【angela】ダサいはキャッチー、ダサ
いはインパクト
L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)
2015年の第一弾シングルは、angelaの名を一躍世に広めた「Shangri-La」と同じく、TVアニメ『蒼穹のファフナー』の主題歌。荘厳なサウンドに「Shangri-La」の遺伝子を引き継いで、「イグジスト」がangelaの存在を刻む。
取材:清水素子
TVアニメ『蒼穹のファフナー』の主題歌を担当されるのは11年振りですね。背筋が引き締まるような壮大感と凛々しさ、そして一度聴いたら忘れられないようなインパクトは、11年前の「Shangri-La」に通じるものがあります。
KATSU
やっぱり「Shangri-La」って、僕らにとっては大きすぎる存在なんですよ。angelaを世に出してくれた曲であり、angelaの骨格だったり、世界観を作ってくれたものだから、必然的に『蒼穹のファフナー』も特別な作品で、真剣に挑まざるを得ない。ひと言で言うと“重い”んですよね。
atsuko
だから、プレッシャーもすごくて! 長らく作品のファンでいてくださる方も満足させる曲にしなければ…っていうことも考えた結果、「Shangri-La」の遺伝子は引き継ぎつつ、より進化したサウンドで、より理想とするものを表現できたんじゃないかな。例えばコーラスやストリングスにしても、11年前は誰に頼めばいいのか分からなかったのが、今は知り合いのミュージシャンも増えて“この楽器ならこの人がいいんじゃない?”って言える。まぁ、Aメロのギターフレーズはダサいけど、だが、そこがいい(笑)。
ダサい!?
KATSU
歌の間に入る“ジャッジャッジャッ!”っていうのが、ダサいって言うんです。俺はカッコ良いと思ってたのに!
atsuko
いや、私にとって“ダサい”は褒め言葉なんですよ。ダサいっていうのはイコール“キャッチー”ということでもあって、音楽ってきれいにまとめたら絶対ダメなんですよね。私たちもリリースを重ねた分、学習して、だんだん余計なものが削ぎ落とされていってるけど、そこで丸くなってしまうと引っ掛かるものがなくなってしまう。昔は持てなかった丁寧さで、昔の音源にあるような尖った部分も入れたいっていうのが、今のスタンスなんですよ。
KATSU
“ダサいはインパクト”って、最近よく言うんです。“イグジスト”っていうタイトルも最初は“カタカナってダサくね?”って言ったんですけど…。
atsuko
“絶対にカタカナのほうがいいから!”って(笑)。英語だと、いまいち目から入ってくる印象が弱かったんですよね。そもそも歌詞には出てこないワードなんですけど、ディレクターから今回のテーマは“生きる”だと言われていたので、歌詞を書き終えて考えた時に、じゃあ“イグジスト”だなと。今回の『蒼穹のファフナー EXODUS』がわりと絶望的な物語なので、“生きていてほしい”というキャラクターたちへの想いも込めて、“存在”を意味する単語を付けました。
歌詞もシンプルな言葉使いながら、読み込むほどに戦う少年たちの心情が伝わって、とてもやるせなくなります。
atsuko
『蒼穹のファフナー』のファンの方って感受性が強くて、私の書いたフレーズひとつから想像を膨らませてくださるんですね。なので、あんまり直接的な言葉を使うのではなく、意味は聴き手に委ねるような歌詞にしたかったですし、簡単に“絶望”っていう言葉を入れてしまうと、逆に絶望感が出なくなるんですよ。あまり説明臭くなっても、それこそ耳に残らないものになってしまうし、そのへんは聴感上の感覚を大事にするKATSUが善し悪しを判断してくれるので、すごくありがたいです。
KATSU
サビ頭の《戦々恐々》とかメロディーとも上手くハマってて、すげぇな!って。Aメロの《降り立つ堕天使》とかも、それこそ最初は“ダサくね?”って言ってたけど、“これは物語とリンクしてる言葉だから”と言われて納得しました。
atsuko
そういう中2感も大人になるにつれ、私の中では薄れていたけれど、“そこがいい”と言ってくれる人もいるので、久々に出してもいいかなと。私たち、“ダサい”を恐れないので(笑)。
同アニメのエンディング曲でもあるカップリングの「暗夜航路」が、非常に洗練されたストリングスバラードになっている分、その振り幅も際立ちますよね。
atsuko
11年前はオープニングがアップテンポ、エンディングがバラードだったので、そこは今回も踏襲したかったんです。絶望に打ちひしがれたり、孤独を抱え込んでいるキャラクターたちの想いを表現しつつ、でも、明日になれば動き出すから…という、ほんの少しの希望も含めた曲ですね。
KATSU
劇場版だったり、舞台だったり、この11年で『蒼穹のファフナー』関係の曲は17曲書いているんですけど、そのほとんどが暗いバラードなんですよ! 『蒼穹のファフナー』という作品の本質は、僕はバラードにあると感じていて、そういう意味ではこっちのほうがファフナーしてる(笑)。
atsuko
その17曲は同時発売される『「蒼穹のファフナー」コンプリートベストアルバム』に全て入っているので、聴いていただければangelaの骨格と成長を感じてもらえると思います。7月のライヴツアーでは、さらに楽曲を育てていきたいですね。国内だけでなく台湾と香港も回るのも楽しみで…海外のお客さんってバラードでも大合唱なんですよ。それくらい“好き”を隠さないところは日本のファンにも求めたいところですね。よく“影ながら応援してます”とか言われますけど、影にいたらダメなんです。表に出てきてくれないと、私たちがステージに出た時に誰もいなくなっちゃう!(笑)
KATSU
どの国に行っても、待っててくれた人たちの笑顔や感激してる姿に出会えるし、コスプレしてたりするんですよ。よく“アニソンはノーボーダー”って言われますけど、本当にその通りで、戦争なんてアニメの中だけで十分だって思える。だから、もっといろんな国に行きたいし、いろんな層の人に日本のアニメ文化を届けたい。それが今、声を大にして言いたいことですね。
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