【ARCHAIC RAG STORE】僕らの音楽で
救われる人もきっといる
L→R 奥村眞也(Dr&Cho)、雅景(Gu)、鴻池 遼(Vo&Gu)、横山航大(Ba)
感情の赴くままに歌い上げるヴォーカルにアグレッシブなバンドサウンド。平均年齢20歳という若さで早くも頭角を現し始めたARCHAIC RAG STOREが初の全国流通盤ミニアルバムをリリース!
取材:高良美咲
まずは、結成のいきさつを教えてください。
鴻池
もともと、僕とベースの(横山)航大が中学からの同級生で、学校内でバンドを組んで活動をしていたんです。高校生になってからは、それと並行するようなかたちで対バンして仲良くなった人たちと一緒にバンドをやっていた時期があったんですけど、ある時そのバンドのベーシストが“地元の後輩ですごく上手いドラマーがいるよ”って紹介してくれたのが奥村でした。早速、航大と奥村と当時のギタリストを誘ってスタジオに入って。その時は前身バンドが解散するっていう話になっていたので、僕がこの4人で新しくバンドをやりたい気持ちを伝えたら全員快くうなずいてくれたのでARCHAIC RAG STOREが誕生しました。当初から切なさと激しさを同居させた楽曲を作っていましたが、今よりは少し背伸びをしているような歌詞があったり、ジャジーなアレンジを散りばめたり…少し大人っぽさを気取っている節がありました(笑)。
そこからはどのような活動をしてきたのですか?
鴻池
結成してなもなく、バンドで初めて作った「NEXUS」を閃光ライオットに応募したんですが、三次審査を勝ち進めなくて。そこからしばらく地道にライヴ活動をしている中で、僕と当時のギターがそれぞれ目指すサウンドの方向性がどんどん違ってきてしまったんです。それが原因で2013年11月に前任のギタリストが脱退して。そこで対バンして知り合った雅景の弾くギターが前から好きだったんで思い切って声をかけたら12月からサポートで入ってくれて、年が明けた2014年2月に正式加入しました。彼が加入して最初に作った曲が「夜を翔ける鳥」だったのですが、この頃から楽曲の方向性が以前より等身大になって、“着飾りは捨てて自分が届けたい言葉を歌おう”という思考に変わっていきました。雅景は本当に感情のままにギターを弾くので、感化されている部分が多々あったんです。それから着実に支持してくれる人は増えていきましたが、破竹の勢いでのし上がっていったような展開はなく、ひたすら地道に楽曲制作とライヴ活動を続けていましたね。そのうち自分が満足する曲を書けなくなってしまい、歌も伸び悩む時期があって…バンドとしても上手くいかないことが多くて、去年はすごく辛かったです。ただ、そんな中でも応援してくれたファンの方や関係者には本当に感謝しています。たくさんの愛をもらった分だけ、今年は絶対に恩返しをしていきたいなって。 だから、今回のリリースは本当に嬉しいです。
そして、初の全国流通盤となる『After the Dawning』が6月10日にリリースとなるわけですが。
鴻池
このアルバムは、バンドを結成して初めて制作した「NEXUS」から、今年に入って完成させた新曲「名を呼ぶ」まで、ARCHAIC RAG STOREの2年間を全て詰め込んだ一枚となっています。たくさんのストック曲がある中で、今の4人がベストを尽くせる楽曲たちをセレクトしました。
今作に名付けられた“After the Dawning”という意味は?
鴻池
日本語訳すると“夜明けの後に”という意味なんです。夜明けの後には朝がきますが、朝は“始まり”を象徴する言葉でもありますよね。闇の中をなかなか前に進めずに彷徨っていた僕らがやっとスタートを切るんだぜっていう意味を込めたつもりです。
悩みもがく等身大を描く部分が多いからこそ《今 始まる》という決意のある「夜を翔ける鳥」は、背中を押してくれる応援歌のように感じました。
鴻池
僕が高校3年生の冬に書いた歌で、当時から卒業したら音楽一本でやっていくという意思があったものの、その頃はメンバーが脱退したりなかなかいいライヴができなかったりでバンドは上手くいっていませんでした。それとは裏腹に、学校の同級生はみんなそれぞれ明確な進路に向かっていく時期で…そんな自分と周りのギャップにどうしようもなく葛藤しながら作った曲でした。歌詞の内容としては、少年少女がもがき悩みながらも、やがてそれぞれの未来に向かって違う道を突き進む決意をするまでを描いています。僕と同じく悩める同世代の若者への応援歌として聴いてほしいです。僕の中でアルバムの主軸になったのは、この「夜を翔ける鳥」で。アルバムのコンセプトでもある“夜明け、始まり”を歌っているので、ある意味タイトル曲でもありますね。
雅景
この曲は僕がARCHAIC RAG STOREに加入して間もない頃にリードギターのフレーズを付けた曲で、まだバンドの雰囲気や方向性を掴み切れていない状態でフレーズを考えたので、かなり完成させるのに苦労しました。結果、自分がこのバンドで表現したい感情を封じ込めることができていると思います。
ARCHAIC RAG STOREとして初めて作った曲が「NEXUS」ということですが、今作に収録してみて、改めてバンドにとってどのような楽曲になりましたか?
鴻池
この歌は歌詞の一節にもあるように“出会い”がテーマとなっています。 そして、この曲がたくさんの出会いをくれたのも事実です。“人と人が出会うのは、きっと知らず知らずのうちにどこかで呼び合っているからなんだよ”というメッセージが込められていて。リードトラックになることで、またたく間にたくさんのひとと出会うきっかけをくれる大切な一曲となると思います!
