【宮野真守】明るい曲にはしたかった
けど、軽い曲にはしたくなかったんで
す
5カ月振りのシングルは、TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレボリューションズ』の主題歌。清々しいほどに爽快なナンバーの裏に隠されたものーそれは歌うこと、演じることに懸けるひたむきな想いだった。
取材:清水素子
TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE』シリーズの主題歌を担当されるのも、今回で3度目。前2作がロックだったのに対し、今回の「シャイン」は打って変わってさわやかなポップチューンですね。
3度目だからこそできる挑戦をしたかったんですよ。前2作では上松範康さんの激しいロックに僕が挑戦させていただいたのですが、今回は逆に上松さんとダンスナンバーを作るという挑戦をしたくて。
つまり、挑戦の方向性が変わったということ?
そうですね。今までダンスナンバーはたくさんやってきたものの、上松さんとは一緒に作るのは初めてで、どんな化学反応が起きるのか本当に楽しみで。それに『うた☆プリ』に登場するキャラクターであるアイドルたちのさわやかな笑顔や、弾ける姿をキラキラ輝く方向性で描いたら、また今までとは違った素敵なものになるんじゃないかと。なので、歌詞にもある通り“眩しい太陽”だとか、海辺ではしゃぐアイドルたちの足元で弾ける水しぶきが思い浮かぶようなメロディー&トラックで…と上松さんにはお願いして、デモ曲を作っていただきました。
実際やってみて、どんな化学反応が起きました?
ロックの疾走感やサウンド感も残した力強いダンスナンバーに、トリッキーな音使いや上松さんならではの気持ちいいキメがふんだんに盛り込まれて、すごいパワーをライヴで発揮する曲になりました。一切の事前情報を出さないまま2月からのツアーで披露した時も、初日に歌い始めた瞬間、ただならぬ感情の波が客席から襲ってきたんですよ! 僕自身、自然と身体が動いてしまうような感覚があって、ライヴで歌うことが決まった時に“これはポンポン振りたい!”と思い、実際に作って、ライヴでもポンポンを使ったダンスを披露しました(笑)。
ちなみに作詞は宮野さんご自身なのですが、明るい楽曲に相応しいポジティブなメッセージが詰まっていますね。
最初は僕が作詞する予定ではなかったんですけど、デモを聴いたら書きたい想いがあふれてきたんです。結果的には、もともと僕の中にあった想いと、上松さんの楽曲に引き起こされた想いと、『うた☆プリ』という作品に懸ける想いが、どんどん重なって出来上がっていきました。キラキラ輝く曲の中にも“実”の部分は取り入れたかったし、ずっと主題歌を担当してきた『うた☆プリ』は僕にとってすごく大切な存在なので、『うた☆プリ』の曲を初めて自分が作詞する以上、しっかり想いは込めたかったんです。アイドルである登場人物たちの活動は僕自身にもリンクする部分が多いので、自分が経験してきた苦悩や挫折、それでも叶えたい夢に向かって突き進んでいく想いを、素直に綴りました。明るい曲ではありたかったけれど、軽い曲にはしたくなかったんです。
想いの強い曲になった分、南の島ではしゃぐMVの弾けっぷりが引き立ちますが、こちらの撮影はどこで?
サイパンです。実はジャケット写真も、前シングル「BREAK IT!」の制作でロサンゼルスに行った時に、今回の楽曲のコンセプトにもピッタリだったので一緒に撮ってきていたんです。青空と衣装のコントラストも素晴らしいし、ほんと贅沢で国際的な一枚になっちゃいました(笑)。
国境をものともせず広がるパワーは、カップリングの2曲にも感じたところです。切なすぎるR&Bバラード「Be Mine」に、EDMテイストのワイルド&セクシーなアッパーチューン「TRANSFORM」と、まったく曲調は異なるにもかかわらず、それぞれのジャンルに特化したアーティストにも引けをとらない豊かな歌声に驚きました。
ありがとうございます。「Be Mine」は“悲恋で切ないバラード”というザックリしたテーマからコンペで選んだ楽曲で、ドラマチックな歌詞にグッときました。「TRANSFORM」は前々からデモをもらっていて、“絶対に歌いたい”とタイミングを図っていたんですよ。それで、すでに付いていた曲のタイトルから“変身”をテーマにファンタジー映画っぽい世界観にしようと、作詞の方に“狼男をモチーフに”とお願いしたら、見事に狼男に変身していて(笑)。最初から入っていたコーラスワークが、狼男というテーマを設けたことで遠吠えにも聞こえたりと、いろんな相乗効果が生まれた曲ですね。
声優としても活動されているだけに、そういったドラマ性豊かな楽曲を“演じる”のはお手のものですよね。
やっぱり“歌う+演じる”っていうのは、意識せずとも至ってしまうところなんですよね。そこで僕自身とても助かっているのが、いろんなキャラクターを演じさせてもらっていることで、さまざまな経験や感情を経験できたということで。世界観を演じることが今、僕にできる全てであり、そして、それぞれ異なる世界観を演じることが、バラエティーに富んだトラックワークにもつながっていると思います。どうせやるなら突き詰めたいし、スキルを上げていきたいという想いが、どんどん積み重なっていくんです。
シンガーとして、それだけストイックな追求心があると、当然もっと広く自分の歌を聴いてほしいという気持ちも強いのでは?
そうですね。特にライヴという場所では、いろんな人と出会い、いろんな僕の表情を見てもらえると嬉しいです。その結果、お客さんから素敵な笑顔が返ってきて、とても幸せな空間が生まれるから、その輪をもっと広げていきたいと思っています。今後も3本の大きなフェスへの出演が決定していますし、会場を盛り上げられたらいいなと。それが終われば今度はアルバムのリリースを予定していますので、期待していてください。
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