【逗子三兄弟】聴く人の生活や人生の
最高のBGMになれば嬉しい
L→R 大雅、翔馬、優己
湘南エリア在住のリアルな三兄弟による、逗子三兄弟がアルバム『Stay with 海』を完成させた。“海”“夏”“仲間”といった、等身大の湘南ライフを凝縮した全11曲。日常に自然と溶け込む耳馴染み良い歌とサウンドが、素敵な夏を演出してくれる。
取材:フジジュン
ニューアルバム『Stay with 海』完成ですが。アルバムタイトルはちょっとフザケましたよね?(笑)
大雅
ちょっとじゃないです、だいぶフザケました(笑)。
ワハハ。でも、そんなユーモア含めて、逗子三兄弟の姿勢や音楽性、作品をよく表してるなと思いました。
優己
久しぶりのアルバムってことと、レコード会社を移籍しての第一弾ということで、制作環境もガラッと変わったんですけど、“海”や“湘南”というところにはずっとこだわっていて、僕らの生まれ住んだ環境や色、音だったりをもっと出したくて、今回は全曲通して逗子の波の音を入れていたりします。
大雅
いい意味で生々しく、人間臭いアルバムになりましたね。すごく等身大の作品だと思う。サウンドやメッセージ含めて、湘南のリアリティーや生々しさを感じる作品になったと思うし。個人的には今まで作ってきた中でも、一番いいと思えるアルバムが作れたと思ってます。
翔馬
3人兄弟でいろんな音を持ち寄ってというのも、ひとつの要因だと思うんですが。自分たちでもまたひとつ新しい挑戦ができた作品になったとも思っています。
3人の生活と音楽が密接だからだと思うんですけど、生活にスッと入り込んでくるようなサウンドと、日々思うことや気持ちの機微の中から生まれてくる自然な言葉がすごく心地良くて。何度も繰り返し聴けるアルバムだなと思いました。
大雅
嬉しいですね。曲ってやっぱり、聴き手に渡って初めて完成だと思うんで。聴く人の世代も違えば生活のリズムも違うし、刺さる曲もまちまちだと思うんですけど、みんなにとってエバーグリーンな作品になればいいなと思うし、僕らの音楽と聴いた人の生活がうまくリンクしていけば嬉しいなと常に思ってるんですよ。聴く人の人生や生活の中で、僕らの曲が最高のBGMになればいいなと思ってるんですけど、今作でやっとそんな作品が作れたと思います。
《いつからだろう… 惰性のように感じ始めて》と始まるリード曲の「愛なんですか? 情ですか?」などは、あまり状況にフィットしてほしくないラブソングですけどね(笑)。
大雅
あはは。でも、きれいなだけがラブソングじゃないんで、そういう面も切り取りたいし。音から連想する部分もあるから、歌詞と曲が上手くマッチした曲になったと思ってます。
優己
大雅がよく“毒を盛りたい”って言うんですけど、いい歌をただきれいに組み立てても、どこにでもある曲になってしまう。きれいな中にある何かを“毒”と言うのであれば、僕らの曲にはそれも入れていきたいなと思っています。
大雅
生きてると辛いことも多いじゃないですか。いいことだけじゃなくて、そこも飾らないで入れていきたくて。それを僕は“毒”と言ってるんですが、ありのままに歌うことが、聴く人に刺さる何かになるんじゃないかと思うんです。
ありのままというところでは、「海にいこーぜ」は普段3人が見ている、飾らない風景が見えてきたのがすごく良かったです。
優己
音で風景を見せたいというのは、どの曲もこだわってる部分なので、それはすごく嬉しいですね。僕らにとって海は歩いて5分の日常の風景で、毎回何か目的があって海に行くわけでもなかったりするのですが、僕らにとっての海の存在をイメージしてもらえたらより伝わると思うんです。
翔馬
そう、僕らにとっては夏の風景が日常すぎるので、あまり時代も限定せずに夏を描いてますね。例えば、17歳の頃をイメージして書いた「17歳の夏」とかは、17歳が聴くのと30歳が聴くので受け取り方が全然違うと思うし、17歳の時に聴いたこの曲を10年後に聴いたらまた違った感情で聴けると思う。どういう人やどの世代に聴いてほしいというのもなくて、人それぞれの聴き方で聴いて曲と一緒に年を取れたら素敵だなと思うんです。歌詞に時代を表す言葉があってもいいと思うけど、僕らは今年の夏を表現するよりは“夏ってこうだよね”ってところを表現したいし、それぞれの夏を感じてもらえればいいなと思うんです。
サウンド面も固定概念にとらわれていなくて、「ミュージック♪サーファー」とかはかなり自由に遊べていますよね。
大雅
セオリーとかを気にしないで作るので、この曲とかは特にプロのアレンジャーさんだったら作らないようなリズムを使っていたりして。そこが味になってると思うし、人間臭い部分にもつながってると思いますね。今回、演奏もあえてプロのミュージシャンに頼まず、地元・湘南の仲間に演奏してもらったんです。湘南って住んでる人にしか分からない空気感があって、それを出すには住んでる人、気心知れたセンスある仲間と作ったほうがいいんじゃないか?とお願いして。ギターもスタジオでなく、自分たちで作ったブースで録ったり、かなりラフな感じでレコーディングしてて、その感じもいいかたちで音に出せたと思います。あと、セッション的に生まれた曲も多いんですが、“逗子三兄弟サウンドとはなんぞや?”と究明した時、今までやってきた音楽に感覚から生まれたものを取り入れるというやり方に辿り着いて。それが120パーセントうまくできたかと言ったら分からないですけど、そんな挑戦も僕らにとってはすごく新鮮だったし、改めて音楽の楽しさに気付けたし、ここからまた新たなスタートを切れた感があるんです。
では、逗子三兄弟のターニングポイント的作品であり、迷った時に戻ってこれる原点的な作品になったわけですね。
大雅
そうですね。まったく新しいことをやろうと思ってたんですけど、出来上がってみたら原点回帰みたいな作品にもなっていて。結局、こういうことしかできないんですよね(笑)。
優己
あとは、胸を張って聴かせられるいいアルバムができたので、自分たちだけで満足することなく、この作品を通じてみなさんに夏を楽しんでもらいたいですね。この夏は“水着”“ビール”“逗子三兄弟”って感じで夏の必須アイテムとして使用してもらって。僕らもアルバムを掲げていろんなところに足を運ばせてもらうので、近くに行った時には一緒に遊びましょう。
アーティスト
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