横山
この曲は結成したての時からずっとライヴで演奏しているし、何度もアレンジを変えたりして一番試行錯誤した曲だと思います。その曲をリード曲として世の中に出せるのがすごく嬉しいし、感慨深いです。
「楽園」「あふれだすよ」をはじめ、どうしようもない気持ち、焦燥感やジレンマが描かれていることが多いですよね。
鴻池
僕は今まで何をやっても一人前にはなれなくて。だから、音楽は唯一自分を表現できるものだと思っていて、自分の作る音楽にだけは自信を持ってます。ただ、今は受け入れられないことのほうが多いという現実があるから、そんな現実や自分自身にいつも不満を抱きながら生きています。今の僕はそんなコンプレックスから曲を書いているんですね。“もっと分かってくれよ”って思いながら。だから、どこにもぶつけられない苛立ちや怒りがどうしようもない感情となって静かに燃え盛っていく様を描いた「あふれだすよ」「楽園」は、僕自身の心情風景を表している2曲だと思います。
ソリッドでアグレッシブな「Butterfly Syndrome」はバンドのダークな部分が表れていますね。
鴻池
ひとりの女性が、好きになった相手と一緒に無理心中しようとする歌です。このアルバムではかなり異色ですが、以前からこういうダークでシュールな世界を表現したいという気持ちがあって。僕の歪んでいる部分を存分に出せるというか(笑)。衝動的な歌詞をそのまま体現したようなバンドサウンドになりました。踊ってください!
奥村
この曲はARCHAIC RAG STOREの攻撃的な一面を見せられていると思います!
最後を締め括る「名を呼ぶ」は闇の中でこの先の希望を歌っているような楽曲ですが、どのような一曲になったと思いますか?
鴻池
まず《対岸から 君の名前を呼ぶ》という一節が降ってきて、そこから“大切な存在との別れ”をテーマに書き上げました。 誰にだって忘れられない愛おしい日々が記憶の中にあると思っていて。それでも、もうあの頃へ戻ることはできない…この歌は、そんな悲しく美しい記憶に対する鎮魂歌でもあります。“対岸”というフレーズ、そして“春”を連想させる言葉をちりばめたのは、そこから“お彼岸”をイメージしてほしかったからです。ただ、聴いてくれるみんなには“対岸”、そして“君”を自由に当てはめてもらいたくて。テーマは同じでも、聴く人によって違うストーリーが生まれるような曲であれたらいいなと。この曲は、ある意味今のARCHAIC RAG STOREの代名詞になると思うんです。《僕等はまだ なにも知らないまま この硝子細工のような日々を 駆け抜けた》という一節が今の4人を形容してるようにも感じられて。ちょうど長いスランプに陥っていた状態から脱出できたきっかけの曲なので、思い入れが強いというのもあるのですが(笑)。これで“僕たちが表現したいのはこういう世界なんだよ”と提示することができたと思うので、本当に手応えがあります。今回世に出すことができて本当に嬉しいです。
制作で挑戦したこと、聴きどころがあれば教えてください。
鴻池
聴きどころはたくさんありますが…ヴォーカルで言うと「Butterfly Syndrome」の2Aメロと「名を呼ぶ」のラスサビですかね。バンドサウンドが最高なのはもちろん、全編通してソングライティングが一級品だと思います!(笑)
奥村
挑戦したことは、録音時に曲のテンポを微調整しながら、一番聴きやすいテンポを探しながら録音したことですね。個人的な聴きどころは「あふれだすよ」のBメロのベースとの踊りだしたくなるようなグルーブ感です!
雅景
音作りに関しては、ライヴの迫力や勢いも再現するためにライヴハウスでよく使っているアンプと同種のもので2本のギターの音をほぼ全曲録っています。曲ごとに微妙に表情を付けるのに苦労したので、そういうところを意識して聴いてもらえると面白いかもですね。
横山
ベースで言うと、ライヴでこのアルバムの6曲をやることを考えて、無駄な動きを削っていくことでした。ライヴを意識して、自分なりに必要だと思うベースラインだけ残していきました。
出来上がってみて、どのような一枚になったと思いますか?
鴻池
聴く人に勇気と希望を与えられる作品であれたら嬉しいです。僕がBLANKEY JET CITYにいつも救われているように、僕らの音楽で救われる人もきっといると思うんです。できるだけたくさんの人たちに届いてほしいと思える一枚です!
奥村
バンドってもののカッコ良さがこれでもかってくらい詰め込まれていると思います! このアルバムが誰かのバンドを始めるきっかけになったら俺は嬉しいです!(笑)
雅景
この一枚を作る上で、たくさんの人とのつながりの大切さと、バンドで音を作ってひとつのものにする楽しさを改めて実感しました。
ここで改めて、ARCHAIC RAG STOREとはどのようなバンドでしょう?
鴻池
ARCHAIC RAG STOREは声で、演奏で、言葉で、“青春”を歌っているロックバンドだと思います。
リリース後はどのような活動が期待できそうでしょうか?
鴻池
リリース後は音源を引っ提げてツアーを行ない、8月にTSUTAYA O-Crestで自主企画を行ないます。ただ、その後はひたすら新曲制作とライヴ活動に没頭したいです(笑)。浸透期間と言うんでしょうか、来年はもちろん新譜を出したいし、地方のライヴハウスを埋たり、ワンマンをできるくらいまで知名度を上げていく勢いで頑張りたいです。フェスにも顔を出していきたいし。実は、すでに次回作の構想を練っているんです。新しい世界を見出せるような気がしてわくわくしています。とにかく、地道でも着実に上り詰めていこうと思います。これからも自分たちにしかできないロックミュージックを届けていきますよ!
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