼女たちからの渾身のメッセージを受け取ってほしい。
取材:ジャガー
メッセージ色の強い2曲がそろいましたね。シングルではお馴染みの“一発録れたて編”もなく。
恵梨香
そうなんですよ。今回のシングルに入っている「お父さん」と「あなたに」は、自分たちの中では両A面なんです。
千晶
それぐらい気合いが入ってますし、今年一発目の作品ということで2曲で1000円ぽっきりで、とにかく聴いてください!と。
なるほど。「お父さん」は結婚する娘から父親への感謝の気持ちが綴られたウェディングソングですね。
恵梨香
「お父さん」は、ファンレターや地元北海道限定企画『あなたと綴る言葉たち~ひいらぎ 冬の物語り~』などで“結婚式で歌ってほしい”っていう意見をたくさんいただいていたので、ウェディングソングを書いてみようと。で、お母さんや旦那さん、結婚する人へ向けた歌はたくさんあるのにお父さんに向けた曲ってあんまりないな~って気付いて。
千晶
なかなかスポットを浴びない存在っていうか(笑)。
恵梨香
見えないところで一生懸命頑張ってくれてるのに、結構“お母さんのほうが頑張ってるし”って家族内でもなりがちじゃないですか。なので、結婚式ぐらいお父さんにスポットを当ててあげたかったし、自分が結婚する時にはお父さんに寂しい気持ちになってほしいというか。“結婚してほしくないな”って思ってもらおうと思って…全然いい娘ではないので、いい娘になれてたら良かったなっていう理想も込めながら書きました。
柔らかい歌声の恵梨香さんがメインヴォーカルを取っていることもあり、より感情移入できました。
恵梨香
自分が歌うかもっていう発想がなかったんですね。だから、最初の歌詞もやんわり表現してたんです。“私”って言葉を使わないとか、何だったらお母さんにも受け取れるようにとか。
千晶
でも、そこはお父さんっていうものにちゃんと寄り添って歌わないとダメなんじゃないかっていうので、何回も書き直してくれて今のかたちになりました。そうすると、自分が歌うよりは恵梨香が歌うほうがしっくりくるなってことになり。
恵梨香
千晶さんみたいに声の太い人が《お父さんと結婚するって約束も》って歌うとニュアンスが変わってきちゃうかなって。
千晶
イメージしづらいじゃないですか(笑)。ちゃんと曲として良い曲を作ろうっていうので、お父さんというテーマに寄り添ったかたちで恵梨香が何回も書き直してくれて。
恵梨香
今回は「お父さん」という曲に対して歌詞を書いたので、いつもと感覚が違ったというか。自分の曲だけど、書き下ろしみたいな印象がありました。結婚もしたことないので想像だし、面白かったですね。
「あなたに」は恵梨香さんの人柄が表れている曲ですよね。
千晶
恵梨香から上がってきたのが年末で、年始早々には録らなきゃいけなかったので、ずっと聴きながら覚えようとしてたんですけど、年末だし、いろいろ思うこともあったりして。ちょうどこの曲を作る前ぐらいに、恵梨香とふたりでひいらぎについて話し合ったりもしてたんで…ものすごい分かる部分がたくさんありました。みんなもそうだけど、自分たちも明日どうなるかなんて分からないし、でも明日も歌っていたい。本当に純粋な気持ちが詰まってるなって。そういう曲だからこそ、ちゃんとまっすぐ伝わるように歌わなきゃいけないと思って、納得がいくまで何回も録り直させてもらいました。「お父さん」とは対照的ですけど、どっちもひいらぎが持ってる部分だと思うので、じっくり聴いてほしいですね。
取材前に『あなたと綴る言葉たち~ひいらぎ 冬の物語り~』の映像を拝見したのですが、すごく素敵な企画ですよね。場面は違っても、大切な人へ素直な気持ちを届けたいという思いにあふれていて。
恵梨香
「あなたに」は特にこの旅(企画)でいろんな人と出会ったことで感じたことを歌いました。“今が大切だよ”とか“今を一生懸命生きましょう”って分かってはいるけど、どこかで明日は来るって無意識に思ってたんですね。でも、癌の方がいたり、卒業だったり、小学生の無邪気さとか…いつまで続くのかなって。そうやって考えていくと、自分たちの活動は当たり前じゃないんだなって改めて考えさせらた時期でもあって。明日世界が終わるとして、これが最後のCDになるんだったら何を伝えたいかなって考えた時、聴いてくれるみなさんに対してメッセージを残したいって思ったんですね。嘘をつきたくないのにつかなきゃいけない場面に違和感があるんですね。例えば、次のライヴがまだ決まってないのに、“またね”って言っていいのかなとか。今はまたライヴしたいからって意味で“またね”って言えるようになったんですけど、そういう自分自身の思い…今言いたいこと、もともと伝えたかったことが全部詰まった曲です。
今作では新たな試みとして、宮井英俊さんをプロデューサーに迎えての制作をされたようで。
恵梨香
今までずっとプロデュースしてくれていた浅田信一さんはバンド感を重視する方なので、みんなでいっせーのでってやってたんですけど、宮井さんは結構デジタルというか。
千晶
それぞれのパートを作ってきてくれて、それに自分たちが乗っかるっていう。コードの感じも人によって違うんですよ。最初緊張や不安があったんですけど、時間がない中でもしっかりアレンジしてもらえて、自分たちの要望も聞いてもらえたので楽しくできました。
アーティスト
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