【GLIM SPANKY】『Next One TOUR 20
16』2016年10月30日 at 新木場STUDI
O COAST

撮影:KAMIIISAKA HAJIME/取材:竹内美保

 大地を揺らしながら未開の世界を突き進んでいくような、ドラムのキックが鳴らすヘヴィなビート。どっしりとした、しかし無限の広がりをも感じさせる「Next One」で幕を開けたライヴは、“GLIM SPANKY”という名が象徴する特異な存在感がさらに強固なものになっていることを深く感じさせた。

 松尾レミ(Vo&Gu)と亀本寛貴(Gu)が血肉とし、それをフレッシュな感性で昇華させたブルージーなロックンロールは、源流がやがて波打つ大河へと姿を変えていくようなスケール感をもって響いてくる。混沌を表現するがごとく攻撃的な音色を奏でる亀本のギタープレイが魅了する「ダミーロックとブルース」。“静かな重さ”がジワジワと身体に染み渡ってくるような「闇に目を凝らせば」。松尾の少し気怠そうなハスキーヴォイスが歌詞に描かれている風景を映像化して浮かび上がらせていく「いざメキシコへ」。そして、“ワイルド・サイドこそが王道”であるGLIM SPANKYのテーマ曲と言える「ワイルド・サイドを行け」といった、このバンドの背景や礎、主軸がはっきりと見えるナンバーで真骨頂を発揮していたのはもちろんだが、シンプルなサウンドに真っ直ぐなメッセージを乗せた「話をしよう」がいいフックとなっていたのは、ふたりの進化の新たな証かもしれない。“もろウッドストックの丘のような景色で歌えて最高!”というアンコールの時のMCには松尾らしい感動があふれていたが、おそらくそこに満足はないはず。「リアル鬼ごっこ」で炸裂させていた正のパワーには、すでに未来へと向けて席捲し始めている、ふたりの強い志が表れていたのだから。



セットリスト

  1. NEXT ONE
  2. 焦燥
  3. 褒めろよ
  4. ダミーロックとブルース
  5. 闇に目を凝らせば
  6. NIGHT LAN DOT
  7. grand port
  8. 時代のヒーロー
  9. いざメキシコへ
  10. 風に唄えば
  11. 話をしよう
  12. BOYS&GIRLS
  13. 怒りをくれよ
  14. Gypsy
  15. 大人になったら
  16. ワイルド・サイドを行け
  17. <ENCORE>
  18. リアル鬼ごっこ

GLIM SPANKY

グリム・スパンキー:⾧野県出身の男女二人組ロックユニット。ハスキーでオンリーワンな松尾レミの歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本寛貴のギターが特徴。特に60~70 年代の音楽やファッション、アート等のカルチャーに影響を受けており、それらをルーツに持ちながら唯一無二なサウンドを鳴らしている。2007 年結成、14 年メジャーデビュー。18 年に日本武道館ワンマンライヴを成功させ、同年開催の『FUJI ROCK FESTIVAL』GREEN STAGEに出演。ドラマや映画、アニメなどの主題歌を多数手掛けている。最近ではももいろクローバーZ や上白石萌音、DISH//、野宮真貴、バーチャル・シンガーの花譜など、幅広いジャンルで他アーティストへの楽曲提供も行なっている。

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