【ゆず】ゆず×ヒャダイン最新作「表
裏一体」完成!
L→R 北川悠仁(リーダー)、岩沢厚治(サブリーダー)
ゆずと“ヒャダイン”こと前山田健一が再び手を組み、「表裏一体」という壮大組曲を完成させた。圧巻のスピード感と予想できない曲展開、ソリッドかつ洗礼された音色が、聴く者を螺旋の遥か先へと誘ってゆく。
取材:セーニャ・アンド・カンパニー
「表裏一体」は前作「REASON」以上にソリッドで、展開のあるアップテンポなナンバーに仕上がっていますね。複数のサビを組み合わせて1曲に仕上げる手法は、「表裏一体」でも採用されているのですか?
北川
はい。まず、「REASON」でうまくいったなって思う成功例のひとつに、最初に大きく旗を振ることだったり、曲の種になるようなテーマやキーワードを持つことが大事だなと。作品をうまく構築できていったのも、もともとあった種というか、ブレない軸があったからだと思いました。なので「表裏一体」でも、まず自分はその部分を大切にして、メインになるサビパートと全体のテーマを、自分が旗振り役として担いました。新しい挑戦という意味では、前はそれぞれのパーツをどんどん組み合わせていく感じだったんですけど、「表裏一体」ではそれぞれが作ってきたパートからさらに踏み込んで一体化させた感じがしています。「REASON」より、さらに三身が一体となったようなイメージですね。
テーマはハッキリとしていたんですね。“表裏一体”という象徴的な言葉はどこから出てきたのですか?
北川
“表裏一体”という言葉自体、自分の中で以前から思っていた大切なキーワードだったんです。「LAND」(11thアルバム『LAND』収録曲)でも歌っていることでもあるんですけど、ひとつの側面で物事は語れない、良いことも悪いことも含めて、その上でどうするかということは、ずっと歌いたいテーマではありました。ゆずの関係性という意味でもつながりますしね。ふたりとも全然違うタイプですし、それが合わさってどうなっていくのかという。
岩沢さんは制作手法についてどんな感触でしたか?
岩沢
前回よりもテーマは明確になっていたし、“ここがBメロになるんだろうな”っていうのを想定したり、“きっとこれもつながるんだろうな”って、的確にいくつかのフレーズを作って、ヒャダインくんに丸投げしました(笑)。とはいえ、北川が作ってきたフレーズとのマッチングも良くて。スタートの段階から、ゆずが提示するものとしてはまとまったものができた感触はありましたね。このやり方は、このチームじゃないとできなかったんじゃないかと思います。
“表裏一体”という言葉にはどういう印象を受けましたか?
岩沢
サビが曲タイトルから始まるじゃないですか、《表裏一体》って。いろんなところに展開がいくんですけど、全てがそのサビ頭に集まって向かっていく感じがして。それがすごく大きかったというか、曲全体が引き締まっている気がします。
最初に投げたものがヒャダインさんから返ってきた時の印象はいかがでしたか?
北川
“そうだよね、その感じがやりたかったんだよね”って感じで、ドンピシャに近いものがありましたね。正直「REASON」の時よりもやり取りの回数は減ったんだけど、一回一回のお互いが返すものの濃さが違った。言葉のやり取りもそこまで多くはなかったです。
岩沢
いかようにもなるなと思いましたね。このままでもいいし、別のいろんなアイデアがたくさん出てきました。テンポやらキーやらを変化させては戻り、また変化させては戻りを繰り返して、一番いいところに落とし込めました。自由度は高かったですね。でも、あくまで最終判断は聴き手側に立って、聴き心地を重視した気がします。
北川
テンポに関しては、僕がもともとサビで作っていたテンポで始まるとちょっと速くなりすぎるなと思ったので、1番のAメロ・Bメロからサビにいく時にテンポアップを仕掛けてます。普通はテンポが決まったら最初から最後まで一貫するものなんだけど、サビでテンポが上がるのは斬新な仕掛けだと思います。これはゆずサイドからの提案だったんですけど、非常に効果的だったのかなと思いました。
サウンド面でポイントになった部分はどこでしょう? ギターであったり、歌であったり。
北川
前回は基本的に、僕らが作っていった基礎に対してヒャダインが持っている音をぶつけていくような感じだったんだけど、さっきも岩沢くんが言ったように、今回はドラムやストリングスを生でトライしているんですね。これは僕らとヒャダインにとって新たな進化形だと思っていて。僕らはもともと、ヒャダインのある意味デジタルな音色を含めて欲しがっていたんだけど、今度はデジタルなものから、それをアナログに戻していく感覚とか、生の化学反応みたいなものを欲しがりましたね。
岩沢さんはいかがですか?
岩沢
「REASON」の時もそうだったけれども、いわゆる場面転換が凄まじい。凄まじいんだけど、やっぱりひとつの曲なんですよね。そのさじ加減というか、AメロからBメロに移り変わるところとか、場面は変われど、ひとつの曲を歌っているという意識はずっとありました。ここはDメロだからこういうテンションに変わるとか、めまぐるしく変わる展開をうまく表現しようとは思いましたね。
北川
歌で言うと、昔は一度デモを作ってしまうとなかなか本番まで歌わないことが多かったんですけど、最近は本番に向けて何度も歌い込みをしていくんですね。アレンジの変更だったり、曲のやり取りが行なわれる度に歌ったり。その中で歌が自分の中にしっかり入っていっているので、レコーディング自体の歌はすんなりやれたなと僕は思いましたね。その場面ごとのある種キャラクター性を出せるように歌ったりして、楽しかったです。
歌で言うと、2番で垣間見れるおふたりの“歌の応酬”は圧巻ですね。聴いていてドキドキします。
岩沢
そこは前山田くんの“妙”というか、彼ならではのアプローチでしたね。出てくる言葉が“抗う”とか、また難しくて(笑)。前山田くんが歌っている仮歌から誠意が伝わってきましたね。“(キーが)高すぎて死にそうです”と(笑)。これはちゃんと歌わねばと思いました。面白い試みだったと思うし、思い付きそうで思い付かない、素晴らしいコラボレーションでした。
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