【LM.C】どの曲も自信があるし、どう
評価されても構わない

L→R maya(Vo)、Aiji(Gu)

前作『PERFECT FANTASY』から約10カ月を経て届けられたのは『PERFECT RAINBOW』。カラフルでパワフルなポップチューンを奏でてきたLM.Cが放った音世界に、彼ら流の絶対的な“虹”が見えてくる。
取材:土屋京輔

まずは前作とのタイトルの関連が気になりますね。

maya

『PERFECT FANTASY』を作っている途中では、閃いてましたね。イメージとしても、次の作品は期間を空けずにリリースしたい気持ちはありましたし、結果的に連動しているように見えるのを楽しめたらいいなとは思って。

しかし、なぜ“Rainbow”だったのでしょうか? “幻想(fantasy)”と“虹(rainbow)”とは、並列する概念ではないですよね。

maya

…語感で(笑)。いつも語感と字面は重要なんですけど、今回は後からくる言い訳めいた理由も特に見つかってないんですよ。でも、“ファンタジー”を“幻想”と訳すならば、次に何が来たらいいかなと考えた時、その先に虹がかかっているという、なんとも美しい景色が重なったんですよね。

Aiji

当初、『PERFECT FANTASY』はフルアルバムとして制作する予定だったんですけど、時代背景的なことも考えて、2枚のミニアルバムにセパレートすることにしたんですよ。だから、“PERFECT”シリーズ的な見え方にもなるし、昔のレコードのA面とB面みたいな感じで、それぞれが存在しても面白いかなぁと思って。ただ、前回はバランスとして、EDMの方向へちょっと振り切ってるところがありましたけど、今回は特にサウンド的な部分とかで言えば、ノーコンセプトだったんですよ。

「MOGURA」が先行配信されましたが、『PERFECT FANTASY』の後ですから、てっきりEDM色が強いものがくるのかなと思っていたら、ヘヴィなバンドサウンドを前面に押し出してきたので、そこはなかなかの驚きでしたね。

maya

そこも前回がこうだからというのは、必要以上には考えてないと思うんですけど、今、何を提出したら楽しいかなと。タイトルとかを含めてでしょうけどね。

Aiji

それと今回はシングル曲が入っていないので、どうしてもリードトラックって、その時の一番の押し曲みたいに見られるじゃないですか。前回が「My Favorite Monster」というEDM色の強い曲だったので、まずそっち方向ではないなと思っていて、どうせ聴かせるのであれば、勝負球として最もテンションの高い、破壊力のある曲にしたいなというのはありましたね。普通なら「Brand New Rainbow」や「JUST LIKE THIS!!」にしがちだけど、そういう曲を選ばないというのが、(始動から)8年経った今のLM.Cの答えな気がしますね。どの曲も自信があるし、どう評価されても、もういいかなというところまで来た気がします。

maya

LM.Cの歌詞の世界には、動物をモチーフにしたものも結構ありますけど、これはもともと犬の歌を作ろうと思ってたんですよ。だけど気付いたら、犬が走り回っているというより、どんどん何かを掘り下げていくようなイメージも沸いてきて。まずタイトルだけ発表した時、我々を応援してくれている人たちは、いろいろ想像したみたいですけど、それをかなり超えたところの曲だったらしく(笑)。

ええ(笑)。「Minor Leaguers' Song」は、やはりメジャーリーグ・ベースボールのテーマ曲とも言える「Wild Thing」へのオマージュでもあるんでしょう?

maya

結果的にそういう雰囲気になりましたね(笑)。

Aiji

仮タイトルも“メジャーリーグ”って呼んでたね(笑)。

maya

うん。古き良きとまでは言わないですけど、昔のアメリカ感…そういうイメージで作ってはいたんですよ。スポーツモチーフが始まりましたよ、ここから(笑)。

Aiji

ここから狙っていって、次のオリンピックのテーマソングを書かせてもらいたいなという(笑)。

競技ごとに書くのもいいかもしれませんよ(笑)。「LADY TALK」も80'sのシンセポップに通じる雰囲気が面白いですが、こんな曲がやれるのもLM.Cですね。

Aiji

当時のニューウェイブな曲たちって、上手く説明できないけど、音の佇まいも含めて、何かグッとくるんですよね。なので、その辺を狙いました。

maya

スピンオフというか、アンサーソングというか、同じ状況の別目線という作り方は今までもやってきましたけど、これは前々作のアルバム(『STRONG POP』)にあった「BABY TALK」からの派生なんですよ。だから、遡ってもらえても楽しめるかなと。

最後を締め括る「Brand New Rainbow」は、やはりこのタイミングならではの曲なんだろうなとも思いますね。

Aiji

怪しい雰囲気から始まるんですけど、雲の中をバーっと突き進んでいったら、虹が見えたよ、というような爽快感。この曲を作っている時には、もうアルバムタイトルも決まってたんで、そんなイメージもあったんでしょうね。

「キミヨサラバ」はちょっと懐かしいヒップホップな感じが興味深いですが、すでに4年ほど前からあったようですね。歌詞の書き方が他の曲とはまったく違うのも注目点で。

maya

自然とそうなった感じですね。かつては、どう物語を転がしていけばいいのか分からなかったんですよ。でも、何があったわけではなく、まず歌い出しの《キミヨサラバ》という言葉を含む1行が出てきて。特にLM.Cが活動を開始した当初だったら、例えこの一節が出てきたとしても、こういう歌詞にはならなかったと思うんですよ。

これは目で歌詞を追いながら聴いてほしいですよね。さて、年末には渋谷公会堂公演もありますが、その後は?

Aiji

3月15日からツアーが始まりますね。アルバムを出してすぐではなく、今のLM.C的には、アルバムを聴いてくれる人の生活、身体の一部になった頃に回れるほうが、いいんじゃないかなって。

maya

最近は楽曲の成長のスピードが速いんですよ。そんな期待をしたくなる曲が揃ったし、楽しみですね。まずは渋谷公会堂ですけど、あのステージに立つのは、きっとこれが最後なので…気付けばすごく愛着のある会場になりましたね。改装で建物自体が変わっちゃうようなので寂しいけど、その前にやれることも、何か運命的なものを感じますね。

『PERFECT RAINBOW』 2014年12月17日発売
CJビクターエンタテインメント

  • 【初回限定盤(DVD付)】
    VUZJ-18 7344円
    ※スペシャルBOX仕様

  • 【通常盤】
    VUCJ-60004 2484円

LM.C

エルエムシー:2006年10月に1stシングル「Trailers【Gold】」「Trailers【Silver】」でデビューした、Aijiとmayaのふたりからなるロックユニット。ビジュアル系バンドが出自である彼らだが、その音楽性はビジュアル系ロックパブリックイメージから解き放たれた、あくまでもポップで自由なもの。へヴィなギターリフやラップ、EDMなど、ビジュアル系という枠にとらわれないさまざまな音楽要素が混在した音楽性が彼らの持ち味である。

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